まるで魔法。Shopifyで老舗酒蔵「小澤酒造」の働き方が変わる。

ECのミカタ編集部 [PR]

小澤酒造株式会社 小澤 幹夫氏

自社ECサイトのリニューアルは、事業者にとって、今後の業績を左右する重要なプロジェクトである。だからこそ失敗できないが、パートナーの選定から始まり、デザイン指示、バックエンドの再構築など、担当者がやらなければならないことは非常に多い。

自社の商材や状況に応じて、どのようにして最適解を見つけるべきか? 本稿では、銘酒「澤乃井」で知られる老舗酒蔵・小澤酒造株式会社の事例をご紹介。同社の23代目当主である小澤幹夫氏と、ECサイトのリニューアルを手掛けたコマースメディア株式会社(https://commerce-media.info/)小林 俊也氏に伺った。

東京ブランドの地酒と“味わう空間”を提供する小澤酒造

――まずは小澤酒造についてのご紹介をお願いします。

小澤: 当社の創業は1702年、東京の奥多摩で300年以上前からお酒を作っている酒蔵です。自然豊かな奥多摩のきれいな湧水を使った丁寧な酒造りをモットーとしていて、メインブランド「澤乃井」の名前の由来もそこから来ています。

近年では東京オリンピックや、インバウンドの影響もあり“東京ブランド”というものが酒に限らず注目されています。そのなかで当社は、東京の伝統的なモノの作り手という立ち位置でもあると感じています。

また、当社は酒造り=製造業なのですが、一方で早い時期から観光業にも注力しており、酒蔵見学やお食事処といったサービスを充実させています。それに関しては同業者の中でも突出している部分だと思います。

――お客様との距離が近い酒造でもある、ということですね。

小澤: 実際に蔵や自然など、酒が造られている環境を感じてもらうことで、当社のブランドが伝わりますし、「澤乃井」も現場で飲んだ方が、同じ酒であっても美味しく感じられるはずです。私の好きな映画で「人間の主食は空気だ」というセリフがあるのですが、そういった“空気”を感じながらお酒を楽しむという行為は、普遍的であり贅沢であると思っています。

酒蔵を未来に残すためにEC強化を決断

――小澤酒造がECを始めたのはいつ頃で、どのようなきっかけがあったのですか?

小澤: ECには2006年から取り組んでいます。インターネットが普及してきて、オンラインでも売上を作っていきたいと考えたのがきっかけです。

――そんな背景がありながらも、ECサイトをリニューアルして、オンラインでの販売に注力しはじめたのはなぜですか?

小澤: 業界全体の売上が落ち込んでいる中、新しい販売チャネルを開拓していかないと生き残れないという危機感がありました。悩みましたが、「この300年以上続く酒蔵を未来に残していく」ために、ECにも取り組んでいこうと決めました。

――方針が固まってからは、スムーズに着手できましたか?

小澤: 決断したはいいものの、調べれば調べるほどECの難しさが分かり、複数社のECコンサルタントからの提案も決め手に欠けていたりと、1年半くらいは動き出せずにいました。単純に売上をアップさせるのではなく、小澤酒造のブランドイメージや大事にしたいことを理解してくれる方にお願いしたいなと。そんな時に、長年のお付き合いがあって信頼している方にコマースメディア様をご紹介いただいて、今回の取り組みがスタートしました。

――ECサイトのリニューアル前はどのような課題がありましたか?

小澤: 旧サイトは通常のWEBサイトに決済機能を後付けしただけのものだったので、お客様にとってのUI/UXが悪く、モバイルやSNSの対策も充分ではありませんでした。また、リニューアルを進めていく過程で、バックエンドの業務効率も大きな課題であることが分かりました。

小林: 変化が見えやすいので、フロント部分が注目されがちですが、バックエンドも同じくらい重要です。今回のお取り組みでは、小澤酒造様にまずそのことをお伝えしました。

当時の小澤酒造様のEC運用で特に気になったのは、受注・出荷業務です。ひとつの注文に対して、個別に出荷指示を出して、一通ずつメールを打って…といった具合に運用されていました。一人ひとりのお客様を大事にするという意味では素晴らしいかもしれませんが、注文件数が増えた時にこのフローでは耐えられないと思いました。他にも例えば紙ベースで発行していた納品書をデータにするなど、デジタル化の推進もあわせて検討されていました。

旧プロセスから脱却するためのオペレーション改善

――今回のリニューアルに際して、要件定義をどのように進めたのか教えてください。

小林: 運用面については、まず課題点を抽出して、新しいシステムで「どの業務をどのくらい改善できるのか」を確認しながら、受注・出荷業務ができるだけ簡単になるように要件を組み立てていきました。

小澤: コマースメディア様が当社の目線に立って、丁寧にヒアリングしてくれたのは大きかったですね。私たちが思い描いていたイメージとギャップなく進めることができました。

小林: それぞれの事業社様が抱える課題は、一つとして同じものはありません。当社としては導入時のヒアリングを大事にしていて、事業者様ごとに最適な形をご提案するようにしています。

――要件定義の後、プラットフォームの選定やシステムの設計はどのように行いましたか?

小林: 実際のショップ業務を担当されるのが、システムの操作に慣れていない方とのことでしたので、プラットフォームは管理画面のUIがシンプルで分かりやすいShopifyを選び、導入するアプリケーションもなるべくシンプルなものを選びました。大前提として、ブランドを支えていくのは事業者様です。我々のような専門家から「あるべき論」を押し付けるのではなく、今までの歴史を否定せず、どのようなステップを踏んでいくのがベストかという点を意識しました。

――今回、一番苦労したのはどの部分ですか?

