(前半)トランスコスモス主催セミナー オムニチャネル型ECの実現手法

ECのミカタ編集部

変わる消費者行動と購買経路 オムニチャネルECを実現していくには

開会挨拶で登壇する、トランスコスモスDMS統括アカウントエグゼクティブ本部第2総括部総括部長、前田雄志氏


変化するECビジネスに対応するため、総合型ECプラットフォームの「eCommerce HUB」サービスを提供するトランスコスモスが主催する「スマホ普及が変えた消費行動 オムニチャネル型ECの実現手法」セミナーが開催された。
消費者購買経路の変化と対策、ECにおけるオムニチャネルの位置付け、勝つための条件。そしてオムニチャネル型ECを支えるプラットフォームとその運営など、EC事業者が押さえておくべき必須概念を各界のスペシャリスト達が解説していく。当日の様子とその空気感を感じて頂けたら幸いである。

EC消費者動向の変化とこれからの顧客戦略


株式会社Ryo-MA代表取締役社長 小林亮介氏


最初の登壇者は、当WEBサイト「ECのミカタ」を運営する株式会社Ryo-MA代表取締役社長の小林亮介氏である。
氏曰く、消費者動向調査より、消費者の購買行動には以下のように3つのパターンがあると言われている。

・目的買い:購入する商品が決まっていて商品を購入する購買行動のこと。計画買いとも言われる。
・衝動買い:購入する商品が決まっていない。予め決まっていないが購入する購買行動のこと。
・ながら買い:最近注目を集める新しい購買行動。何かをしながら購入する購買行動のこと。

さらに、各購買行動で最も当てはまりやすいニーズに分類すると以下のようになる。

・EC(PC)のニーズは「目的買い」
・店舗、カタログ、DMのニーズは「衝動買い」
・EC(スマホ)のニーズは「ながら買い」

昨今普及が急速に広まるスマートフォン経由の購買行動のほとんどが「ながら買い」であるとの結果が出ている。何かをしながらスマホをいじり、そこから購買につながる新しい買い物の形が定着しつつある。そしてこの3つの購買行動を押さえ、対策を打ち出していくことが今後非常に重要になっていくと氏は語る。

1つ注意点として、購入経路を3つのうち1つに偏りすぎるのはNGという結果も出ている。同業かつ競合であったベルーナとニッセンの例で、2009年にはほぼ横這いであった2社だが、ニッセンがインターネットだけにシフトチェンジしすぎた結果、2012年には経営利益に非常に大きな差が出てしまっている。偏りすぎること無く、満遍なく押さえることが必要と認識させられる結果だ。

これらを踏まえ各購買経路への対策を考えていくと、共通の対策として浮き彫りとなってくるものは、自社の商品にあった3つの購買行動を意識するとともに「ブランディングの強化」を行うことである。購入物が決まっている消耗品やブランディングが出来上がっている商品は、新しい購入の形である「ながら買い」で購入しやすい。モールユーザーはショッピングモールで購入しているという認識はあっても、個別の店舗で購入している意識がない。その状況が続いていてはいつまでたっても自店のリピートにはつながらないため、購入経路ごとに分析をし、顧客一元管理とブランディングを並行していき自社のファンを囲い込むことが成功のカギであると小林氏は語った。

次世代EC、勝者の条件~変わる消費者行動。ECと実店舗連携が生む価値パターンとは~


Leonis & Co.共同代表兼、トランスコスモスDMS総括オムニチャネル推進室室長 伊藤圭史氏


続いて、専門家として市場形成の推進を行うオムニチャネルマーケティング専門会社「Leonis & Co.」の共同代表兼、トランスコスモスDMS総括オムニチャネル推進室室長の伊藤圭史氏が登壇する。ECにおけるオムニチャネルの位置、日米のオムニ型EC最新動向と、次のECはどのようにアプローチするべきかについての解説が入る。
氏が定義するオムニチャネルとは、「購買行動の変化に対応することによる衰退防止と機を活かした成長を狙う取り組み」である。ユーザーは新しい購買行動に以降しており、単一チャネルで全ての購買プロセスを終えるショッピングスタイルから複数のチャネルを横断してショッピングを楽しむスタイルに変わり、この新しい購買行動は数年内に主流となると予測する。ユーザーが変わったからには売り方も変えていかなくてはならないとし、日米のオムニ型EC最新動向をレポートする。

米老舗百貨店「メイシーズ」は、2012年にオムニ型ECで売上31億円を達成した。最終ゴールは「顧客がいついかなるときでもメイシーズでの買い物をできるようにする」ことだと宣言し、スマートフォンアプリを顧客接点の基軸にした。これによりECが急成長し、店舗にも好影響を与えている。ECサイトで得たユーザーデータを活用することにより、オンラインの売上が最大12%伸びたという結果を出している。

ポップアップストアという、空き店舗などに突然出店し(ポップアップ)、一定期間で突然消えてしまう期間限定の仮店舗で営業するスタイルが流行の兆しを見せている。このスタイルの特徴は、仮店舗であるため内装には費用を掛けず、むしろ商品のイメージを明快に表すデザインとなっており、期間は長くても3か月といわれ短いと3日で消えてしまう店もあるという。
Adidasやケイト・スペード、テスコなどのEC各社が展開し始め、非常に大きな利益を短期間であげる成果を出している。これを受け、今後は日本国内でもポップアップストアがくるのではと予測されているという。

続き日本国内のオムニ型ECの最新動向。
ブランド品の二次流通を主力事業とし、日本最大級のリサイクルショップ「コメ兵」を運営する株式会社コメ兵は、オムニ型ECの客単価は店頭の5倍であるとしている。Webで予約をし実店舗で接客を行い、システムと運用の両面からオムニチャネルを推し進める体制を構築することにより脅威の急成長を実現した。

また、「ネットショッピングの宅配に関する調査」より、コンビニ受け取りを利用したことがある、または利用してみたいというユーザーの比率が63.7%という数字が出ているように、いわゆる「クリック&コレクト」が成否を分ける要因となる傾向が強く見えてきている。
ヨドバシカメラはECサイトで注文した商品を24時間店舗で受け取れ、ECサイトと店舗でユーザーにとってお得な販売価格が適用されている。
楽天は宅配ロッカーの「楽天BOX」の試験運用を行い、ユーザーの都合の良い時間帯での受け取りが可能な体制を構築中だ。
LOFTでも、約2,000アイテムをセブンイレブン店舗で受け取りができるサービスを開始した。

これら各事例は皆、オフラインチャネルを活かしている。オフラインチャネルを活かす仕組み作りをし、仕組みを活用する運用の実現にむけるというアプローチ、つまりはオフラインとチャネルの力を活かすアプローチこそが今後のECに求められる姿勢であると伊藤氏は締めくくった。


(後半に続く)
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