わずか3年で国内300社が導入 Amazonの広告キャンペーンを全自動最適化する「m19」とは
フランス発のAmazonスポンサー広告最適化ソリューション「m19」が日本に上陸して3年が経過した。独自AI機能でキャンペーン生成やターゲティング、入札・予算の調整などを完全に自動化。圧倒的なパフォーマンスと使いやすさが評価され、累計導入企業は300社を超えた。事業を統括するm19 Japan株式会社の飯野芳里氏に「m19」の概要や競合ツールとの相違点、今後の新機能実装などについて話を聞いた。また、実際に「m19」で高い成果を上げた企業の導入事例についても語ってもらった。
目標ACOS/TACOSを設定すれば、AIが複雑な広告運用を自動化
――まずは御社の概要や事業内容について教えてください。
当社は、Amazonスポンサー広告最適化ソリューション「m19」を日本国内向けに提供しております。これまでSOPHOLA株式会社が日本市場における販売を担ってまいりましたが、今後の日本市場での「m19」の成長とより充実した提供体制の構築を見据え、新たにm19 Japan株式会社を設立いたしました。今後は両社の連携のもと、日本市場でのm19の展開をさらに推進してまいります。
また、m19 JapanはAmazon広告のアドバンストパートナーにも認定されています。これにより当社はAmazonとの連携を強化し、これまで以上に国内セラー・代理店様に「m19」をご案内しやすい体制が整いました。
――「m19」とはどのようなソリューションなのでしょうか。
「m19」は、独自AI機能を備えたAmazonスポンサー広告の自動最適化ツールです。対象商品に対して、目標ACOS(※1)または目標TACOS(※2)を設定するだけで、AIが自動で広告キャンペーンの生成やターゲティング、入札・予算調整などを実行します。管理画面を通じて売上や損益の分析が可能で、売上拡大に向けた施策の実行からデータ分析までをワンストップで行えるのが特長です。
特に、ACOSとTACOSの両方を目標値として設定し、広告運用を自動最適化できる機能は、2025年5月時点で主要な国内Amazon広告自動化ツールの中では「m19」のみです。ACOSが広告経由の売上に対する効率を示すのに対し、TACOSは全体売上に対する広告費の影響度を見る指標で、ブランド全体の成長戦略にも直結します。こうした複数の指標を自在に使い分けながらAIが最適化を行う仕組みは、広告運用の精度と柔軟性を大きく高める点で、他のツールと一線を画しています。
日本国内向けには2022年からAmazon広告運用におけるオールインワン型のマーケティングツールとして紹介をはじめ、わずか3年で300社を超えるセラー・代理店様にご利用いただけるようになりました。使い方も非常にシンプルなため、Amazon広告運用に詳しくない方でも安心してご利用いただけるはずです。
※1:ACOS(Advertising Cost of Sales) … 広告経由の売上に対して、どれだけ広告費をかけたかを示す指標。広告の直接的な費用対効果を測る。
※2:TACOS(Total Advertising Cost of Sales) … 全体売上に対する広告費の割合。広告がブランド全体の売上にどれだけ貢献しているかを測る。
――上記の点以外に、競合ツールと比較して、どのような点に優位性があるのでしょうか。
Amazonに広告を掲載するためには広告キャンペーンを作成する必要がありますが、「m19」はm19上でシンプルな設定をするだけで、オートターゲティングキャンペーンとマニュアルターゲティングの複数のキャンペーンが自動生成され、さらに各キャンペーンで「広告グループ1つにつき1商品」という構造を自動生成し、Amazonスポンサー広告の運用を最適化します。
この構造で運用することによって、1ASINごとのデータ蓄積が可能になり、「1ASIN×ターゲティング」の最小単位での入札などの細かい運用が可能になります。この構造は、m19の大きな特徴です。手動による広告運用や他の自動化ツールと比べ、非常に少ない工数で圧倒的に高いパフォーマンスを出せる点は大きな強みと言えるでしょう。「m19」の機能や導入メリットについては、ぜひ前回のインタビュー記事をご参照ください。
導入3カ月で広告経由の売上が30%増、工数も9割削減
――どういった企業が、どのような理由・目的で「m19」を導入することが多いのでしょうか。
