ビジネスのステージを上げる フレッシュフード国内シェアNo.1が「AD YELL」を選んだ理由
株式会社バンカブルが提供する「AD YELL(アドエール)」は、Web広告費を4分割・後払い(BNPL ※1)にするサービスだ。同サービスを活用し、Web広告費の支払額を4分の1に分割し、支払期間を伸ばして支出を緩やかにすることで、手元にある資金を、金融機関からの借入枠を温存しながら、テレビCMや資材調達などに投資できるようになる。この「AD YELL」を活用し、事業拡大につなげたのが、今回紹介するスタートアップ企業の株式会社バイオフィリアだ。同社 代表取締役社長兼CEOの岩橋洸太氏に聞いた。
「ココグルメ」はフレッシュペットフードの国内シェアNo.1(※2)
――貴社の事業について改めてお聞かせください。
人間が口にするものと同じ品質の食材=ヒューマングレードの食材を使用する、フレッシュペットフード「CoCo Gourmet(ココグルメ)」を開発・販売しています。「ココグルメ」は総合栄養食基準(※3)、獣医師監修の手作りドッグフードで、ドライ加工やレトルト加工ではなく低温調理で作られています。安全性にこだわり、香り、味もよいため、ペットを家族の一員として大事にしている飼い主さまにとって、安心して食べさせられるペットフードとして、需要が高まってきています。
――ビジネスモデルとしては、ECがメインですか。
そうですね。ネットショップで申し込んでいただき、冷凍パックで定期的に飼い主さまのご自宅に届けるサブスクリプション方式がメインです。2019年6月の発売以来、高くご支持いただいていて、2023年12月時点のARR(年間経常収益)は約23億円となりました。
――フレッシュフードとしては国内でNo.1のシェアなんですね。利用数はどれくらいでしょう。
2024年4月1日時点で会員愛犬数は25万頭以上です。累計販売食数は約1.2億食(※4)、サービス利用継続率は約95%となっています。また現在は通販だけでなく、サプライチェーンの強化とともに、海外進出にも取り組んでいるところです。
「これはキャッシュフローが変わるぞ」と思った
――「AD YELL」を利用したきっかけを教えてください。
事業に自信があり、売上も伸びていました。しかしキャッシュは別です。「ココグルメ」は先行投資として広告宣伝費をかけ、リピーターを増やして定期便の売上を立てていくというビジネスモデルですが、先の売上を見込んで投資を続けてきたこともあり、事業のモメンタムとキャッシュフローが必ずしも比例しないことがありました。統計的に見て売上は確実だと言えるのに、金融機関は過去の財務指標を重要指標にするなど、資金繰りに苦労する局面もありました。
そんなときに「AD YELL」を知り、「これはキャッシュフローが変わるぞ」と思いました。先行投資となる広告宣伝費の支払いに猶予をもたせられれば、定期便の購入と同じタイミングで決済できるようになる。これは、キャッシュフローに余裕のないスタートアップ企業でも事業を拡張していける、素晴らしい取り組みだと思ったんです。
実際に利用してみて、まず弊社の事業構造への理解が素晴らしいと思いました。バンカブルさまは、広告事業を祖業とするデジタルホールディングスのグループ企業のため、広告事業に対して知見があり、広告の実績から与信を判断してくれるので、とにかくコミュニケーションがスムーズです。弊社が将来的にキャッシュをちゃんと回収できることを評価・理解していただけました。そして、審査がWeb上ですべて完結するなど、システム面もスムーズでスピーディーな点も大きく、出会えてよかったなと思っています。
果敢な投資ができるのは「AD YELL」のおかげ ビジネスのステージも一気に上がる
――具体的には、ビジネスにどのように「AD YELL」を活かしたのでしょうか。
2023年春に、社運をかけてテレビCMを出稿しようと考えました。その大きな投資を前にキャッシュフローを安定させるため、Web広告の費用は「AD YELL」を利用することにしました。結果的に、テレビCMのおかげで、企業としてのステージが上がったと感じています。それまでも事業は好調で、飼い主の方々から高い評価をいただいていましたが、それはEC上の“BtoC”での話です。小売店やメディアといった“BtoB”の認知においては、PRにそこまで力を入れていなかったこともあり、それほどではありませんでした。それがテレビCMを打ったことで“BtoB”での認知が高まり、小売店で取り扱ってもらうまでのハードルが下がりました。“BtoC”においても、テレビCMをきっかけに認知が広がったのを実感できたため、出稿してよかったと手応えを感じています。
一般的にマス広告は認知拡大を、Web広告はよりダイレクトな集客や購買に結びつくものだとされています。企業経営の視点から見ると、マスもダイレクトも両方を合わせて総合的に勝負していかなければ成長はできないと思います。Web広告はだんだんとCPA(※5)が高騰していき、いずれ限界がきます。そのため、企業として小売店での販売やさまざまなメディアへ露出していくことが必要になります。総合的な勝負と言いましたが、テレビCMだけでなく、製品を改善したりイベントに出展したりと、やりたいことがたくさんあるわけです。
