春のセール告知、ユーザーが一番開封したくなるメルマガのタイトルは? FORCE-R調査
FORCE-R株式会社(以下、FORCE-R)による消費者調査を、ECのミカタで先行公開するリサーチ企画の第4回。今回は第2回に続き、販促・マーケティング施策として多くの事業者が活用するメールマガジン(メルマガ)について、特に「タイトル」にフォーカスしてお届けする。
少しでも多くの人にメルマガを開封してもらおうと、日々頭を悩ませているEC担当者も多いことだろう。しかしその前提として、実際に消費者はいつメルマガを確認し、どんなタイトルに興味を持って開封しているのだろうか? 本記事ではFORCE-Rの日比野陽介氏に、「オンラインショップでメルマガを受け取ったことがある」300人を対象にしたアンケート結果から導かれる、メルマガ施策のヒントを聞いた。
調査概要
■調査内容:「メルマガ」に関するアンケート調査。消費者のメルマガを開封するきっかけ、購読している情報の種類などに関する行動調査
■調査期間:2025年1月15日~1月16日
■調査対象:オンラインショップでメルマガを受け取ったことのある20代~60代/300名
(20代:53人、30代:77人、40代:53人、50代:64人、60代:53人)
■調査方法:インターネット調査
■対象選定方法:アンケートをもとに、所定の条件に合致する対象者を抽出
■調査主体: FORCE-R株式会社
※本調査はFORCE-RによるEC支援サービス「Commerce INSIGHT」で実施したアンケート調査の一部
“すぐに開封される”のは「タイトルが気になったもの」
「開封されやすいメルマガのタイトル」を探るために、まずは、下記の3つの質問項目に対する回答から見ていこう。
■メールが届いたのを確認したらすぐに見ますか?
■メールのタイトルに【 】があるとき開封したくなりますか?
■タイトルに自分の名前が入っていたとき、開封したいと思いますか?
メールが届いてからの行動は「気になったタイトルのものはすぐに開封して見る」が120人、「後日、溜まっているメールの中で気になったタイトルのものだけ見る」が34人と、ほぼ全年代共通で「気になったタイトルのものを選んで見る」傾向が読み取れる。
※本記事内のグラフ提供:FORCE-R株式会社
その「タイトルを気にしてもらう」の方法として、【 】を付けて訴求ポイントを強調する/タイトルにメールを受け取る方の名前を入れることの2つを質問すると、【 】や名前入りのタイトルは20代~40代に比較的効果がある(開封したいと思われている)ことがわかる回答結果に。
日比野氏は【 】でくくることで訴求ポイントが伝わりやすくなる点や、タイトルに名前を記載することで“自分のためのメール”と認識されて開封につながりやすいと考えられることを指摘したうえで、50~60代の割合が低めである理由を考察した。
「開封タイミングに関する結果を年代別に見ると、50代、60代は『全てのメールをすぐに開封してみる』『すぐには見ないが届いた日に全部開封して見る』と回答した割合が多く、届いたメールを全て見ている方が比較的多いことから、装飾などをタイトルに付けた場合も開封行動が変わらないということも考えられます。 また、この年齢層の方々は、これまで多くのメールを受け取ってきた歴史があるので、タイトルの装飾だけで内容を判断しないという考えになっている可能性もあります」(日比野氏)。
メルマガの長さは「スマホ1~3スクロール」が妥当
続いて、ユーザーがメルマガを開封した後のアクションについて質問。「どのくらいの長さのメールが妥当だと思うか?」という問いに対しては、「スマホで1~3スクロール」と回答した人の合計が実に94%以上(合計284人)と圧倒的だった。
この結果を受けて、FORCE-Rでは「限られた長さの中で伝わる内容」を推奨すると同時に、メルマガにおける画像の重要性も指摘している。
「たとえ時間をかけて作成したメルマガでも、部分的にしか読まれていないという少し悲しい結果も出ています。メルマガ冒頭のあいさつ文などは飛ばされがちなので、文章を考えるのに時間をかけている事業者様は、そこになるべく時間をかけず、画像でわかりやすく伝えるのが良いと考えます。
アンケート結果で出ているように、ユーザーがメールを開封した後、最後まで順番に見てくれるという期待は持たないようにしましょう。開封しても、最初のメッセージで興味を引かないと離脱してしまう可能性が高いので、伝えたいことは開いた瞬間にわかるくらい最初に配置するのが良いと考えます。“瞬間に”というのも大切なポイント。ごちゃごちゃとわかりにくい画像だと“読みたくない”と思ってしまうので、クーポン、セール、新商品など『何の案内をしているのか』訴求を明確に伝えることをおすすめします」(日比野氏)。
春のセール告知で“差がつく”メルマガタイトルの付け方
最後に、これから開催される春のセール告知に向けて、具体的に質問した2項目を紹介しよう。
セールの案内メールをきっかけに、商品を購入したことがあるかを尋ねたところ、「ある」が67%。特に40代では8割、50代では7割がメールをきっかけに購入まで至ったという回答を得た。
さらに、セール案内としてどのようなタイトルが開封したくなるかを聞いたところ、「セール開催中」だけでは弱く、お得さの伝わる数字が記載されているほうが開封したくなるとの回答が多く得られた。その数字の記載方法についても、「割引額」よりも「割引率」が記載されているほうが開封に結び付きやすいこともうかがえる。
「価格よりも割引率の方が反応が良い理由は、“期待感”だと考えます。 タイトルの段階では商品の金額がわからないので、商品の価格によってはその割引率で『すごくお得に購入できるかもしれない』という可能性にワクワクするのだと思います。 また、具体的な数字がわからないほうが、メールの内容を読んでみようと思うのかもしれません。例えば『1000円引き』と記載されていると、『割引される額』、ユーザー目線で言うと『得する額』がダイレクトにわかり、その数字だけで損得勘定が働いてしまうので、興味が薄れてしまう可能性もあるのではないでしょうか」(日比野氏)。
消費者目線のタイトルで開封率アップを目指す
メルマガにおけるタイトルの重要性を深掘りした今回のリサーチ。3月以降に向けて事業者が心がけることとして、FORCE-Rは改めて「消費者の目線」に立つ必要性を伝えている。
「まずは消費者の興味を引くタイトル、消費者が求めていることがタイトルで記載されていることがメルマガの閲覧率を向上させる第1ステップとして必要です。また、セール時は特に、複数の店舗から同じようなタイトルのメールが届くので、その中でも数字を入れてお得感をアピールすることが大事です。
いろいろ詰め込みたくなると思いますが、『一つのメールに対して一つの訴求』とするくらい、消費者にとって読みやすい、伝わりやすいメルマガを書いていきましょう」(日比野氏)。