日本国内では、毎月の広告費が20万円程度の企業から数千万円を超える大手企業まで、さまざまなセラー・代理店様にお使いいただいております。
Amazon広告に関するお悩みもさまざまで、例えばペット用品の企画・卸売を行う株式会社アクセスライン様は、商品アイテムごとにもっと細かい広告運用をしたいという希望をお持ちでした。ヒアリングを進めると、広告運用の工数削減や予算切れによる販売機会の損失にも課題感があることがわかりました。
m19 Japan事業統括 飯野芳里氏。2025年4月17日にm19 Japan株式会社を設立
以前は他社のAmazon広告最適化ツールを使っていたそうですが、思うような効果が得られなかったため「m19」へのリプレイスのご相談をいただきました。
――「m19」への切り替えで、どれくらいパフォーマンスが改善されたのですか。
アクセスライン様は毎月20時間ほどかけてキャンペーンを運用されていましたが、「m19」の導入でこれらをすべて自動化することができました。キャンペーン作成のためのリサーチや運用方法の検討にかけていた時間もゼロになりました。入札金額や予算の調整、ターゲティングに関してもAIがすべて自動で最適化しますので、運用工数は導入前に比べて90%以上削減できたそうです。
また、キーワード戦略においてはコンバージョンしたターゲティングの数が約1.6倍に増えており、これまでリーチできていなかった顧客層にもアプローチできるようになりました。平均インプレッションやクリック数の向上にもつながり、導入3カ月でAmazon広告経由の売上げが30%増加、ACOSは14%から12%へと改善しました。
――当初の課題が解決された上、売上げも大きく伸びたのですね。数値には表れない導入効果などはありましたか。
アクセスライン様に限ったことではありませんが、「m19」を導入したことで広告運用に費やす時間や手間が減り、商品開発などより重要度の高い業務にリソースを割けるようになったという声はよく伺います。もちろんツールを使うために費用はかかりますが、複雑な業務を自動化できるため人件費などを削減できます。特にAmazonでは広告運用の成否が売上げを左右するので、コストパフォーマンスは良いと思います。
日本語版リリースや新機能追加でより便利なソリューションへ
――「m19」にはいくつかの新しい機能が実装され、より使いやすくなるそうですね。
今までは英語版のみでしたが、2025年1月からは待望の日本語版が利用可能になりました。これにより言語の壁で導入に二の足を踏まれていたお客様にも「m19」の導入をおすすめできるようになりました。
また、お客様からのご要望を受け、Amazonの広告効果を測定する指標「TACOS(総広告費売上高比率)」をもとに入札額や広告費を決定できるTACOS最適化機能を今春にリリースしました。Amazon Marketing Cloud(AMC)との連携により、Amazonが保有する膨大な顧客データを効果測定やインサイト分析に活用できるようになっています。
さらに、Amazon広告の専門知識がなくても、ワンクリックで広告運用を始められる自動運用機能「m19 Autopilot」の提供もスタートしました。これにより、初めてAmazon広告を扱う方でも手軽に運用を始められる環境が整いつつあります。今後は、Amazonの外部メディアにも配信できるDSP広告領域の最適化にも注力し、キャンペーン設計や自動最適化機能のさらなる強化を図ってまいります。
――日本のユーザーの声が新機能の実装や機能改善に活かされることもあるのですね。
おかげさまで国内では「m19」導入によるパフォーマンス改善や工数削減が評価され、新規採用が加速度的に増えています。フランス・パリにあるm19社も日本を重要なマーケットと捉えており、当社からの要望や提案は通りやすくなりました。日本語版がリリースされたり、TACOSの最適化機能が実装されたりするのも、日本市場において「m19」の存在感が高まっていることに他なりません。
――すでに国内の導入企業は300社を超えたとのことですが、今後も契約社数は増加していきそうですね。
ありがとうございます。最近はほぼ毎日お問い合わせがあるのですが、その多くはユーザー様からのご紹介によるものです。導入効果を実感いただけなければこうした口コミは生まれないので、本当に嬉しい限りです。当社としても「m19」を通して、Amazon広告運用のパフォーマンス向上に貢献できることは喜ばしいことですし、導入企業様が本来やるべき業務に注力できる環境を創出できている点でも大きな手応えを感じています。