離脱の10大要因は? 去っていく顧客に「待った」をかけるリテンションマーケティングの要諦
こうして顧客は去っていく――、売上の伸び悩み感じている事業者にとってなんとも刺激的なタイトルだ。著者は、大手広告会社やシンクタンクを経て現在、國學院大學教授としてリテンションマーケティングやデジタル経済を主な研究領域とする宮下雄治氏。多くのビジネス書籍が新規顧客の獲得ノウハウをうたう中、本書は「顧客の離脱防止」に光を当てた一冊だ。
業種として成熟期に入ったビジネスでは、新規顧客獲得のハードルは一段と高い。ならば「既存顧客をいかにつなぎとめるか」がマーケティングの重点課題になるわけだが、本書では第4章・約90ページを割き「解約率(チャーンレート)が上がる10大要因」として顧客がサービスの利用や購入をやめる要因を10パターンに分類。さらに各要因を解消し成功に結び付けた事例も紹介する。中でもEC事業者としては「離脱要因⑤ 失敗するかもしれない機能的リスク」の項は押さえておきたい内容。著者は、ネット通販ゆえに存在するリスクと利用者が抱く不安を分析し、その削減のために口コミをはじめとしたUGC(ユーザー生成コンテンツ)の重要性を説く。
著者が“バケツに開いた穴”に例える顧客離脱。それを阻止するためにすべきこと=【診察(状況の正確な把握)】【診断(離脱要因の解明)】【治療(離脱阻止対策の実施)】を、ステップを踏んで解説する新刊。なぜ顧客は去っていくのか?――自社でECを展開する企業担当者だけでなく、サポートする支援事業者にとっても学びのある一冊だろう。
書名
こうして顧客は去っていく サイレントカスタマーをつなぎとめるリテンションマーケティング
金額
1870円(税込)
著者
宮下雄治
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