『奇跡の歯ブラシ』の取り組みを支えるecforceの技術力
1時間のテレビショッピングで1億円超の売上をたたき出す『奇跡の歯ブラシ』。継続率94%と顧客に愛される理由は、顧客体験価値向上の徹底と、それを支えるECシステムの高い技術にあった。『奇跡の歯ブラシ』を販売する、株式会社買えるAbemaTV社の山岸氏と、EC基幹システム『ecforce』を提供する株式会社SUPER STUDIOの真野氏にお話を伺った。
シリーズ累計800万本が売れている『奇跡の歯ブラシ』
山岸 『奇跡の歯ブラシ』は、元々、ショップチャンネルで販売されていた商品です。しかし、テレビショッピングで販売されている商品の多くは、インターネット世代の人たちにはあまり知られていません。『奇跡の歯ブラシ』も、ショップチャンネルではすごく売れていましたが、まだ認知されていない世代が多く、そこにアプローチしたいと考え、買えるAbemaTV社でオリジナルカラーを新たに開発し、インターネットを通じて販売を始めました。
販売して1年間は、定期では販売していませんでした。ただ、AbemaTVで紹介すると、多くの方に購入していただけた一方で、放送ごとの販売数を予想することは難しく、在庫不足になることがありました。そこで、より安定的にお客様へ商品をお届けするため、定期通販という形で生産数をコントロールすることになりました。
真野 定期販売では、月に1回歯ブラシが送られてくるんですよね?
山岸 そうです。本来、歯ブラシは1カ月に1回取り替えるべきものです。しかし、それを実践している方は少ない。そこで、歯科衛生士さんに、実際にどのくらい菌が増えるのかを解説していただくなど、歯ブラシを毎月交換すべきことを啓蒙し続けました。その甲斐あって、徐々に理解を得られるようになり、奇跡の歯ブラシの定期継続使用率は94%(21年3月時点)と、多くの皆様にご継続いただいています。また、定期販売は月に1度歯ブラシをお届けすることで、強制的に歯ブラシを交換するタイミングをつくれることも利点ですね。
ecforceの技術力
山岸 ecforceを使い始めたのは、2021年の4月からです。定期販売を強化するにあたって、いくつかリピート通販に特化したECシステムを比較検討したのですが、ecforceはアグレッシブに開発を進めていく開発力の強さが弊社に合ったので、そこが決め手となりました。
真野 デジタルに明るい事業者様たちがecforceを選んでくださる傾向があるので、その方々のニーズに応えていく必要があります。そのため、開発の体制は万全の状態にしてあります。例えばサイト内のCVRがなぜ大事なのか、事業者様たちが分かっているので、相互理解があった上で機能開発ができます。
もちろん知見があまりない方に対してもしっかりとしたサポートができるように、CSの支援はかなり厚くしています。クローズドでクライアント限定の勉強会を開いたり、セミナーを定期的に開催しています。
実は、今後はecforceを利用してくださっているクライアントのコミュニティ化を行おうとしているのです。クライアント同士でコミュニケーションを取れる場を設けて、そこに質問を投げることでお互いに教え合える場を、私たちで作り上げていきたいと考えています。
山岸 ここがもっと良くなったとか、この機能はこういうふうに使うといいよとか。生のノウハウは、事業者しか持っていないので参考になりそうです。
真野 そうですね。以前はノウハウを共有したくないという空気がありましたが、最近は随分とオープンになってきた印象です。
定期販売に特化したシステムづくり
山岸 ecforceでEC運営を行ってからは、マーケティングがしっかりできるようになったことにも満足しているのですが、一番良かった機能は、フォーム一体型LPです。元々割と良かったCVRが、フォーム一体型LPにしてからさらに2%ぐらい上がって。もう上がらないだろうと考えていたくらいCVRが高かったので、まだ上がる余地があったのかと驚きました。
クロスセルとアップセル施策を簡単にできるところもいいですね。歯ブラシを買っていただく際に、歯磨き剤セットのクロスセルを行っているのですが、そのクロスセル率がとても高くて。想定するより7%ぐらい高い数値になっています。
細やかな点で感動したのは、マイページの機能です。定期販売の場合、長い期間ご利用される方が多いので、お届け先や支払い方法を変更するとか、商品を変えるとか、マイページを使う頻度が高い傾向にあります。定期通販だからこそ必要になることがある。ecforceのクライアントからの「ユーザーと接点を持ちたい」という声が増えてマイページを開発したそうで、本当にありがたいです。
真野 定期販売で必要になる他の機能としては、初回は安く、2回目以降は違う価格で販売できるなど、価格設定の変更ができる機能などですね。また、購入回数に応じて同梱物の設定ができる機能も充実させています。同梱物の設定についてはサービス開始時からある機能ですが、私たちが知る限り当時はecforceにしか搭載されていませんでした。
また、『talkmation』というWeb接客自動化システムを、新たなオプションとして開発しました。定期のお客様が問い合わせる際に発生する、シナリオに応じたアクションをチャットでできるようになっています。通常ならコールセンターに問い合わせる内容をチャットで対応でき、コールセンターの費用や工数を20~30%削減可能です。
顧客体験価値を高めるために
山岸 歯ブラシ以外にも、歯磨き剤や歯間ブラシ、マウスウォッシュなど、オーラルケアを全般的に商品展開していきたいと思っています。
それも、お客様の悩みに合った、パーソナライズされたものを提案できるようにしていきたいです。これは、会員基盤があるからこそできることだと思っているので、それをプラスで提供していけるようなビジネス展開を考えています。
真野 パーソナライズECではアンケート診断を行い、お客様に合った商品をレコメンドします。しかし、どのお客様が何を回答したかのアンケート結果が取れていないケースも多く、マーケティングに利用できていない事業者様もいらっしゃいます。それらを連携できるパーソナライズシステム『1d color』を開発しました。
『1d color』を使うことで、ユーザーの好みが明確になり、最適なマーケティング施策が打てるようになります。パーソナライズに欠かせない1to1の提案がよりしやすくなります。
山岸 まさにそういうものをやりたいと思っています。パーソナライズ診断をして、「あなたにぴったりな歯磨き剤はこれです」「次回はこちらをお届けします」といった質の高いコミュニケーションを今後は実現したいです。
真野 顧客体験価値を高めるという視点から、今後、パーソナライズされたサービスは不可欠だと感じています。事業者様にとってもお客様にとっても最高の顧客体験価値を提供できるよう、さらに基幹システムとなるecforceに磨きをかけていきたいと思っています。