出版業界が生き残りをかけて始めたネットサービスとの新しい取組みとは?
1)縮小傾向の続く出版市場
出版市場の縮小傾向が止まりません。出版業界の調査・研究を手がける出版科学研究所の調査によると、昨年2015年の紙の出版物の推定販売額は14年比5.3%減の1兆5220億円。減少率は1950年に調査を始めてから過去最大となりました。
(出版科学研究所より)
出版市場が縮小している要因はさまざまですが、人口減少や紙離れ、またインターネットの普及により消費者の情報収集力が上がったことでニーズや嗜好が細分化しながらも、従来の出版流通がその動きに対応できていないこと、などが言われています。
書店数も減少が続いています。2014年の全国の書店数は、13,943。過去17年間で約8,000もの書店が無くなったといわれています。(日本著者販促センターより)
■出版業界の流通の仕組みと現状
日本の出版業界には“取次”という中間業者が存在し、その取次が出版社と書店の間に入ることでスムーズな流通を実現させています。ですが出版市場の縮小によりその取次システムにもほころびがでてきました。相次ぐ取次の倒産、そして取引先の書店がそれに連鎖倒産するという現象が起こっています。
2)出版業界が取り組み始めた「ネット卸サービス」の動き
そのような状況の中で出版社から新しい動きが見えてきました。
本を書店以外へ卸販売するという動きです。
巷ではいわゆる「ライフスタイル」提案ショップが増え、雑誌や書籍の取り扱いを希望する店舗が増えています。出版社はそこに新しい販路を見出し、取次会社を通さない形でそのような新しい販路を開拓し始めています。これにより、雑誌や書籍がまったく業種の異なるアパレルショップや雑貨店、飲食店などでも販売される景色が増えてきました。
その事例をご紹介します。
事例① セレクトショップ
大阪市北区にある若者をターゲットにした生活雑貨やインテリア、洋服、おもちゃ、食器などの幅広い商品を扱うセレクトショップ。棚づくりにこだわりを持たれているお店で雑貨とその雑貨に合う本を一緒に販売されています。例えばアリスグッズと一緒にアリスの絵本や食器と一緒にレシピ本などです。
事例② カフェギャラリー
京都府京都市中京区にあるカフェ。オーナーが本好きで、本が読めるカフェ、1人で楽しむカフェをコンセプトに4年前に開業。店内で雑貨や菓子、作家のつくったアクセサリーなどを販売していたが今年から本の販売もスタート。大人向けの絵本を中心に取り扱われています。本好きのお客さまがよく来られるため好評で、喜ばれているそうです。
事例③ インテリア雑貨ショップ
兵庫県神戸市東灘区にあるインテリア雑貨店。“雑貨の大洪水”をコンセプトに商品構成されています。特にプレゼント商材についてこだわりを持たれており様々な商品がバラエティ豊かに揃えられています。お店の近辺には大学があるため学生の方がよく来られるそうです。本の中の人気商品は文響社の「人生はニャンとかなる!」シリーズ。
このような出版社へ新しい販路を提案し、販売を実現しているのがスーパーデリバリーというネット卸サービスです。現在この「スーパーデリバリー」には21社ほどの出版社が出展し、既存の販路とは異なる販売先との取引をスタートしています。
■スーパーデリバリーとは?