ただ以前はイベント出展を打診されても「今は、資金が足りないから」と断らざるを得ないことがありました。それが「AD YELL」で資金繰りが改善されたことで、やりたいことをひとつひとつ積み重ねることができるようになり、それが現在の売上につながっています。
広告を途切れることなく出稿し続け、想起いただく機会を断続的に提供できることもメリットでしょう。ペットフードは一食100円で買えるものもあるため、ココグルメのように一袋300円以上する商品となると、最初は購入をためらってしまうと思うんです。しかし、広告を出稿し続けることによって、認知が広まり、手に取ってくださるお客さまが増えました。お客さまの求めているものを真摯に作り続けて認められたのは、広告の力が後押ししてくれたからだと思うんです。また、小売店で取り扱ってもらうためにも広告による認知拡大は重要な役割を果たします。これも「AD YELL」のおかげかなと思います。
――広告による認知拡大は信頼にもつながるんですね。だからこそ小売店からも引き合いが生まれていると。これは安心ですね。
経営者としては心の安心感にもつながっていると思います。バンカブルの髙瀬社長(※6)ともお話しましたが、バンカブルの皆さんはスタートアップに理解があり、「使い続けてもいいし、いつ卒業してもいいんですよ」というスタンスでいらっしゃる。これは非常にありがたいことです。現在では弊社の資金は潤沢になりましたが、スタートアップ企業はいつどうなるか分からない面もあります。競合大手が大量の資金を投入してきたら吹き飛ばされてしまうかもしれない、という不安は常に付きまとう。そんなとき、バンカブルさまと契約していて、いつでも投資が踏める状態にある、キャッシュがなくなる瞬間がない、という状態が作れていることは安心感につながります。果敢な投資ができるのも、バンカブルさんの存在が心理的に作用しているからではないかと。
「AD YELL」では広告が担保になる
――「AD YELL」の審査では、広告レポートを活用します。既存の金融機関と大きく異なるところだと思いますが、実際に利用してみてどう感じましたか。
メリットもデメリットもあると思います。広告レポートなので、申し込む企業で金融や経理を担当している人には、レポートの数字が分かりにくい可能性があります。ただ通常のダイレクトマーケティングを経験した人なら分かる指標なので、負担感が少なく、すぐにできる点は大きなメリットで、導入までのハードルは非常に低いと思います。
海外にも進出し10年後の売上1000億円を目指す
――「AD YELL」は、スタートアップの事業フェーズの中で、どのタイミングで活用するのがよいのでしょうか。
これから事業を大きく伸ばしていきたいというときではないでしょうか。ここで広告に投資したら事業が伸びると分かっているけれど、先行投資の負担が経営的に重い──そんなときに活用できると思います。スタートアップ企業の資金調達ではVC(ベンチャーキャピタル)という選択肢もありますが、弊社のように堅実に伸ばしていくBtoCの事業は、成長スピードを求められるところとは相性があまりよくない場合もあります。しっかり収益が出る事業モデルであれば、バンカブルさまのサービスを活用して事業を拡大できると思います。
――今後は海外進出を考えているそうですね。
はい、それができるのもバンカブルさまのおかげかなと思います。弊社は、より多くのワンちゃんにおいしいごはんを届けたいという想いで、10年後には売上1,000億円という目標を掲げ、逆算して事業を進めています。国内の市場規模では1,000億円は難しいので、海外進出はマストです。実現すれば、国内:海外が400億円:600億円ほどとなり、海外の比率が高くなるでしょう。今の国内売上は約23億円ですが、これを400億円にするには、通販事業を引き続き伸ばしていくことに加えて、小売店舗でのリテール事業を大きく成長させていく必要があります。ペットフード市場はリテールの割合が大きいので、そこで300億円ほどの売上にしたい。
商品の横展開も目指します。フレッシュフードのほかに、常温で保存できる「ココグルメ・レトルト」を2023年9月に発売しました。ウェットフードとフレッシュフードの中間に位置するイメージの商品です。これで小売店の店頭でも展開しやすくなります。こうした、お客さまのみならず販売パートナーさまの課題を解決できる商品をどんどん作っていきます。
※1:後払い式の決済手段「Buy Now, Pay Later」の略
※2:「フレッシュフード」はドライ加工・レトルト加工をしていないペットフードのこと。シェアは2022年8月、TPCマーケティングリサーチ株式会社調べ
※3:ドッグフードにおける「総合栄養食」は、毎日の主要な食事として与えることを目的とした製品。米国飼料検査官協会や米国科学アカデミーの学術会議が基準として提示したガイドラインに従い、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験、もしくは実際に動物に与える給与試験をクリアしたものが、総合栄養食として認められる
※4:2023年10月1日時点。2.0kgの小型犬で1日2食与えるものとして換算
※5:「Cost per Acquisition」または「Cost Per Action」の略。集客などの成果を得るために、顧客1人あたりにかかった費用を指す
※6:バンカブル代表取締役社長 髙瀬大輔氏