小林: 小澤酒造様がリプレイス前に利用されていたカートシステムは、かなり細かな送料の調整ができるようになっていました。それをShopifyで実装するところは慎重に行いました。今回の場合、地域毎の送料があり、商品によっては別途クール便料金が必要。その上ギフト商品は送料無料など複雑な条件があったのでそれを実現させたことです。加えて、現場で作られていた暗黙のルールもあったので、送料のパターンを整理し少しでもシンプルな形になるよう、送料ルール自体の一部変更もご提案させていただきました。

受注・出荷対応においては、多くの業務を一括処理できるようにして、対応件数が多くても少なくても基本的に工数は同じになりました。連休明けなどで注文が集中しても、サイトの対応は1日に1回で済むように設計し、基本的には注文日の翌日には出荷が完了するようなフローを構築できました。

――新サイトをローンチして、実務を行っている方の反応はいかがですか?

小澤: 今ECの受注業務を担当しているのは、デジタルに苦手意識のあったスタッフなのですが、新システムを導入してからは「すごく楽になった」と言っています。受注データやお客様とのコミュニケーション履歴もすぐに閲覧できるようになり、カスタマーサポートも円滑になりました。当社のスタッフは、今のバックエンドのことを「魔法」と呼んでいます(笑)。おかげで、以前は日付指定を1週間後から受け付けていたのを、今では3日後から受けられるようになり、お客様の利便性も向上したのではないかと思います。

+αの想いも伝える、美しいデザイン

――新サイトは美しいデザインがとても印象的です。フロントの構築はどのように進めたのですか?

小澤: フロントのデザインは、歴史ある酒蔵の威厳を保ちつつ、シンプルできれいなサイトにするために、カラー選定から慎重に進めました。いろいろ試行錯誤を重ねて、最終的にデザインは最初のモックアップから180°変わりました。始めは新緑をイメージしつつ、若い方にアプローチしたいという狙いもあって、エメラルドグリーンをベースカラーとしたデザインでした。

かなりポップな見た目になっていたのですが、「とは言っても、ウチは300年の歴史があるんだし…」ということで、シックでスマートな印象をプラスするなど、少しずつイメージをすり合わせていきました。

小林: 実は、小澤酒造様のブランドイメージを調べた結果、最初にいただいていたECサイトのご要望とズレている可能性があると思い。ご意見を伺う前から別パターンのモックアップを用意していました。コントラストの強調された、クオリティの高い写真素材を小澤酒造様がお持ちでしたので、それが引き立つようなつくりです。当初の案からはガラッと変わりましたが、結果的にブランドのイメージが伝わりやすくなったと思います。お客様が使いやすいUIも意識しています。

小澤: 商品が簡単に買えますし、ECサイト内でモノづくりに対する想いがコンパクトに伝わるようにできていると思います。単なる酒の売買だけではない、+αの部分も面白いサイトにしてくれました。

新しいサイトと共にさらなる成長を目指す

――サイトのリニューアルは、実際に売上にも影響が出ているのでしょうか?

小澤: はい。前年比で出荷数が2倍になった商品もあります。要因としては、サイトの購入までの導線がスムーズになっていること、Shopifyの豊富なマーケティングツールが利用できること、そして量が増えても耐えられるオペレーションを構築できたことですね。

小林: Shopifyにはデフォルトでカゴ落ちしたお客様にメールを送信する機能があるのですが、かなり効果が出ています。あとはSNS連携など、直近の売上の半分はマーケティングによるものです。

何より、もともと小澤酒造様に優良なファンがたくさんいることが大きいですね。先ほどのメール施策ですが、開封率が約3割と素晴らしい結果が出ました。これは小澤酒造様がこれまでに築いてきた顧客との関係性が良いからです。そういった顧客に簡単にアプローチできる環境をご提供できたのは良かった点です。

――今後の展望について聞かせてください。

小澤: 現在は年商1億円を目標に、いろいろな施策を動かしていきたいと考えています。新サイトはデータも細かく取得できて、分析からの企画立案がしやすくなりました。お客様が求めているものをしっかり把握して、「澤乃井」のことをより多くの方に知っていただけそうです。

また、レッドオーシャンになりつつあるECで成果を上げるために、今の売上を作るだけでなく、それを育てることを意識しています。そのためにサイト内のコンテンツを拡充して、ショッピング以外の顧客体験を提供していく予定です。海外対応も取り組んでいきたいテーマです。オンラインを強化することで、これまでご縁のなかった方たちにも商品や想いを届けていきたいですね。

――今後デジタル化が進んでいくなかで、ECサイトを構築したり、リニューアルする事業者も増えてくると思います。最後に、そういった事業者へのアドバイスをお願いします。

小澤: パートナーを探す際は、ECに詳しいのはもちろん、ご自身の業界にも詳しい方に相談することをおすすめします。UIやデザインについてはお客様のことを第一に、バックエンドは業務の効率化を第一に考えてリニューアルすることですね。

小林: 当社が意識しているのは、事故を抑えるための体制づくりと、ブランド価値の向上です。「餅は餅屋」じゃないですが、事業者様は商品づくりやお客様とのコミュニケーションに注力していただいて、不得手な領域は支援会社に依頼するのがベターです。ブランドをさらに発展するために、妥協なくサポートさせていただきます。

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