EC業界における広告の未来とは? ~アライドアーキテクツ×バルクオム×LINE~

ECのミカタ編集部 [PR]

デジタルの進化は、広告にも大きな影響を与えた。SNS広告など新たな媒体が登場した一方で、獲得単価の高騰、運用業務の煩雑化などの問題が表面化している。広告がユーザーに敬遠される存在と認識されて久しい現在、新たな“デジタル広告の在り方”が求められるのではないだろうか。

マーケティング支援業務を通じて多くのブランドの成長を支援してきたアライドアーキテクツ株式会社の村岡弥真人氏をファシリテーターに迎え、広告を出稿する側であるメンズスキンケアブランド「BULK HOMME」を展開する株式会社バルクオムの高橋文人氏、広告媒体側としてLINE株式会社の泉貴文氏に、EC業界における広告の現状と今後について話を聞いた。

市場における広告の課題

左から
LINE株式会社 広告事業本部 マネージャー 泉 貴文氏
株式会社バルクオム 国内事業本部 本部長 高橋 文人氏
アライドアーキテクツ株式会社 CPO 村岡 弥真人氏

村岡:今、EC業界以外でも多くのビジネスがデジタルに移行し、モノの売り方も変化しています。そんな市場における広告の変化について、広告を出稿する側のブランドであるバルクオムさんはどんな課題を感じていますか?

高橋:まず、薬機法や景表法など、広告に関する規制が強くなってきていると感じます。オンライン広告では以前から問題になるような表現・販売方法がありましたが、直近だと取り締まりが強化されていると感じますし、社会的にも厳しく見られるようになったと感じています。また、自社の広告は適正でも、同じ媒体にふさわしくない広告があれば同業者として一緒に見られてしまう。そのため、媒体の選択が重要になっていると考えています。弊社の場合、スケールはできているものの、CPAも上昇傾向にあります。

村岡:出稿する媒体はどんな観点で選ばれていますか?

高橋:基本的には、広告効果を重視しています。ただ、アドネットワーク広告は配信できる媒体の選択が難しいため、現状はLINEやSNS広告への出稿が中心になっています。

村岡:媒体側として、LINEさんではCPAの高騰についてどんな認識を持っていますか?

:LINEでも運用型広告の「LINE広告」を提供していますが、本来の意図とは異なり、その広告を配信すべきではないユーザーに広告が配信され、結果、CPAが上がってしまっているという状況が考えられます。ユーザーにとって好ましくない、関係のない広告が出続けることで、媒体の価値は下がっていきます。LINEとしてもデータをうまく活用するなど、その問題にどう向き合っていくかを考えているところです。

広告の在り方が多様化し、投資概念も変化した

村岡:LINEさんには大量のファーストパーティーデータがあり、他のSNSなどに比べてもさまざまな接点が用意されています。そこにLINEさんの強みがあると思いますが…。

:仰る通り、LINEには約8,400万人(2020年6月末時点)のユーザーが存在します。それらのユーザーの日々の行動傾向などを各種サービスの利用状況などから可視化していくことで、最適な配信実現に取り組んでいるところです。

また、独自性という点ではLINE広告以外にも、LINE公式アカウントの存在が大きいと考えています。LINE公式アカウントは基本的に企業やブランドのファンとも呼べるユーザーが集まるため、CRMやさらなる購買促進など、新規顧客の獲得だけにとどまらない価値があります。

村岡:バルクオムさんもLINE公式アカウントを運用されていますよね。どんな目的で運用されていますか?

高橋:今は2つアカウントがあります。ひとつは購買促進を目的としたアカウントで、友だちになっていただいたユーザーにチャット形式で商品の定期購買コースなどを紹介しています。もうひとつ、新しく作成したのがCRMを目的としたアカウントです。商品を購入いただいたユーザーに案内していて、FAQやチャットでの有人対応、他の商品ラインナップの案内などを行っています。

村岡:購買促進やCRMなど幅広く活用できるLINE公式アカウントのように、広告の在り方は、今、すごく多様化していますよね。昔のアドネットワークは、新規ユーザーに広告を届けるための単なる露出面でしたが、今は遷移先が必ずしもLPでなかったり、その先のコミュニケーションを設計したりする。それに伴い、投資概念も変わってきたと思います。

従来はメディア費用が1千万円あったら、LPを30万円で作成し、ECのテンプレートを150万円で、それからシステムを作って……という流れが決まっていました。それが今は、総合的に多方面に投資するようになって、メディア費用の枠が広がってきたように思います。

バルクオムさんの場合、獲得単価などの費用面について、広告出稿の際にどんな観点でバランスを取っていますか?

