楽天9年連続受賞、地ビール界を牽引するよなよなの里【店長のホンネ】

ECのミカタ編集部

YONA YONA BEER WORKS赤坂店・ビールサーバ付の「PRIVATE ROOM」にて。

長野県発、楽天ショップオブザイヤーで9年連続受賞を果たしているクラフトビールメーカー、ECサイト「よなよなの里」を運営する株式会社ヤッホーブルーイング。ECをはじめ、ローソンなどのコンビニやスーパーでの店頭販売、独自イベント、飲食店「YONA YONA BEER WORKS」のプロデュースなどの幅広い展開をしており、クラフトビール好きだけでなく、EC業界においても注目の店舗です。その取り組みについて、通販部門責任者の佐藤潤さんに、よなよなビアワークス赤坂店にて伺いました。

地ビールブームが去って、苦境を救ったEC通販

地ビールブームが去って、苦境を救ったEC通販楽天市場の「よなよなの里」

 ヤッホーブルーイングの創業は1997年。実は、楽天市場が立ちあがったのも1997年。ヤッホーブルーイングの運営するECサイト「よなよな里」は、楽天市場の出店第一期生だ。だが、当時はEC通販にはそれほど力を入れていなかったそうだ。

「その頃はちょうど地ビールブームで、わざわざECをやらなくても店頭ですごく売れていました。ただそのブームも、2000年、2001年ぐらいに終わってしまったんですね。当時は町興しで地方自治体がビールを造ったりしていたので、高かったり、味が個性的すぎたり、品質が安定しなかったりということもあって、市場が急速に縮小してしまいました。店頭で売れなくなった時に、うちのビールを好きだと言ってくれるお客様と、少しでもダイレクトに繋がって、起死回生の復活ができるんじゃないかと、ECに力を入れ始めました」。

 よなよなの里は、今、商品はもちろん、ECサイトの見た目も、サービスも、個性の光る店舗だ。だが最初は、ごく普通のECサイトだったと言う。

「代表の井手が、楽天大学など楽天さんが開催している研修に通って、ECのノウハウを学んで、他のお店もすごく研究して、徐々に姿を変えていった感じです。その結果、2004年辺りから徐々に売上が伸びてきて、現在に至るまで増収増益で来ています。だから、EC通販は原点だと思っています。地ビールブームが去った時に、廃業寸前のところでEC通販に活路を見出して、そのお客様に今日も支えていただいています」。

 ある意味では楽天市場をきっかけに、他にはない店舗へと進化を遂げていったよなよなの里。楽天市場では、他の店舗との交流があったことも大きな力になったそうだ。

「楽天市場って店舗様同士のつながりも強いです。楽天大学の他にも、店舗の研修合宿や研修旅行とかがあって、ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗の経営者の方々との研修旅行などもあり、横のつながりが強くなっていくので、私も店舗の運営に関する悩みなどを相談させていただいたりします。楽天さんともうまくタッグを組ませていただいていて、もともと出店のきっかけも、創業間もない頃の楽天さんから営業していただいたということもあったみたいです」。

気づけばオムニチャネル、お客様の声はとっても大事

気づけばオムニチャネル、お客様の声はとっても大事YONA YONA BEER WORKS赤坂店、店内の様子。ヤッホーブルーイングのビールとそれに合うお料理を楽しめます。

 ヤッホーブルーイングでは、EC通販だけでなく、店頭での販売や、イベントを行ったり、「YONA YONA BEER WORKS」という公式ビアパブのプロデュースも行ったりなどしている。その理由の一つとして、EC通販と言えども、インターネット上のやり取りだけでなく、直接顔を合わせて話をすることを重視していることがある。

「僕たちはビールメーカーですが、ビール製造サービス業だと思っています。お客様と話していると、今まで見えなかったいろんなことが見えてきます。日本のビール文化を盛り上げたい、楽しくしたい、こんな想いでビールを造っているんですということをお話ししていると、お客様はどんどん応援してくれるようになります。EC通販が盛り上がると、スーパーやコンビニのバイヤーさんが注目してくれて、店頭販売も増える。そうするとまたEC通販のアクセスも増えて、相互に補完して成長し、成長しあう土壌に、リアルイベントでのお客様とのコミュニケーションも交差して、各事業の連携が自然にフィットしていると思います」。

 最近は「オムニチャネル」という言葉でも表されるが、それを意識しているわけではなく、お客様と楽しいことをしたいという気持ちありきで、こういったつながりができているということが、ヤッホーブルーイングの強さだろう。すべてのチャネルがうまく連動しているのは、会社として、スタッフ全員が、同じ方向を向いているということにある。

「僕たちのミッションは、日本のビール文化にもっとバラエティを提供したいというもので、そのためにメーカーとしてこうありたいというものが3つあります。1つは、革新的な行動、面白いことをやろうということ。2つ目は、顔が見えるということ。3つ目は、個性的な味、品質にこだわるということ。全社員がこれに基づいてアウトプットをしているところは大きいですね」。

お客様の声を活かした製品開発

 そんなヤッホーブルーイングが、今、EC通販において力を入れているのが、年間購入だと言う。一度に購入する額としては、安くはない価格にも関らず、多くの契約があるそうだ。また、EC通販のお客様に定量的なインタビューも行っている。

「EC通販で購入履歴がないのに、年間購入を契約してくださるお客様もいらっしゃいます。そこで、何を接点にこのサービスを知ったのかお話を聞くと、コンビニとか、醸造所見学とか、そういうタッチポイントがあるんですね。ローソンさんで最初に買って、YONA YONA BEER WORKSに飲みに来て、醸造所に見学に来て、それからEC通販で買い物をしましたとか、そういうどこで僕たちのビールを知って、どこをきっかけに購入してくれたのかというところが見えてくると、今後のクロス方法が出てくるんです」。

 こういったお客様の声を聞く試みが活かされたことの一つが、「僕ビール、君ビール。」というビール。これが好評で、先日4月26日にはその第二弾「僕ビール、君ビール。よりみち」が発売となった。

「「僕ビール、君ビール。」は、ローソンさんから、最近の若い人はあまりビールを買わないのに「よなよなエール」は買ってくれるから、若者向けのビールを造ってくれないかというリクエストがあったのがきっかけだったんです。開発にあたり、対象の30代男性向けにインタビューをしてみると、ビールはおじさんが飲む飲み物、付き合いで飲む、汚い部屋に潰れた空き缶があって……という自分とはかけ離れているというイメージがあったんです。そこで、ビールをもっと近くに感じてほしいと思って、「僕ビール、君ビール。」という寄り添ったネーミングにしました。また、その年代の方ってゆるキャラとかのマスコットが結構好きなようで、デザインにもキャラクター的なものを取り入れました」。

クラフトビール界を盛り上げる!よなよなの進化

 お客様の声を聞き、EC通販からさらなる進化を続けているヤッホーブルーイング。それでは、今後はどのような展開を考えているのだろうか。

「EC通販では、おかげさまでクラフトビールというジャンルでは圧倒的なシェアを持っていて、店頭での販売も、ローソンさんを含め、クラフトビールの中では圧倒的にナンバー1になっています。次の展開として、YONA YONA BEER WORKSのような飲食店の業態で、ナンバー1になりたいと思っています。クラフトビールは、日本のビール市場において1%程度のシェアしかなく、まだまだ小さいものです。この業界をもっと盛り上げて、それを僕たちが率先して牽引して行けたら良いなと思っています」。


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