(後半)トランスコスモス主催セミナー オムニチャネル型ECの実現手法

ECのミカタ編集部

(前半)
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オムニチャネル型ECを支えるプラットフォーム運用とは

小林氏による戦略分析、伊藤氏による勝ちパターン分析により、パッケージを選んでECサイトを入れて運用するなど従来のやり方では、ユーザーの変化に完璧な対応ができなくなってきている現状が見えてきた。様々なデバイスでの情報閲覧により運用コンテンツが増大。購買行動の変化による顧客行動データの増大。スピードが早くなったことによりマーケティング運用者の負担が増大、など、増大する物量にパンクが見え始めてきている現状であることが分かる。
トランスコスモス株式会社DMS総括Webインテグレーションサービス本部システムインテグレーション部の田村博彦氏、Webインテグレーションサービス2部の原田彰久氏の両氏に、同社の運営するECパッケージ「eCommerce HUB」の紹介とともにオムニチャネル型ECに対応するポイントについて解説していただく。

トランスコスモス株式会社DMS総括Webインテグレーションサービス本部システムインテグレーション部 田村博彦氏

まず、田村氏が定義するポイントは3つ。

1:顧客行動データを活用したマーケティング活動「スピード」「タイミング」「チャネル」
2:店舗とECをスムーズに連携する「仕組み」
3:増加する業務に対応するための「運用体制」

これら3つを、順番に押さえていく。まずは、1について。
これまでのマーケティングの問題点として、消費者の購買行動変化により、最適なタイミングとチャネルでプロモーションがしにくい現状がある。これらはスピード感を持って実施することが大切であり、プロモーションのタイミングの最適化を計るために、従来の担当者(人)による運用からデータとシステムを自動的に回すマーケティングオートメーションの導入が必須となってくる。また、プロモーションチャネルの最適化という面でも、従来のEメールでの施策だけでなく、自社アプリや電子DM(プッシュ通知含む)などコンタクトポイントを増やし、顧客にマッチした最適な施策を実施する必要がある。
「eCommerce HUB」を利用することによって、消費者の履歴データなど状況を常に把握し察知でき、分析してシナリオを組み、多方面のチャネルにプロモーションをかけることができる。特徴として、
1:ECパッケージに必要な機能の標準搭載
2:外部連携対応のマーケティングオートメーションの実現
3:スモールスタートから大規模な運営にも幅広いレンジで対応が可能
4:コールセンターやYahoo!楽天などモールとの売上連携と統一的管理が可能
という4つの点があげられる。
ショッピングカートの購買フローでの具体例として、カートに入れたが購入にはいたらなかったユーザーをターゲットにする。これは、蓄積されたデータがあるから可能となる。そのユーザーに対して、様々なチャネルからリマインドメールを送信できる。一度のリマインドメールでダメだった場合、再度クーポン付きのメールを送ることが可能。開封率は正直高くはないが、開封した場合のコンバージョン率は高い。大切なのはシステムがこのステータスの変化を自動的にキャッチできるのかということ。これを実現した場合の実例として、日用雑貨系の店舗では前後二ヶ月の売上伸長率が120%、メールレスポンス率は最大で300%アップしている。リピート商品系の店舗では、同一セグメント前後半年で売上伸長率130%、ROIは150%アップした。MAのあるなしでこれだけ数値に差が現れるのだ。

