「DX化がうまくできない」と嘆くのは夢を見すぎでは? マシーン+ヒト=DX化である──攻めのaccaがEC業界的「物流2024年問題」を斬る

ECのミカタ編集部 [PR]

株式会社アッカ・インターナショナルSales Division Warehouse Robot Implement Evangelist(セールスディビジョン 倉庫ロボット導入エバンジェリスト)の林千博氏

物流現場の担当者たちは、DXのためには「専門知識のある人材」が必要だと考えやすいが、ECのフルフィルメント業を担う株式会社アッカ・インターナショナルSales Division Warehouse Robot Implement Evangelist(セールスディビジョン 倉庫ロボット導入エバンジェリスト)の林千博氏は、「DX人材には資格も国家試験もなく、誰でも名乗れる」からこそ、重要なのは「今のオペレーションのプロセスマップが描けるかどうか」だという。4回にわたって話を聞く3回目は、DX化を成功させるための「DX人材」「コンサルタント」について掘り下げてもらう。

【これまでのインタビュー】
第1回:「トラックドライバーの奪い合いは、起こったほうがいい」
第2回:自分ひとりが頑張ってどうにかなる時代ではない!ネットワークこそが最重要

DX人材を採用する条件は「プロセスマップが描ける人」

──前回、「DX人材には資格も国家試験もない」「誰でも名乗れる」とおっしゃっていましたが、では林さんが社内でDX担当者を抜擢するとしたら、どのような人物を選びますか?

答えは簡単です。今のオペレーションのプロセスマップが描ける人、それだけですね。アッカ・インターナショナルはフルフィルメント業を手掛けていますので、その業務全体のプロセスマップを描けなければ、どこを機械化すればいいかわかりません。でも裏を返せば、それさえ描ければ、あとは自分で学んでいろんなことができるという意味でもあります。

今までDX化に失敗している会社は、それこそ自称「DX人材」みたいな人に「この機械を入れたらよくなりますよ」と言われるがまま入れている、というケースが圧倒的に多いんです。

DX担当者に求めるものは「ロジカルな思考ができる人」など、挙げればいろいろあるでしょうけど、まず何より自分たちのオペレーションがしっかり理解できていて、「このオペレーションには、この機械が使えそうだな」というイメージを描ける人なら大丈夫だと思うんです。だから、物流の実務に携わり、現場をしっかり把握している人であれば、誰でもDX人材になりうる可能性があると言えます。

AGVについては知識ゼロから、独学で学んだ

──林さん自身も、専門知識は現場で身に付けられたわけですよね。

はい、私自身は大学で専門的に物流業務を学んだわけではありません。だからこそ、自分の努力で収入を上げていきたい、そのためには必死で勉強しなくては……と取り組んできました。もちろん、失敗も数多く経験しています。

実は私自身のキャリアは、アパレルの店舗スタッフからスタートしています。縁あって、アパレル業界を中心にECのフルフィルメント事業を展開するアッカ・インターナショナルで物流を担当することになりました。それから現場を経験した後、プログラミング経験ゼロの状態からシステム部門に異動。1カ月間のシステム研修を経て、システムエンジニアになって、さらに必死に勉強を重ねた結果、アッカ・インターナショナルが最初にAGV(無人搬送車)を導入した際、担当者に抜擢されました。おそらく、物流の現場を知っていて、AGVをどう使えばいいかわかる人材、という基準で選ばれたのでしょう。

でもAGVの使い方は、導入決定後に初めて勉強しました。どうすればいいかわからないので、いろんな会社のホームページを検索しまくりましたね。なにしろ日本初導入のAGVでしたから、社内外問わずわかる人が極めて少なかった。約7年前のことですが、周辺には使用経験がある人もいませんでした。強いて言えばAmazonくらいですが、見せてもらえるわけではないですよね。ですから実機を見ることができない中で、ひたすら検索・調査です。

とはいえ実際に動かしてみて初めてわかることが圧倒的に多かったのが実情です。実際に勉強させてくれたことに対して、すごく、会社に感謝しています。

最初から100点を求めないことも大事

──同じように、会社として勉強する機会を与えてもらえれば、物流担当者も学びやすいですよね。自分で勉強しようにも資金が必要になってきますから。

私自身、本音を言えばプレッシャーが大きく、怖かったのが本音です。なにしろ億単位の資金が投じられるプロジェクトで、失敗できないわけですから。それでも逃げずにそういうチャレンジをしている現場の従業員に対して、トップの方々はどうか、寛容であってほしいと思います。だって、使ったことがないものなのですから、最初からうまくいくことはまずないと言えますし、それを求めるのは少し厳しいと感じます。失敗の度合いにもよりますが、ある程度は許してあげてほしいです。

基本的に多くの機械は現場に合わせたローカライゼーションが必要です。ローカライゼーションは実際に使ってみなければできないため、スタート時は不具合があって当たり前なんです。それなのに、最初から100点を求めるから「うちはDXがうまくいっていない」「優秀なDX人材がいない」という見方になってしまうんです。本当は、システムのアジャイル開発に似た考えで最終的なゴールの100点にするためにトライ&エラーを繰り返し進めて行くことが大事になるんです。

最初から100点は目指すけど、稼働してすぐは50点かもしれない。それをローカライズして何カ月かかけて、100点にすればいいんです。最初から100点を求めるのはPMから下の階層で、経営層が求めてしまうとプレッシャーで逃げてしまう人が増えてしまう。それに失敗からしか学べないこともたくさんありますし、むしろ失敗から学ぶことの方がノウハウになります。その失敗を糧に次のプロジェクトではバージョンアップすればよいのです。

まずは安全に稼働すれば100点

──DX化に、最初から期待しすぎないことも大事ということでしょうか。

高い買い物だから、期待して当然ではあるのですが、「DX化がうまくできない」と嘆く経営者の方は、夢を見すぎているのではないかとも思うんです。機械を入れた瞬間から、すべてがうまくいくはずだったのに、うちの社員がそういうふうにやってくれないという……。でもそれは、幻想です。機械を入れたら、初日から100点満点を目指すのではなく、まずは安全に稼働することが第一条件ではないでしょうか。ロボットが暴走して、スタッフが大ケガをしてしまうことの方が大問題ではないでしょうか。だからまず、経営者の皆様で観察したり触れてみたりしてください。そして最初は50点でも、ローカライゼーションし続けて、100点を目指せば、必ず成功するはずです。

──林さんがおっしゃるような、「期待し過ぎず、安全に稼働することを第一条件にDX化を進める」というのは、実際にはとても難しいように思えます。だからこそ、コンサルティングが必要になってくるのではないかと思うのですが。

コンサルティングが効果的に行われるためには、管理職や現場の抵抗感や思考停止を乗り越えて、新しい取り組みに勇気を持って挑戦することが重要です。そのためには、KPIの定義や理解が大切で、これらが不十分だと、コンサルティングが効果的に行われない可能性があります。ですからまずは問題点を明確にする必要があるんです。

──では御社では実際にどのようなコンサルティングを行っているのでしょう。次回はアッカ・インターナショナルだからこそのコンサルティングについて伺います。

満員御礼!!倉庫見学会「Logistics Warehouse Tour」締め切りました
物流×ロボでECビジネスに貢献する株式会社アッカ・インターナショナルが最先端物流センターの稼働を開始(関連記事)。自立走行搬送ロボットであるEXOTEC社の「SKYPOD」、自動在庫管理システムである自社開発の「ALIS ONE」を導入した最先端センターの3次元走行ピッキングシステムのオペレーション実演の見学会は定員に達したため締め切りとなりました。またの機会をお楽しみに!

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