ABCD分析とRPP広告活用で楽天市場の売上アップへ。成功の鍵は「選択と集中」【株式会社TENKI-JAPAN セミナーレポート】
2024年7月9日にECのミカタ主催で開催した「ECのミカタ カンファレンス」楽天市場編。スペシャリストが集結し、「楽天市場で成功するためにEC事業者は何をするべきか」をテーマに行ったセミナーで、総合型ECマーケティングエージェンシーの株式会社TENKI-JAPAN(以下、TENKI-JAPAN)からは、Eコマースエバンジェリストの菅原渉氏が登壇。「店舗のABCD分析→RPP広告活用で店舗を大きく飛躍させる方法」と題し、戦略に基づいた「選択と集中」の重要性について、実践的なアドバイスを交えて解説してくれた。その一部をお届けする。
戦略なしに戦術を立てても失敗する
2017年創業の総合型ECマーケティングエージェンシー、TENKI-JAPANは、圧倒的なマーケティングテクノロジーを活用して、転換率をアップさせる「楽天オートメーションパック」、集客を向上する「RPP365アシスタント」など、楽天市場の運営効率が飛躍的に上がるサービスを提供。累計導入店舗数は1000を超える。
セミナーに登壇した同社 Eコマースエバンジェリストの菅原渉氏は「店舗のABCD分析は戦略で、RPP広告活用は戦術」だと語る。戦略は「企業が進むべき方向性や、求める結果を示すもの」、戦術は「戦略を実現するための具体的な方法」であり、本来は戦略あってこその戦術だが、戦略段階でつまずいてしまう店舗や、戦略をあまり考えないまま戦術を立ててしまって失敗している店舗が実に多いという。
店舗運営は総合格闘技、EC事業者に立ちはだかる3つの壁
「20年前のネットショップ運営をボクシングに例えるなら、今は総合格闘技と言ってもいいくらいやることが増えていて、店舗運営が大変になっています。そのぶん、勝ち組・負け組の二極化が進んでいることを痛感しています」と菅原氏。中でも、多くのEC事業者の「壁」になっているのが次の3つだという。
①母数を広げて売上拡大を図るための「RPP広告/SEO対策」
②効率良く売上を構築するための「転換率UP施策」
➂ステージアップの羅針盤となる「分析・レポート」
これらに取り組んではいるものの、リソース(人・知識・予算)が少ないため、精度が上がらず成長が鈍化している店舗が少なくない。ユーザーが店舗を訪問するきっかけのほとんどが検索であり、楽天市場トップでのキーワード検索から商品ページを訪れ、商品ページコンテンツ内で購入に至っているケースが多いことから、店舗の売上を改善するには、入口となる集客を増やすことはもちろんだが、「出口」を改善することが大事になってくるという。「バケツに穴が開いた状態で水をすくっても効率が悪いので、まずはいかに出口をふさいで効率よく水をくめるようにすることが大切です」と菅原氏は語る。
「出口」を改善することで離脱を減らし、転換率をアップさせるためのサービスがTENKI-JAPANの「楽天オートメーションパック」だ。楽天スーパーSALEをはじめとするイベントごとの特集ページやランキング、レビュー画像等を自動で作成し更新することで、回遊率・転換率の向上を図る。「楽天オートメーションパックを導入することで、店舗の作業工数が大幅に減るので、そのぶん、売上アップにつながる施策に集中していただきたい」と菅原氏。
ABCD分析×デイリー戦略で「選択と集中」
冒頭で菅原氏は戦略の重要性を強調したが、その中でも「選択と集中」が大事だという。
「全てをうまくいかせようと考えるとだいたい失敗します。みなさんが野球チームの監督だったら、出塁率の高い選手を早い打順にするなど、なるべく点につながるよう効率を考えて打線を組みますよね。それを自分の店舗で、自分たちの商品できているか、振り返ってみてください」
TENKI-JAPANが提供しているレポートサービス「商品ABCD分析」では、転換率やクリックバリュー等に基づいて、店舗の商品を以下の4パターンに分類している。
A:主力の売れ筋商品
B:アクセスが少ないが、売上が高い商品
