4年間で売上10倍! BONAVENTURAがShopifyをこれからも使い続ける理由【BONAVENTURA  セミナーレポート】

ECのミカタ編集部

EC月商5000万円の超えるためのShopify活用をテーマにECのミカタが主催したオンラインカンファレンス(2024年10月31日開催)に、イタリア・ミラノ発のレザーグッズブランド「BONAVENTURA(ボナベンチュラ)」を扱うBONAVENTURA株式会社のEC本部 & マーケティング本部 マネージャー 平井僚一氏が登壇。ECのミカタ(MIKATA株式会社) 吉見紳太朗とのパネルディスカッションとして、EC売上が4年間で10倍へと成長した同社の躍進を支えるShopifyの強みを伺った。

「乗り越えられない壁」になる前に「解決可能な課題」に変えてくれるShopify

MIKATA株式会社 ECのミカタ事業本部 情報システム開発部 リーダー 吉見紳太朗(以下、ECのミカタ 吉見) まずBONAVENTURA様の事業概要を教えていただけますでしょうか。

BONAVENTURA株式会社 EC本部 & マーケティング本部 マネージャー 平井僚一(以下、BONAVENTURA 平井) 「身近なモノを上質なものに変えたら、いつもよりも幸せを感じられる」がブランドコンセプトのBONAVENTURAは、ヨーロッパ最高級のレザーを使用したシンプルでタイムレスなデザインのiPhoneケースやバッグなどの商品を制作・販売しています。

国内に10以上の実店舗と、自社サイトや外部モールなどを含むECを活用した販路がありますが、BONAVENTURAの売上は約7割をECが占めています。その中でも(Shopifyで運用している)自社ECが8~9割を占めるので、Shopifyが経営に与えるインパクトが大きい収益構造になっています。海外のハイブランドはECの比率が1割に届かないケースが多いので、珍しい売上の立ち方をしていると思います。

画像はBONAVENTURA公式オンラインストアより(https://jp.bonaventura.shop/

ECのミカタ 吉見 ありがとうございます。それではBONAVENTURA様がShopifyの利用を決めた経緯を教えてください。

BONAVENTURA 平井 まずは安定性です。私自身はまだ入社して間もないのですが、現在日本法人の代表である稲富(佳織)がEC担当を務めていた時期は、別のカートシステムを使っており、安定性に課題があったと聞いています。例えば新商品の発売で同時に数十件の注文をいただくとサイトがダウンしたり、速度が落ちたりしていたそうですが、Shopifyに移行後は低速化やサイトダウンは起きておらず、私も経験していません。特に2020年以降はSNSの影響力が大きく、インフルエンサーの紹介でセッション数が急増することもあります。セッション数が急に5倍に引き上がるなどの事態は容易に想定できます。

ECのミカタ 吉見 機能面で、どのようなところがShopifyの魅力なのでしょうか?

BONAVENTURA 平井
 ECは“有機体”なので、事業の成長にあわせてさまざまな問題が生じます。立ち上げ期と成長フェーズでは、プラットフォームに求められる強みも違うと思います。Shopifyは、各フェーズで問題が「乗り越えられない壁」になる前に「解決可能な課題」に変えてくれることが助かっています。

カートを自社開発している場合、課題の解決にはコストと時間がかかり、解決を待っている間にも状況は悪化し、売れるものが売れないまま時間が経ってしまいます。一方でShopifyは標準機能とサードパーティのアプリを組み合わせれば何かしらの解決策が見つかります。

ECの運用において私が大切にしている「Test & Learn」を、スマホアプリのようにインストールして実践できるため、変わり続けるEC業界で競合に負けないよう、挑戦を続けやすいですね。初心者でも使いやすく、上級者でも満足できるパッケージングのため、担当者のスキルで運用レベルに差がつきにくいことも魅力です。

BONAVENTURAが4年で売上を10倍に成長させられた裏には、ショップに拡張性と柔軟性を与えてくれたShopifyのプラットフォームとしての強さがあります。通常、ECは規模を拡大するほどにコストが増大しますが、Shopifyはほぼ一定コストで運用できます。分析から実施までオールインワンのため、コマースの中心に据えてビジネス全体を成長させていくツールとしてとても有用です。

Shopifyだからできる顧客アプローチでLTVが向上

ECのミカタ 吉見 “オールインワン”というお話が出ましたが、貴社では特にどのような形で利用されているのでしょうか。

BONAVENTURA 平井 ツールの統合と情報の取得です。まず、ECの運営にはさまざまなツールが必要です。Shopifyは分析・レポート機能を使うと直感的な操作で顧客をセグメント化できるので、それを活用しています。

例えばSEOまわりやコンバージョンを計測するために、新人がGoogle Search ConsoleやGoogle Analyticsといった5~10種のツールを使いこなせるようになるのは大変です。過去にはビジネスインテリジェンスやWeb分析ツールなどを組み合わせて分析していたのですが、現在はShopifyの分析・レポートツールに移行できています。

また、情報の取得は「BONAVENTURA」の強みそのものになっており、店舗とECの隔てなく情報を取得して詳細に一元管理できていることで、データに基づいた施策を実行できています。店頭ではShopify POSを活用することで、顧客情報の取得率が80%に到達。他社では紙にメールアドレスを書いてもらうことも多い中、これは驚異的な値だと思います。

ECのミカタ 吉見 情報獲得後は顧客対応も必要になるかと思います。BONAVENTURA様では、どのように運用しているのでしょうか?

BONAVENTURA 平井 Shopifyにオンライン、オフラインのデータを統合し、メルマガなどのMA(Marketing Automation)を走らせることで顧客対応時間が1/3になり、CX(顧客体験)とROAS(広告費用対効果)を改善しました。

週ごとのクイックアクションが必要な場面でも、セグメントに応じてパーソナライズされた配信が可能なため、お客様に特別感を感じていただきやすくなっています。例えばBONAVENTURAはMAで押し売りしません。購入者が永久保証を忘れた頃にその旨を伝えるなど 、「お客様にとってベストのタイミングでケアをする」というアプローチで、顧客満足度やリピート率などのLTVが向上しています。このアプローチは、Shopifyだからできるやり方です。

ECのミカタ 吉見 最後に将来的な展望を教えていただけますでしょうか?

BONAVENTURA 平井 (今後力を入れていくのは)グローバルデザイン、つまりデジタルエクスペリエンスを統一しながらのローカライゼーションの強化、コラボやロゴ入れなどを通したBtoB強化、店舗との連携強化によるOMO推進、商品カテゴリ増加の4点です。

Shopifyへの要望をあげるとすれば、サードアプリが豊富ですが、それらが標準機能になればアプリを減らせるので機能拡張に期待しています。とはいえShopifyはアップデートが盛んで、半年ごとにEditionが公開されるため、変化への準備がしやすいです。事業者に寄り添ったプラットフォームだと思うので、信頼できるパートナーとして、コマースの中心に据えることができています。

平井僚一(ひらい りょういち)
BONAVENTURA株式会社 EC本部 & マーケティング本部 マネージャー 英国ロンドン大学キングス・カレッジ大学院で哲学博士号取得後、FARFETCHに入社。その後も英国ロンドンを拠点に、MATCHESFASHIONなど、ラグジュアリー企業で日本向けECサイトの立ち上げや運営、ローカライゼーション、CRMやマーケティング全般を担当。2022年末に日本に帰国後、2024年5月からBONAVENTURAに入社。EC本部とマーケティング本部を統括。


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