“失敗あるある3選”から見えるBtoB-EC立ち上げの課題と対策 【株式会社Dai セミナーレポート】
ECのミカタが9月26日に開催したオンラインカンファレンス「BtoB-ECの全体像と落とし穴を知る1日」。BtoB-ECに深い知見を持つ4人のエキスパートが登壇した同カンファレンスから、今回は受発注・請求・営業をDX推進するBtoB ECプラットフォーム「Bカート」を提供する株式会社Daiの渡邉孝太朗氏によるセッションをレポートする。失敗事例の分析をもとに導き出す、“BtoB-ECサイトを立ち上げる際に必ず押さえておきたい3つのポイント”とは?
モール型とカート型、あなたの会社はどっち?
Bカートは株式会社Daiが提供する、受発注・請求・営業をDX推進するBtoB専用のECプラットフォーム。導入企業は累計で2000社超、Bカートを通して発注している企業は75万社を超える。その豊富な実績をもとに、今回のカンファレンスでは同社の渡邉孝太朗氏が、BtoB-ECの基本的な枠組みから、スタートを検討する企業がすべきこと、運用開始後に陥りがちな落とし穴まで、課題の解決方法を含めて解説した。
渡邉氏によると、BtoB-ECを始めようとする時にまずやるべきことは、「モールにするかカートにするかを選ぶこと」だという。「ECサイトは“モールシステム”と“カートシステム”に大別でき、それぞれtoCとtoBに分かれます。toCのモールにはAmazonや楽天、toBのモールとして『スーパーデリバリー』や『NETSEA』があります。対して自社の商品を自分のサイトで販売するカートシステムには、toCに『BASE』など、toBで我々の『Bカート』が挙げられます。そして、それぞれにメリットとデメリットがあります」(渡邉)。
モールのメリットは、まず集客のしやすさ。多くの商品が同じサイトの中にあり、他社の類似商品を探している顧客も訪れるため、売上は立ちやすい。デメリットは手数料がかかる、デザインやマーケティング施策の自由度が低いといったことが挙げられる。一方、「カートシステム(自社サイト)」のメリットは、各種施策を自社の顧客に対して行える自由度の高さが挙げられる。デメリットとしては、運用も自社で行う必要があり、業務フローを含めてオペレーションをしっかりと用意しなければ顧客のCXが向上しないことだ。
渡邉氏によれば、従来のアナログな販売方法でBtoBを行っている企業がEC(デジタル&オンライン)に変えることで、さまざまなプラスが生まれるという。「従来のやり方では、展示会やテレアポなどでリードを獲得し、対面での営業をした後、電話やFAXで注文いただき、倉庫に出荷情報をお渡しして荷物をお届けし、代金を請求する流れになります。しかしデジタル&オンラインなら、例えば従来は電話やFAXだった受発注の部分を24時間ECサイトで受け付けることができます。業務プロセスにおいて、お客様(取引先)側と社内のオペレーションをセットで考えるのがポイントになります」(渡邉氏)。
やるべきことが多すぎる!? BtoB-EC立ち上げロードマップ
では自社で運営するカートシステムを選択した場合、次に何をすればいいのだろうか。下のモデル図は、渡邉氏投影した、BtoB-ECを立ち上げるためのロードマップ。「これを見ていただくと、“こんなに手間がかかるなら、うちには無理”と考える方もいらっしゃると思いますが、これを『Bカート認定パートナー』のような、外部制作会社やベンダーなどの伴走支援をしてくれるパートナー企業に依頼する方法もあります。図ですと、水色■の部分 が実際に『Bカート』の機能を用いて運用できる部分になります」(渡邉氏)。
BtoB-EC立ち上げ期の “失敗あるある”3選とその対策
渡邉氏によると、Bカート導入を検討している事業者から、以下のような3つの課題を相談されることが多いという。渡邉氏は“失敗あるある”として課題を分析しつつ、最後にそれに陥らないための対策を挙げた。
➀ 社内で使いこなせる人が(自分しか)いない
すでにBtoB-ECサイトを持っているが、「Bカート」への乗り換えを検討したいという事業者から多く寄せられるのが「社内で使いこなせる人がいない」というこの課題だという。「理由としてよく伺うのが、『前任者が構築したシステムを引き継いだが、運用の仕方がわからない』というものです。例えば、従来アナログで行っていたオペレーションを、そのままカートシステム内に収めようとしているケース。せっかくデジタル化できていても、サイトの管理・運用が煩雑になりがちです」(渡邉氏)。
このような場合にまず心がけたいのが「シンプルな設計」。渡邉氏によれば「アナログで行っていたこと全てを無理にデジタル化しようとしない、イレギュラーなパターンをできるだけつくらないなど、誰でも使えるようなシステムにする」ことが対策のポイントだという。
② 既存顧客が使ってくれない
渡邉氏が特にご相談が多い例として挙げたのがこの課題だ。今までFAXと電話で注文してきた企業は、現状のままでも問題はないので、ECサイトを利用してくれないケースも多いそう。「それまでの仕組みを一気に変えようとするとお客様にもストレスがかかってきます。自社の営業担当者からも『お客様への説明が大変なので、一気に変えないで欲しい』という声をいただくこともあるでしょう。まずは段階を踏みながら、徐々にECでの受注に切り替えていくような、スモールスタートを意識していただきたいと思っています」(渡邉氏)。
この課題を改善した例として、あるアパレル企業では大手との取引は従来のやり方を続け、個人商店・問屋・ネットショップといった一部の取引のみに「Bカート」を導入することで業務効率化を達成しているという。
③ 手作業が減っていない
“紙でやっている作業を電子化したい”とECを導入しても、在庫システムや自社の基幹システムへの手入力が必要だったり、CSVで入力し手動で修正していて手間がかかるだけでなくミスも起こったりと、結果的に手作業が減っていないというケースも多いという。「受注した後の、基幹システムとの連携を意識した設計もポイントです」(渡邉氏)。
最後に渡邉氏は、これからBtoB-ECを始めようと考えている事業者に向けて「Bカート」導入のメリットも紹介した。「①の課題に対しては、自社に必要な機能を組み合わせてサイトをカスタマイズしていくやり方もありますが、そのスタイルだとサイトが複雑になりがちです。『Bカート』にはBtoB-ECに必要な基本的な機能がそろっているので、価格管理や決済も含めてシンプルな設計が実現できます。課題③に対しては、外部サービスと連携できる『Bカートアプリストア』も用意しています。料金体系もスモールスタートしやすいものになっているので、まずはご相談いただきたいです」(渡邉氏)。