C:データが足りないため、売れるか売れないか判断できない商品
D:転換率が低く、売れない商品
この分類に基づいて、クーポン施策やポイント施策などの転換率を上げる施策に注力する、RPP広告等の広告施策によってパフォーマンスが高いAB商品にアクセスを集中させるなど、商品分類ごとに最適なマーケティングを行うことでムダな広告費を削減し、効率良く売上が上げられるようになるという。
また、スーパーSALEなどのイベントや曜日等によっても売上が大きく変動するため、TENKI-JAPANでは、デイリー戦略を次の3つに分類。ABCD分析とデイリー戦略を掛け合わせることで、ポイントや割引などの施策の最適化が可能になる。
Normal:ジャンルアクセスが低い日
UP:ジャンルアクセスが高い日
MAX:ジャンルアクセスが最も高い日
好循環を生み出すRPP広告活用、ポイントは「小さく始める」
売上を上げるためにできることは数多く存在するが、TENKI-JAPANが推奨するのがRPP広告の活用だ。
「RPP広告を活用すると流入のシェアが獲得できるので、露出が増えて商品の売上が上がりやすくなります。その結果、SEOで上位を獲得しやすくなり、さらにSEOや商品の売上が上がります。するとランキング入りしてクリック率が上がり、CPCが下がってより積極的にRPP広告が出せるという好循環が生まれます」と菅原氏。
メリットの多いRPP広告だが、「やり方がわからない」「予算がない」「リソースが足りない」など様々な理由で出稿経験のない店舗も少なくない。菅原氏は、RPP広告を活用したことのない店舗が一歩を踏み出すための方法として、次の2つを提案する。
①100回クリックされるまでテスト
転換率1%以上の商品に絞って、100回クリックされるまでテストマーケティングを行う。クリック単価10円で始めれば、100回クリックされても広告費は1000円。10商品でテストすれば、成果の良し悪しが判断できる。
②クリックバリューを基にテスト
TENKI-JAPANのレポートを活用して、クリックバリューを基にテストマーケティングを行えば、30クリック程度で良し悪しの判断が可能。成果が出ない商品は30クリックの時点で除外して、成果の出る商品に絞ることで無駄を省く。
「うまくいっている店舗はやはり『選択と集中』を行っています。テストマーケティングを基に対象商品を絞り込み、成果が出てきたら積極的に広告配信を拡大し、全体を最適化するという流れがいいのではないでしょうか。きちんと戦略を立てて、小さく始めて育てていくことが大切です」と、菅原氏はここでも「選択と集中」の重要性を強調した。
「小規模店舗の他に、大規模店舗や広告費が多い店舗では技術を活用した特別な運用実績もあります。例えば、最重要な戦略キーワードをシステム管理で常にRPPのポジションを制圧してキーワードのRPP順位とSEO順位を獲得。結果、売上とCPC低減による収益性の向上を行う。RPPで7000商品と3万キーワード以上を毎日分析・更新する。売上に対する広告比率の%を毎日の予算消化と結果で管理してコントロールする、など。これまで楽天のRPP管理ではできなかった特別な運用を実現できます」
日々山積する業務に追われていると、どうしても目先の成果改善にフォーカスしがちだが、努力の方向性を間違ってしまっているとしたら、実にもったいない。果たして、自社の店舗は適切な「選択と集中」ができているのか、一度振り返ってみてはいかがだろうか。
1972年生まれ、東京都豊島区出身。ベンチャー企業のEC、決済代行企業のセールス・マーケティング、大手ショッピングカート企業でのコンサル部隊の立上げなどに携わりながら、2007年に化粧品会社を、2015年にはWebコンサルティング会社を設立。個人店舗~上場企業まで幅広く指導してきており、これまでに350店舗以上の店舗を支援。2002年からは講師としても活動し、独立行政法人・財団法人・学校法人他、全国各地&オンラインでセミナーを開催。延べ6000店舗以上が参加。TENKI-JAPANには2023年より参画。