高橋:デジタル広告に関しては、特定の媒体に寄りすぎるとリスクが大きいため、分散させることを意識しています。弊社の場合、どの媒体でもまずは50万円くらいから運用して、その効果を見ていきます。

最適化に陥らないコミュニケーション手法

高橋:最近のデジタル広告は“最適化に陥りやすい”という注意点もありますよね。

村岡:“最適化に陥る”というのはまさにそうで、この5年くらいの間にAIでターゲティングの精度が向上し、運用を細分化していくアドテク偏重から、クリエイティブをはじめ「ユーザーに適切な広告を届ける」という本質を重視するようになってきました。デジタル広告でどこまでユーザーとのコミュニケーションが実現できるかという、総合的な力がECのマーケティングには求められると思います。

高橋:弊社のようなD2Cといわれるブランドで、ECを始めたばかりであれば、ある程度の規模までは最適化を優先してもいいと思います。肌感ですが、ブランドや商品の認知度が~10%程度、いわゆるアーリーアダプターといわれるユーザーが中心購買層の時期はオンラインの方が効率もCPAも良いと思います。ただし、その先には絶対壁があって、その時にどんな方法でユーザーとコミュニケーションを行うか、最初から考えておいた方が良いでしょう。

D2Cブランドに将来的に起こりえるのが、オンラインでダイレクトにコミュニケーションを取ることに価値を置きすぎて、なかなかスケールしづらくなるということです。弊社はそこに捉われず、グローバルシェアナンバーワンを取るために認知度をどの程度上げるべきか、そのために何ができるのかと考えた結果、テレビCMという施策を選択しました。

村岡:テレビCMをきっかけに入ってくるユーザー、デジタル広告で入ってくるユーザーに違いはありますか?

高橋:テレビCMとデジタルというより、デジタル施策ごとの違いが分かりやすいです。アフィリエイトなどプッシュ型の施策で入ってきたユーザーはLTVが多少低く、指名検索などでバルクオムを認知して入ってきたユーザーはLTVが高いという違いは顕著に現れています。テレビCMに関しては、まだLTVを計測できるほどの時間が経過していませんが、現時点ではデジタル経由に比べてユーザーの年齢層は高めで、30代以上が多いです。

CPAだけでなく、LTVだけでもなく、バランスが重要

村岡:デジタル施策における指標として最近、LTVが重視されるようになりましたよね。LTVはそもそもCPAを基にするものであり、CPAとLTVは対になるのではなく、バランスを取りながら見るべき指標だと思いますが、バルクオムさんはそのあたりの施策やKPI設計をどうされていますか?

高橋:どの媒体でもCPAは同じ上限で設定していて、その中で個別にバランスをとるようにします。その後にLTVを見て、LTVが低い媒体は要因を探り、継続可否を判断します。

村岡:LTVが低い要因を探る際、どんな項目で検証していますか?

高橋:媒体、ターゲティング設定、最初のオファー内容、申し込みされるコースなどです。決済手段も影響が大きいですね。ユーザービリティの観点でいうと可能な限りの決済方法があるに越したことはないですが、ブランドとしては実装や手配が諸々の理由で追い付かず決済手段は限られています。それでも、不都合のないよう、ユーザーの声をどこまで反映するのかを考えながら選択肢をそろえています。

:バルクオムさんで活用いただいているLINE公式アカウントのチャットボットは、LINEの世界観を強く残した施策だと思いますが、ブランドを体験してもらうという観点で媒体を選ぶ基準はありますか?

高橋:弊社では基本的にブランディングとマーケティングを切り分けているので、そこに関してはあまり厳しくありません。よほど世間的な印象が悪い媒体以外は、まずテストしてみるのが基本的なスタンスです。LINEさんに関しては、ユーザーにLINEの延長線上だと感じてもらえるよう、むしろ同じ世界観でLPを作成していたりします。

村岡:施策と施策を分断させないというのは必要ですよね。以前、SNSで広告出稿をしている企業さんから、転換率が非常に悪いという相談を受けたことがありました。調べてみたところ、広告はモバイルに最適化しているのに、その後に配信するメールがPC向けに最適化されたテキストメールで、CRMが分断していました。

LINEさんの場合、CRMをLINEに置き換えるという使い方もあるかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?

:単純に広告からCVして終わりではなく、“つながり続ける価値”をどう創出していくかが重要です。LINE広告の配信で獲得したユーザーとLINE公式アカウントでつながり、双方向のコミュニケーションを取りながら新たなユーザー行動を喚起していく。

例えば、同じ広告で獲得したユーザーでも、発信した情報に反応してくれるユーザーもいれば、情報に反応しなくてもチャットボットを活用してくれるユーザーなど、その後の行動は分岐していきます。ここに属性情報をかけ合わせれば、よりユーザーの姿を可視化できるはずです。その情報を元に個別で適切なコミュニケーションを取ることができれば、LINEをCRM目的で活用する意味は大いにあると思います。

実際、LINEの中での広告接触効果やデータをサービス横断でかけ合わせ、ユーザーのペルソナを具現化する「クロスレポート」の準備なども進めています。

増加する広告媒体を限られたリソースで運用するために

村岡:LINEさんのような新しいコミュニケーション手法が登場する一方、メールやDMなど、従来の手法を活用している企業もあります。これは最近のデジタルマーケティングの世界の光と闇だと思っていて、手法が多すぎてもリソースが枯渇する。そのあたりはどう対応されていますか?

