「BEYOND」楽天市場新春カンファレンス2015

ECのミカタ編集部

この記事のまとめ

•株式会社楽天が「楽天市場新春カンファレンス2015」を開催した

•代表取締役社長の三木谷氏など講演やスピーチが行われる

•楽天がテーマにする「BEYOND」に込められた意味とは……

2015年テーマ「BEYOND」

2015年テーマ「BEYOND」

東京国際フォーラムで1月15日に「楽天市場新春カンファレンス2015」が開催された。前年度のテーマであった「STORY〜Communication〜」に対し、2015年度のテーマは「BEYOND」。

楽天市場の出展店舗役2,600名を招き、2015年上期の事業戦略等を説明するイベントである。先日の「楽天ショップ•オブ•ザ•イヤー」の発表も記憶に新しい中、エリア別のショップを表彰する「ショップ•オブ•ジ•エリア2014」の授賞式なども開催された。

講座での学びや他の店舗との交流の機会を通して店舗経営に役立つ情報や課題解決のヒントを得ることができ、店舗の成長加速のキッカケとなることを目標としたもの。楽天の事業計画を聞くだけでなく出展店舗の抱える悩みや課題の解決にもつながるイベントは、毎回大盛況を迎えている。ランチタイムやプレゼント企画、事業者同士の懇親会など、参加者を退屈させないギミックを盛り込んだカンファレンスに、ECのミカタWEBが潜入取材を行った。

基調講演:久夛良木(くたらぎ)健氏

基調講演:久夛良木(くたらぎ)健氏

メイン会場では、挨拶も兼ねたオープニングスピーチが行われた後、サイバーアイエンタテインメント株式会社の久夛良木(くたらぎ)健氏による人工知能についての基調講演からスタートする。

「さらなる未来を呼び込むのは尽きる事のない好奇心と遥かなる夢」として、楽天のテーマ「BEYOND」にも言及しつつ、データから学習し自らのプログラムを更新できるコンピューター「AI:人工知能」について講演を行う。

テクノロジーの進化により、SF世界の想像でしかなかった様々なことが現実に行われるようになってきている昨今を、SF作品が実現した実例などをまじえて解説していった。「好奇心」は様々な進化や発見の原動力のため、非常に重要であるとする。

メイン講演:三木谷浩史氏

メイン講演:三木谷浩史氏

基調講演の後に、楽天株式会社代表取締役社長の三木谷浩史氏によるメイン講演がスタートした。
1997年の会社設立当初の写真やエピソードの公開などから始まり、当時と現在の市場の違いを年代別に振り返る。
楽天グループサービスの2013年流通総額は5兆2,490億円であり、毎年上がっていっていることから創業当時の17年前と比較し、18万倍となっている事などを説明した。流通総額がどんどん上がり続ける中、テーマである「BEYOND」とは考え方を考えることであり、全てのものを「再定義」していくことであるとする。久夛良木氏の基調講演にも通じる話として、テクノロジーの進化によりSF世界の概念であった様々な物や事が現実化していく中、「再定義」により考え方を変えていくことが必要と氏は語る。

「日本の知恵だけでなく世界の知恵を」という楽天の考え方の元、まだまだ伸びしろのある海外市場へグローバル化を進め、世界のプラットフォームを一つにしていきたいと続ける。ネットによりボーダレス化が進み、人口によりマーケット比率は変わり、より人口の多い国に集中していく。自動翻訳など含め、ワンクリックで世界に商品を売れるように技術の発展を目指していきたいと展望を述べた。

ショッピングの新しいトレンドとして、自分の目利きで商品を紹介する「キュレーション」が重要になってくると語る。その他にもコンテンツの豊かさも必要となり、自分の部屋にストアを作るイメージで、よりリッチにしていく必要がある。コンテンツが退屈なサイトは見向きもされずどんどん減っていくので、商品力だけではなく商品そのものの魅力を伝える表現方法が重要であるとし、動画コンテンツの有用性を説く。
5年前までは2020年に50%を超えると言われていたスマホを中心とするモバイル比率が、2015年の今すでに超えており、PCと比べ画面の小さなモバイルでいかに商品の魅力を表現していくかがカギになっていくと続く。楽天では、スマホで動画が作成できる「楽天R-Video」というコンテンツを提供し、今後は3D機能などを楽天市場に加えていく方針であることを語った。
実際、ビデオを使う店舗は増加の傾向にあり、2014年12月の動画活用店舗の月額流通総額が4,820億円であると明らかにした。それだけ表現方法は重要であるとのこと。

また、従来離れていた「エンターテイメント」と「ショッピング」が近づいており、雑誌編集者など様々なスペシャリストを中心としたマガジンコマースの可能性も見逃せないとする。雑誌のエンターテイメント性をショッピングの中に落とし込んでいきたいという。

最後に三木谷氏は

「未来は今の延長線上にはないかもしれない。どういうふうに世の中が変わり、新たなテクノロジーが出てくるか。一度既成概念を捨て去る必要がある。日本人はネットの利便性よりもフェイストゥフェイスを重要視する傾向があるが、フェイストゥフェイスの要素をネットに置き換えることもできるはず。それを実現したのが、まさしく楽天市場ではないかと思っている。リアルとデジタルをどのようにしてつなげていくかということを考え、現実に極めて近く、さらに現実プラスアルファのネットの世界を共に作っていきたい。皆様の今年一年の商売繁盛をお祈りいたします。」

として、講演を締めくくった。

ショップ•オブ•ジ•エリア2014関東甲信越エリア受賞ショップ

ショップ•オブ•ジ•エリア2014関東甲信越エリア受賞ショップ

講演の最後に、関東甲信越エリアにおける「ショップ•オブ•ジ•エリア2014」受賞店の表彰式が行われた。各ショップの代表者と担当コンサルタントが登壇し、受賞の感想と今後の展望についてスピーチをする。
受賞ショップは以下の通り。

•株式会社ディーケイシー「総合家電のお店 まいどplus」
•株式会社パレンテ「コンタクト通販 レンズゲット」
•フォーレスト株式会社「ココデカウ」
•株式会社エース「クイーンアイズ楽天市場店」
•株式会社シェイプ「レンズバーゲン」
•株式会社AQUA「セレクトショップ•AQUA(アクア)」
•ワインキュレーション株式会社「京橋ワイン」
•Hamee株式会社「スマホケースのHameeストラップヤ」
•株式会社クロス「ペッツビレッジクロス〜ペット通販」
•株式会社セーブオン「激安ディスカウントワン」


写真/取材/文:島名タスク


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