EC事業者の「停滞」を打破するブランディングとは

ECのミカタ編集部 [PR]

EC市場の売上高はいまだ増加しており、2021年も世界規模で前年比19.5%増の542.0兆円、日本だけでも28.0兆円(※1)で、国内のEC店舗数はまだまだ増加の一途をたどる。そんな中、新規顧客を獲得しファン化を図るためには、セールやポイント付与、クーポンでの割引施策だけでは限界があると株式会社ALL WEB CONSULTING(本社:東京都港区、以下「AWC」)の代表取締役社長、江守義樹氏は指摘する。「これからのEC事業者にとって重要なのが、ブランディングです」という江守氏と、新たに同社にジョインしたブランディング事業部統括部長の木戸彩子氏に、話を聞いた。

※1:総務省「令和4年 情報通信に関する現状報告の概要」

「ブランディング=広告宣伝」ではない!?

──EC市場が拡大し店舗も急増する中、EC事業者間の顧客争奪戦が激しくなっています。事業者からそうしたお悩みも増えているのではないでしょうか。

代表取締役社長 江守義樹氏(以下、江守) はい。ただ各社が売り上げ確保のために実際にしている施策は、新規顧客獲得のためのセールやポイント付与、あるいはクーポンでの割引施策などがメインです。こうした価格競争ではセールを打った月初に1000万円の売り上げを上げても、月末には売れ行きが急落してしまうといったことも起きますし、そもそも利益率は下がり、過当競争が起きてしまいます。それを変えるのが、ブランディングだと思っています。


──AWCでは今回、ブランディング事業部に木戸さんを統括部長として迎えました。木戸さんはこれまで数多くの企業のブランド戦略に携わってこられたとうかがっています。

ブランディング事業部統括部長 木戸彩子氏(以下、木戸) 調査会社やPR会社などを経て、ブランドコンサルティング会社のインターブランドに10年勤務し、ディレクターを務めました。その後、外資系金融会社のブランド責任者をつとめ、3年前に独立してブランドコンサルティングを手掛ける中で、AWCにご縁をいただきました。


──ブランディングと聞くと、大企業が戦略的に展開する「ブランド戦略」が思い浮かびますが、一般的な企業とEC事業者、あるいはEC店舗のブランディングは、大きく異なるものでしょうか。

木戸 規模の大小やオンライン、オフラインの違いに関わらず、ブランディングの重要性は変わらないでしょう。なぜなら、ブランディングというのは、顧客に「他ではなく、このブランド(EC ショップ)を選ぶ理由」を明確にすることであり、そして選ばれ続ける仕組みを作ることだからです。昨今のようにEC事業者が乱立している状況では尚のこと、ブランディングが重要だと私たちが考えているのも、まさにそういう理由からです。

一方で、事業規模によるアプローチの違いはあるでしょう。組織が大きいと、比較的大きな予算やリソースをかけられる一方で、関係者間の意見調整をより丁寧に行う必要があったり、意思決定プロセスが複雑になったり、とがったアイデアが生み出されにくかったりという面があります。中小規模であれば、予算やリソースの制約は大きいと思いますが、スピーディーなアクションをとれたり、創意工夫や独創的なアイデアが生まれやすかったりという良い面もあります。

往々にして誤解されていることですが「ブランディング=印象的な広告宣伝を行うこと」ではありません。顧客との様々な接点を通して、いかに自社の魅力を効果的に伝えていくか、ということが肝心なのです。ですから、「ブランディングは大きな予算がなければできない」ということではなく、できることからやっていくという発想を持つことが大事です。

株式会社ALL WEB CONSULTING 代表取締役社長の江守義樹氏

ブランディングに注力する会社は企業価値が向上

──ブランディングができている、できていないEC事業者の違いはどういった点に表れやすいでしょうか。

江守 売り上げの観点で言えば、リピーター数に表れてくると思います。ブランディングができている場合──それは例えば、その事業者の特徴や提供価値が分かりやすかったり、独自の世界観をターゲット層に響くカタチで表現できていたり──、新規顧客獲得数が多いだけでなく、リピーターが付きます。

一方で、昨今当社で増えているのが、15年以上前のEC黎明期にEC事業を始め、成功を収めてきた、いわばEC事業先行者の皆様からの「停滞」への不安感や、その打開策に関するものです。黎明期は競合も少なく安定的に売上を作ることができていましたが、このところの急激なEC市場の拡大により競合が多く参入してきたことにより先行者メリットが徐々に薄れてきております。そしてその中で、しっかり売り上げを増加してきた店舗のケースと、逆に競合に顧客を取られ売上が減少してきた店舗のケースに二分されるようになってきました。

後者の事業者様にどういった施策をしているかおうかがいすると、「送料無料やポイント付与、セール」などの割引施策が上がります。しかしこうした施策は多くの事業者様が実施しているため、それ自体はアドバンテージにはならず価格競争に巻き込まれるだけです。では安定的に顧客を獲得し売上を上げていったところが何をしているかというと、ブランディングなのです。ブランディングとはファン化を行うことであり、ファン化することでリピート率、再購入する確度が上がるといった効果が期待できます。