高橋:どの施策でもそうですが、新しくやることがあれば、何かをやらなくなる選択は絶対にしなければいけない。集中と選択はすごく意識して、コントロールしています。まずは今いる人員でトライできるところからやっていますが、全部をやろうというのは現場の負担が高まるだけなので、結局全てが中途半端になってしまいます。なので、そういう状況になることは避けるようにしています。

村岡:既存のユーザー向けのコミュニケーション、CRMのプライオリティーはどうですか?

高橋:CRMのプライオリティーは高くなっています。事業をスケールさせるためには新規ユーザーが必要ですが、そのための予算のエビデンスとして、LTVとの関連性も重視され始めています。LINEさんのように、LTV観点で活用可能なプラットフォームも増えているので、以前よりPDCAを回せる環境は整っていると思います。

村岡:メルマガからの商品購入やリピートを促すだけではなく、LINEの登場で友だち追加やブロックを防ぐという方法も出てきました。ただし、SNSやLINEはメールなど従来の手法に比べて発信できる情報量が少ないため、コンテンツの設計力が重要だと思っています。

:LINE広告で見ると、動画に関しては特に大手企業さんほど、テレビCMをそのまま活用している傾向があるので、そのあたりの改善はこれからだと思います。LINE公式アカウントを友だち追加しているユーザーは、その企業やブランドに対してポジティブな印象を抱いていると予想されますが、LINE広告の場合は不特定多数のユーザーに見られるため、よりスマホやLINEに最適化したクリエイティブが求められます。

高橋:1人のユーザーとして、どうしても広告は邪魔なものという認識があります。だからこそ、ユーザーに最適な広告でなければ受け入れてもらえません。そのため、ある程度の規模の媒体であれば、広告主側はその媒体に特化したクリエイティブを作るべきだと思います。結局、バケツに穴が空いていると、どれだけ水を入れてもたまらない。そこを最適化しないで広告の出稿方法だけを最適化しても、本当の意味での最適化にはならないと思います。

消費者行動の変化と新しい広告の形

:最近印象的だったのが、インパクトのあるクリエイティブの広告が出てくると、それがツイートされて拡散され、話題になるということです。例えば、LINEで提供している「Talk Head View」は、多くのユーザーが目にするトークリスト最上部に広告が表示されます。そこにインパクトのある広告クリエイティブなどが表示されていると、ユーザーがスクリーンショットで保存し、SNSなどに投稿するような行動が見られます。ある意味、広告の新たなカルチャーだと思います。

Talk Head Viewの掲載イメージ

村岡:必ずしも買ってもらうことがゴールではなくなっている、新しい広告の形だと思います。以前から、広告は嫌われ者という認識を持たれていますが、私はそれがずっと嫌だったんですよね。ただ、それはメディアもLPもユーザー最適化を無視していた結果で、今後はそれを最適化していくことがプロダクトと同じくらい重要です。

例えば、区内でも徒歩1時間くらい離れているスーパーマーケットのチラシ広告は邪魔だと思うかもしれませんが、最寄り駅近くのチラシ広告は毎日届いても邪魔になりません。従来のEC広告は前者のようなものが多かったと思いますが、今、後者のような広告が実現できるようになっていて、そのプラットフォームのひとつがLINEだと思います。

そんな状況の中で、ブランド側、媒体側として、これからの広告価値はどう変化していくと思われますか?

高橋:いきなり買ってください、というようなダイレクトな広告は減っていくと思います。一方で、ユーザーが触れる情報は増加し、広告が認知される確率はどんどん低くなっていく。ブランドとして、さらにユーザーの心理に寄り添うアプローチが必要になってくると考えています。

村岡:なぜそれを買うのかという、背景やストーリーがより重要になってきていますよね。

高橋:買うことが目的になると続きませんよね。たまたま広告を見て買ったところから、これを使うと何ができるのかというコミュニケーションを取り、どうやってその後も継続して買ってもらえるか。何のために買うのかというのは、最近自分が買い物をするときもすごく意識しますね。

村岡:自分の知り合いが作っているものなら買うし、友人が経営している店には行きたい。ユーザー発信の強さもあります。全てとは言いませんが、今後、多くのECでそんな購買行動に変化していくのではないかと思います。

:媒体視点としても、前述のようなCRMマーケティングの過程が、そのまま広告になるような形が理想だと思っています。ただ、その際に課題となるのが訴求内容です。例えば、商品の背景に開発ストーリーがある材料にこだわったオーガニックな飲料に比べ、大衆向けの一般的な飲料は商品の差別化が難しく、ユーザー自身も日常の中で明確な理由がなく商品を選んでいるかもしれません。

そんな場合でも、LINE公式アカウントを活用して自社ブランドに興味があるユーザーとコミュニケーションを行うことで、具体的にどんなユーザー属性が、どんな理由で商品を購入しているかなどをデータを通して発見することができます。

LINE広告に加え、LINE公式アカウントでの継続的なコミュニケーションを提供するによって、ECでも流用可能な新たなCRMの形を実現することができると思っています。

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