スーパーデリバリーはBtoBのマーケットプレイスで、出展企業(メーカー)が商品をスーパーデリバリー上に出品し、登録している小売店がそれらの商品を仕入れできるサービスです。
スーパーデリバリーを利用する小売店は全国各地にあり、ファッション・雑貨を扱うセレクトショップが中心となっています。商品掲載数は約56万点。メーカーにとっては、地域を超えた全国約5万店舗への販路拡大ツールとして効果を発揮し、小売店にとっては1,100社の出展企業とインターネットを通して取引でき、仕入先を大幅に拡大することが可能です。
■参考 現在スーパーデリバリーに参加している出版社
河出書房新社、徳間書店、白泉社、偕成社、こぐま社、童心社、金の星社、大日本絵画、ほるぷ出版、文溪堂、ロクリン社、CCCメディアハウス、文響社、イースト・プレス、学研プラス、エイ出版、ブティック社、雷鳥社、パイインターナショナル、ブックコミュニケーション、筑摩書房 (計21社)
出版市場の縮小傾向が止まりません。出版業界の調査・研究を手がける出版科学研究所の調査によると、昨年2015年の紙の出版物の推定販売額は14年比5.3%減の1兆5220億円。減少率は1950年に調査を始めてから過去最大となりました。
(出版科学研究所より)
出版市場が縮小している要因はさまざまですが、人口減少や紙離れ、またインターネットの普及により消費者の情報収集力が上がったことでニーズや嗜好が細分化しながらも、従来の出版流通がその動きに対応できていないこと、などが言われています。
書店数も減少が続いています。2014年の全国の書店数は、13,943。過去17年間で約8,000もの書店が無くなったといわれています。(日本著者販促センターより)
■出版業界の流通の仕組みと現状
日本の出版業界には“取次”という中間業者が存在し、その取次が出版社と書店の間に入ることでスムーズな流通を実現させています。ですが出版市場の縮小によりその取次システムにもほころびがでてきました。相次ぐ取次の倒産、そして取引先の書店がそれに連鎖倒産するという現象が起こっています。
2)出版業界が取り組み始めた「ネット卸サービス」の動き
そのような状況の中で出版社から新しい動きが見えてきました。
本を書店以外へ卸販売するという動きです。
巷ではいわゆる「ライフスタイル」提案ショップが増え、雑誌や書籍の取り扱いを希望する店舗が増えています。出版社はそこに新しい販路を見出し、取次会社を通さない形でそのような新しい販路を開拓し始めています。これにより、雑誌や書籍がまったく業種の異なるアパレルショップや雑貨店、飲食店などでも販売される景色が増えてきました。
その事例をご紹介します。
事例① セレクトショップ
大阪市北区にある若者をターゲットにした生活雑貨やインテリア、洋服、おもちゃ、食器などの幅広い商品を扱うセレクトショップ。棚づくりにこだわりを持たれているお店で雑貨とその雑貨に合う本を一緒に販売されています。例えばアリスグッズと一緒にアリスの絵本や食器と一緒にレシピ本などです。
事例② カフェギャラリー
京都府京都市中京区にあるカフェ。オーナーが本好きで、本が読めるカフェ、1人で楽しむカフェをコンセプトに4年前に開業。店内で雑貨や菓子、作家のつくったアクセサリーなどを販売していたが今年から本の販売もスタート。大人向けの絵本を中心に取り扱われています。本好きのお客さまがよく来られるため好評で、喜ばれているそうです。
事例③ インテリア雑貨ショップ
兵庫県神戸市東灘区にあるインテリア雑貨店。“雑貨の大洪水”をコンセプトに商品構成されています。特にプレゼント商材についてこだわりを持たれており様々な商品がバラエティ豊かに揃えられています。お店の近辺には大学があるため学生の方がよく来られるそうです。本の中の人気商品は文響社の「人生はニャンとかなる!」シリーズ。
このような出版社へ新しい販路を提案し、販売を実現しているのがスーパーデリバリーというネット卸サービスです。現在この「スーパーデリバリー」には21社ほどの出版社が出展し、既存の販路とは異なる販売先との取引をスタートしています。
■スーパーデリバリーとは?
スーパーデリバリーはBtoBのマーケットプレイスで、出展企業(メーカー)が商品をスーパーデリバリー上に出品し、登録している小売店がそれらの商品を仕入れできるサービスです。
スーパーデリバリーを利用する小売店は全国各地にあり、ファッション・雑貨を扱うセレクトショップが中心となっています。商品掲載数は約56万点。メーカーにとっては、地域を超えた全国約5万店舗への販路拡大ツールとして効果を発揮し、小売店にとっては1,100社の出展企業とインターネットを通して取引でき、仕入先を大幅に拡大することが可能です。
■参考 現在スーパーデリバリーに参加している出版社
河出書房新社、徳間書店、白泉社、偕成社、こぐま社、童心社、金の星社、大日本絵画、ほるぷ出版、文溪堂、ロクリン社、CCCメディアハウス、文響社、イースト・プレス、学研プラス、エイ出版、ブティック社、雷鳥社、パイインターナショナル、ブックコミュニケーション、筑摩書房 (計21社)