Amazonで売り上げを伸ばすデータ活用の5大ポイント【株式会社いつも セミナーレポート】
Amazon出身でその施策を知り抜いている、株式会社いつもの営業統括 ヴァイスプレジデントの渡邊秀行氏が2024年7月2日に開催された、ECのミカタ主催のEC業界特化・課題解決型のオンラインカンファレンス第3回に登壇。セミナーに参加した方々から熱い注目を集めた渡邊氏によるセミナー「Amazonで売り上げを伸ばすデータ活用術」から、興味深い内容の一部をお伝えする。
Amazonに11年間在籍した、マーケティングのスペシャリスト
渡邊氏は、Amazonに11年間在籍し、リテール部門のベンダーマネージャーや広告部門の営業マネージャーを経験。その知見を活かし、2024年3月から株式会社いつも(以下、いつも.)で営業部門を統括している。
いつも.は、2007年創業。ECのコンサルティング企業としては、業界において歴史が長く、支援実績は1万3000件以上。グロース市場(比較的規模の小さいベンチャー企業等が参加する新市場区分)での上場も果たしている。Amazonでの売り上げを伸ばすデータ施策は、同社が得意とするところだ。
「一般的な売上ランキングでは上位に入ってないのに、Amazonでは上位のランキングに入っている商品や、売上におけるAmazonでの販売が高い比率になっているブランドが存在します。これらは、Amazonの売上を伸ばす仕組みにうまく乗れている商品であり、購買につながる好循環を進み出す仕組みを持っている商品なのです」(渡邊氏)
ではどうすれば、その仕組みを創り出せるのか。
ポイント1:商品詳細ページを整備する
ファンダメンタルと呼ばれる基礎的な情報はAmazonでスコア化しており、ランキングスコアを作成している。そのためランキングスコアとの関連性が低いとAmazon上で上位に表示されないため検索広告コストも高くなってしまう。「したがってファンダメンタルの整備が、最初に着手すべき最重要事項です」(渡邊氏)
ポイント2:Amazonの作るトラフィックに乗る
Amazon社はマーケティングチームが外部メディアに出稿し、大規模のトラフィック(誘導)を作っている。このAmazonが作っているトラフィックに乗ることが非常に重要だ。
ポイント3:Amazon広告(スポンサー広告やDSP広告)を効率良く活用する
リアル店舗のような棚の制約がなく、無数の商品が存在するAmazonでは、商品を見つけてもらうのが難しく、商品棚(商品のデジタルシェルフ)の近くに広告表示することが非常に重要になってくる。その広告にはスポンサー広告と「Amazon DSP広告」があり、これらによってトラフィックを作ることができるという。
「Amazon スポンサー広告」とは、Amazon内に出品されている個々の商品のための広告で、商品検索結果ページや商品詳細ページに表示される。「広告がクリックされた回数に応じて課金されるクリック課金ですのでコスト効率が高く、かつ検索しているということは能動的に商品を探しているユーザーですので、非常に効率が良い広告。ここをベースに誘導を作っていくことが、(Amazon広告の)基本になります」(渡邊氏)
「Amazon DSP広告」とは、ネットワーク広告と言われ、Amazonの閲覧・購買データを活用し、外部提携サイトのターゲットカスタマーも幅広く捕捉できる広告。CPM課金(出稿した広告が、1000回表示〈インプレッション〉されるたびに広告費を支払う課金方式)なので、クリック課金のスポンサープロダクト広告より大規模に配信できるのも強み。また他媒体のターゲティングは、検索行動やコンテンツの閲覧のデータに基づいているが、Amazonは商品の閲覧購買のデータを使っているため、より購買につながりやすいといわれている。
いつも.の調査によれば、Amazonの商品詳細ページまで流入経路を分析すると、Amazon内部からの流入が約80%を占めるため、スポンサー広告を併用することにより、Amazon内での流入経路の35~65%を抑えることができるという。また、スポンサープロダクト広告のみを使用する場合より、他の広告を併用する方が、売上は増加する傾向があるとも。
ポイント4:AIの自動化ツールを活用する
広告パフォーマンスの向上のため、コンサルタントが手動でさまざまな設定を行っていたが、最近は自動のAIツールを活用して最適化を図るようになってきている。
「AIの自動化ツールを活用した方がパフォーマンスは圧倒的に高いです。当然24時間365日働いてくれて、非常に精度高く分析できる。弊社ではパートナー企業様のツールを活用してクライアント様の状態、予算、目的に応じて使い分けています」(渡邊氏)
AmazonマーケティングクラウドAMCを活用する
渡邊氏が注目しているのが、昨今のAmazonビジネストレンドにもなっている、Amazonのクラウドサービス「AMC」(Amazon Marketing Cloud)を活用したマーケティングだ。これはクラウド上にデータの箱を作り、前述の広告ソリューションのデータや自社EC広告のデータを入れ、そのデータをオーディエンスのEメールアドレスや電話番号、モバイルIDなどをキーに分析できるサービス。そのデータを基にオーディエンスセグメントを作ることができるので、ディスプレイ広告を効率的に配信することが可能だという。
「活用としては現在多いのは、Amazonショッピングインサイトという有料サービスです。広告接触に関わらずAmazonのリテールストアのデータを使って配信していくので、例えば過去の購入者の中でも昨年のAmazonプライムデーで購入した層や、あるいはブラックフライデーで購入した層など細分化したうえで、ターゲティングして商品を訴求していくというように、以前はできなかったターゲティング手法を用いることが可能になりました」(渡邊氏)
商品のトレンドがあるように、広告にもトレンドはある。最新のトレンド手法を学び、しっかりとした売上向上につなげていきたいところだ。