次に、2の店舗とECの関係について。
一店舗で保留できる在庫は有限だが、ECサイトでは全店舗の在庫数が対象となるため、比較的多くなる。行動履歴は店舗では不明確だが、ECサイトでは明確となり、かつ「eCommerce HUB」ならデータの吸収と蓄積が可能。接客面や実物が見れる店舗の強み、他購買者のレビューなどで情報が豊富なECサイトの強み、といったように、店舗とECサイトにはそれぞれの特徴があるため、補完し合う施策を行うことがより効果的である。マーケティングソフトウェアの「OFFERs」を併用することで、店舗とECの補完という面を強化することが可能となる。
「OFFERs」の特徴は、多様な電子DM配信、位置情報連動のイベントベースドマーケティング機能、店舗とECの利用状況を横断で分析することでリアルタイムとビックデータ両面分析が可能となっている。
連携事例として、ユーザーが来店した際にチェックインクーポンを配信する。陳列棚の前に行くと、その商品が自動的にスマホで閲覧可能となり、商品バーコードを読み取ることで商品詳細情報の閲覧やレビュー、動画のチェックなどで多角的に商品の魅力を知ることが可能となる。店頭に在庫がなくても、ECサイトと連携しているため、ECサイト購入ができ在庫の売り切りを連携全店舗間で行うことができるのだ。クリック&コレクト面も押さえており、店頭受け取りももちろん可能だ。

このように、ECサイトと店舗の連携施策はますます色々なアイディアが出てくる。パッケージとソフトウェアを組み合わせることで選択の幅も広がり、今回紹介した実例以外にも、工夫次第で独自の取り組みを展開することも可能であると田村氏は語る。
3つめのポイントを、原田氏へと引き継ぎ田村氏の講演は締めくくられた。

オムニチャネル化により増える業務の運営について

トランスコスモス株式会社DMS総括Webインテグレーションサービス本部Webインテグレーションサービス2部 原田彰久氏

新たな施策を行うことで物理的に増える業務は、今までの運営ではスピードが追いつかずコストも増加する。しっかりとした運営準備を行い、体制を整える必要がある。コストの最適化、コンテンツ品質の均一化と向上、人的リソースの確保、継続的な業務改善など、どのような見直しを行うことが大切になってくるのか。
原田氏が提唱する、見直しのためのステップは4つ。

1:業務の棚卸し
2:個別業務見直し
3:業務全体再設計
4:人的リソース調達

この4ステップを踏まえた運用最適化のケーススタディを、総合通販ECサイト運営会社の実例をあげ説明していく。
体制変更前の課題として、現状のサイト運営作業に追われ新たなオムニチャネル戦略を考える時間が取れない、といった点がネックとなっていた。担当者の負担を下げ、新たな施策を考案し実行できるようにするため、詳細なタスク洗い出しを行い、業務フローを確認する。その上で運用メンバーのタイムスケジュールを分析したところ、問題点が見えてきた。

「特集ページ」を作りこむことで売上を上げようとしていたため、そのページに関わる作業時間が膨大なものとなってしまっていた。解決策として、時間短縮のため「作り込み特集」を減らし、時間のかからない「テンプレート特集」に変更することに。どちらがより効果的かを事前にABテストで比較したところ、作り込み特集が103%、テンプレート特集が100%、と、売り上げ貢献度に大きな差は出ないことが判明する。多角的に捉えても、テンプレート特集の方が圧倒的にメリットが多いということがわかった。
この改善、体制変更により、運用全体でコストを15%削減、制作スピードは上がり特集量を従来の倍に増やすことに成功、社員の負担も軽減され、次なる施策を考える時間を捻出することに成功した。
このように、現状運用の見直しをしっかりと行い、見えてきた課題に対し最適な改善策で対応することが基盤となる。オムニチャネル型ECサイト運用の準備を整えることが、成功への第一歩であると原田氏は語った。

全員の公演が終了し、最後にトランスコスモス株式会社DMS総括Webインテグレーションサービス本部システムインテグレーション部部長、坂祥明氏による、閉会挨拶と同社提供サービスの総括が行われた。これをもち約2時間に渡る今回のセミナーは幕を閉じ、会場は解散となった。

現状把握と、原因別の対応を適切なシステムの力を借り行うことで、課題は解決に近付けることが可能になる。EC業界に必須となりつつあるオムニチャネルを実現するためには、実例をこなしてきたスペシャリストの協力を仰ぐことが一番の近道なのかもしれない。


文:島名


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