木戸 もちろん、販促キャンペーンや広告を適切に打っていくことは大事です。ただ、そうした際に、ブランディングの視点を持って企画・実施することで、その予算が短期的な「消費」で終わってしまうのではなく、その先の顧客愛顧につなげるための「投資」に繋げていくことができます。

マーケティングでは、ブランドは投資対象の資産と捉えます。投資し、育てていくことで、存在感を大きくし、想起されやすく、選ばれやすいものへと発展していくのがブランドであり、それ故に、将来的に安定的な収益をもたらしてくれる強みになっていくものです。例えばAppleは「少々高くてもスマホやPCはAppleブランドで揃えたい」という多くのファンがいるので、マイナーブランドのメーカーに比べて収益が安定しています。ちなみにAppleは、純粋なブランド力だけで4822億ドル(約71兆4300億円)の価値を生み出すと言われています。

先ほど江守がお話しした「ブランディングをやっている事業者」は、広告やSNS、あるいは顧客対応などいろんな場面で、ブランドの魅力や価値観を明確に、そして一貫性を持って伝えていく工夫をされています。だから、「◯◯ならあのショップ」「あのショップで買いたい」というように消費者に想起してもらいやすく、それが売上に反映されているのだと思います。

ブランディング事業部統括部長の木戸彩子氏

まずは事業の本質に立ち返る

──とはいえ、ブランディングと言われても何をすればいいのか……と立ち止まる事業者も多そうです。

木戸 ブランディングというと難しく感じるかもしれませんが、その本質は事業成長のためにあるものです。ですので、企業の皆様には、まずは事業規模の大小やオンライン、オフラインの違いに関わらず、どんなビジネスでも「なぜこのブランド(事業)をやるのか、どこを目指し、何を達成したいのか?」といった目的やビジョンを明確に持っていることはとても重要ですよね。

なぜなら、ビジネスを営むということは、不確実性のある社会経済環境の中で、最善を尽くして様々な判断・選択をしていくことの連続で、その時にそもそもの目的がはっきりしていないと、必要以上に迷い、非効率な経営になってしまうからです。目的がはっきりしていると、それが羅針盤となって判断を助け、また社員や取引先とのチームワークを促し、より大きな挑戦へと向かっていける。そして同時に、目的がはっきりしているからこそ、今足りないものは何か、何が課題なのかも認識しやすく、ブランド戦略も立てやすいのです。

次に考えるべきは、このブランドは「誰に」「どんな価値」を提供するのか、「他にはない魅力」は何かということです。そのためには、ターゲット顧客や競合を設定して理解を深めること、そして自社の内省も必要です。その際に、自分達の経験値や肌感覚による洞察は大変貴重ですが、同時に顧客や世の中の評価といった客観的視点も非常に重要です。

江守 よく「製品は工場でつくられ、ブランドは心の中でつくられる」と言われるように、ブランドは商品やサービスだけでなく、カスタマーサポートの対応がどうだったかとか、レビューでどんなことが書かれているかとか、そういった色々な要素を総合して、顧客が頭の中で作り上げるイメージなんですよね。

木戸 だからこそ、ブランディングを行う際は、主観だけに偏るのではなく、「顧客はどう認識しているだろうか?どう感じるだろうか?」といった客観的視点を常に持っていることが大事なんです。

商品レビューに目を通すことも顧客分析

──客観的視点を持つためにはどのようなことができるでしょうか?

木戸 まずは自社の顧客データをみてみましょう。どういう人が購入しているのか、どういう経緯で自社のECサイトにたどり着き、どんなタイミングで何をどのように購入しているのかといった点などを調べてみると、自社のブランドを選んでくれる人たちの特徴や傾向が見えてくると思います。ユーザーレビューも貴重なデータです。ポジティブなコメントだけでなく、ネガティブなフィードバックも、ブランドをよりよく進化させるためのヒントを含んでいます。競合についても同様です。レビューを見てみたり、あるいは顧客として購入してみてサービス品質を体験してみたりすることで、競合の強みや弱み、自社の独自性の理解につながります。こうしたことは、あまりお金をかけずに自社で直ぐにできることです。


江守 弊社ではEC事業者向けに今すぐできるブランディングセミナーを無料で行っておりますので、詳しいノウハウは今後そのセミナーでお伝えしたいと思っています。それでもまだブランディングは自分たちには早いのではないかと迷われている場合は、まずは話を聞いてみて、考える機会にしていただくと良いかと思います。少なくとも、「自分たちが何を目的に、どういう層のターゲットに向けて、どう行動していきたいのか」まで考えることは、EC事業者が増加した今だからこそ、自分たちの商品を始め、ブランド、ひいては企業の価値をどう高めていくことができるのか。それができれば、他の事業者との差別化もしやすくなってきますね。

──お聞きしていると、ブランディングは大規模予算を確保して展開するものだけではないと感じられます。

木戸 ブランドは様々な経験を通じて顧客の心の中でできるものですので、顧客との接点の全てがブランディングの機会です。そう捉えると、大きな予算をかけなくても、できることがあるとご理解いただけると思います。EC事業者の皆様が各自で創意工夫して、「選ばれるブランド」へと発展していけるよう、当社がナビゲーションしてお手伝いいたします。ぜひご一緒に取り組んでいければと思います。

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