楽天が初めて自治体と連携したOMO型物産展「愛媛百貨店 POPUP STORE」 手ぶらで買い物・観光を楽しめる体験を提供

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桑原 恵美子

(左から)楽天グループ 地域創生事業 共創推進部 シニアマネージャーの中川卓哉氏、愛のくにえひめ営業本部マネージャー 小林功児氏、愛媛県イメージアップキャラクター みきゃん、楽天グループマーケットプレイス事業 楽天市場マーケティング部 ヴァイスシニアマネージャーの三枝直登氏

愛媛県は、楽天グループと共同で、物産展「愛媛百貨店POPUP STORE」を大丸東京店で開催している。実店舗でのオフライン体験とオンラインでの購入を組み合わせたOMO型の物産展で、店舗での直接購入に加え、楽天市場の海外向けの配送サービスを活用することで、 海外からの旅行客が購入した商品を自宅に配送し、”手ぶら”で観光を楽しめる体験も提供する。楽天グループが自治体と連携してOMO型のPOPUP STOREに取り組むのは、今回が初めてとなる。

楽天が提供する新しい形のOMO型物産展

9月17日のオープン日に開催された「オープン取材会」で最初に登壇した愛媛県 愛のくにえひめ営業本部マネージャー小林功児氏は、「愛媛県には行政機関としては珍しく、『愛(あい)のくに えひめ営業本部』という、民間商社のように営業活動を行う部署がある」と解説。これは総合商社出身の愛媛県知事・中村時広氏が、愛媛県の地域経済を活性化させるために、県に「ものを売る機能」を持たせることはできないかと考え、平成24年度に発足させた部署 。

「愛媛県は柑橘王国であり、真鯛などの水産資源が豊富な水産王国、34の酒蔵を有する隠れた酒どころで、今治タオルや日本一の生産高を誇る砥部焼、水引などの伝統的工芸品の宝庫です」と愛媛県の魅力をPRした小林功児氏

「2020年には楽天グループとの連携協定を締結し、楽天市場内に『愛媛百貨店』という特設サイトを開設して、デジタルを活用した県産品の販売促進を展開してきました。今回のポップアップストアは、物価高騰に苦しむ国内事業者を支援し、2025年大阪・関西万博を契機に加速するインバウンド客への販路拡大を目的としています」と、物産展開催の背景と狙いを語った。

34の酒蔵を有する、隠れた酒どころである愛媛県の地酒の試飲もできる

OMO型の取り組みは、自治体との連携では初めての試み

続いて楽天グループ 地域創生事業 共創推進部 シニアマネージャーの中川卓哉氏が登壇。楽天市場内の「愛媛百貨店」特設ページでは約1万点以上の商品を扱い、年間数億円の販売実績があること、今回のPOPUP STOREでは、楽天市場で年間を通じて売れている売れ筋商品の中から、選りすぐりの商品を展示していることを語った。

売上金額ランキング1位の、「瀬戸内鯛めしの素」(愛媛海産:2合炊き用1418円)。全国の真鯛の生産量の約6割を愛媛県が占めているという

また今回のポップアップストアは、大阪・関西万博や世界陸上などの国際イベントに合わせて、インバウンド需要を取り込むタイミングで開催されていること、そのためオフラインの販売店でありながら、各商品にQRコードが付けられており、これを読み取ることで5言語での商品紹介が可能であることを紹介した。このオフラインとオンラインを融合したOMO型の取り組みを、自治体との連携して行うのは、楽天として初の試みだという。

「ターゲットがインバウンド客なので、Rakuten Global Express(RGX:楽天グローバルエクスプレス)により海外にも発送できるしくみになっています」と語った楽天グループ中川卓哉氏

「Rakuten Global Express」によるインバウンド対策とは

中川氏が触れた「Rakuten Global Express」によるインバウンド対策について、楽天グループマーケットプレイス事業 楽天市場マーケティング部 ヴァイスシニアマネージャーの三枝直登氏が詳しく解説。

このサービスでは、訪日外国人が日本で購入した商品をいったん、神奈川県内にある楽天の倉庫に送り、まとめて海外の自宅に配送することができる。そのため観光客は手ぶらで観光を楽しみ、帰国後に商品を受け取ることができる。さらに帰国後もウェブサイトから商品を購入し、海外に配送することが可能だという。

「ウェブページでは、海外の利用者向けに購入や配送に使える割引クーポンも用意されています」と語る楽天市場 マーケティング部の三枝氏

「海外配送に関わる手続きはすべてRakuten Global Expressが行うため、愛媛県の事業者は国内配送のみで海外への販路を拡大できるメリットがあります。また特設ウェブページは5言語に対応しており、本イベントで取り扱っている商品に加え、楽天市場で購入できる愛媛県産品合計7500商品がウェブページで購入可能となっています」(三枝氏)

各商品にQRコードが付けられており、これを読み取ることで5言語での商品紹介が可能

インバウンドの来場者は試食や体験をしながら店頭での購入を楽しめるだけでなく、決済完了後は公式の転送サービスRakuten Global Expressを活用し、複数のECサイトで購入した商品を“まとめて海外の自宅へ送ることができる。また商品についた二次元コード(QRコード)から楽天市場の購入画面へ遷移できるため、帰国後のリピート購入が見込める。インバウンド客、出店店舗、楽天グループすべてにメリットのある、“三方よし”のシステムといえそうだ。

愛媛県で古くから生産されている水引

国内一の生産量を誇る今治タオルなど、愛媛の魅力を伝える工芸品も数多く販売


記者プロフィール

桑原 恵美子

フリーライター。秋田県生まれ。編集プロダクションで通販化粧品会社のPR誌編集に10年間携わった後、フリーに。「日経トレンディネット」で2009年から2019年の間に約700本の記事を執筆。「日経クロストレンド」「DIME」他多数執筆。

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