【第六回】ヨナーイ佐々木のEC内緒話~どん底から這い上がった男の成功運営ノウハウ

佐々木 伸一


【テラオ株式会社 ヨナーイ佐々木のEC内緒話~どん底から這い上がった男の成功運営ノウハウ】

オリジナルの日本酒と型番の自転車グッズ。どちらでも無駄なお金をかけずに成果を上げた著者のノウハウを全10回でお届けします。

前回の「暗黒期」ともいえる第五回にすごく大きな反響をいただき、改めて、多くの方にとっても会社での問題のほとんどは「人」なんだと実感しました。

私は幸いにも、出会いによってそこから抜け出すことが出来ました。

氷が少しずつ解けていくように、知っていたはずのわかっていたはずのことを「実感して」「相手と自分のために」生かせるように」なっていった第六回のお話です。


☆バックナンバー

・第一回「27歳職歴なし無職(借金有り)からの出発」
https://ecnomikata.com/column/9195/

・第二回「パソコンを持たないネットショップ店長誕生」
https://ecnomikata.com/column/9380/

・第三回「思わぬヒット商品、誕生。」
https://ecnomikata.com/column/9596/

・第四回「強みを生かすとヒットが生まれる。」
https://ecnomikata.com/column/9886/

・弟五回「評価されなかった頑張りと結果。」
https://www.ecnomikata.com/column/10144/

最後に掴んだ藁(わら)。

色んな事が劇的に変わったチームビルディングプログラムとの出会い。写真は2008年当時のハリネズミみたいになっていた頃。

明らかに今と比べても色んなものへの敵意に満ちた目をしてますね(笑)



「これでどうにもならなかったら、お客さんには申し訳ないけどもう会社を辞めよう。」


そう思いながら楽天大学(楽天市場さんの出店者向けの講座)のチームビルディングプログラム(通称TBP)に参加しました。

「どうやったらウチの会社の連中はやる気を出してくれるんだ?」

「言わなくたってわかるようなことを当たり前にやってくれるようになるだろうか?」

「何で平社員の俺ばっかりに責任を押し付けて、あいつら恥ずかしくないんだ?」

そんな心境でしたね。


2008年の7月から月に一度、岩手から東京まで通い、同じ期に参加してきた全国の楽天店舗さんと一緒に、座学だけではなく実際の体験(アクティビティ)を通じてチーム作りに取り組み始めました。


これがたぶん最後の可能性だ。


社長に直訴して50万円を出してもらい、本気も本気の背水の陣で臨んだ初日。


やっぱり「頑張れば頑張るほどしんどくなってきてもう限界が近い。」とか「スタッフとの温度差をどうにかしたい!」とか、同期の皆さんも似たようなことで悩んでるんだなー、と共感する人たちが参加者の半分ぐらい。

ところがその一方で「楽天の担当に薦められたのできました。」とか「何か良くわからないけどしんどくなってきたので来ました。」とか、挙句の果てにほとんど全然ひと言も話さない人もいて。

合宿形式で開催された初日の夜には「やる気のある人チーム(当時のボクの視座で)」と「アイツら何しに来たんだよチーム(当時のボクの視座で)」が完全に分裂。


余談ですが。

中でもコルクマットだかを売っているらしい、大阪から来たくせに全然、ひとっ言も話さない女性店長あたりに対しては「なんでこいつらは、こんなに熱量が低いのに経費と時間を使ってまで、ここに何しに来てるんだよ!?」と、かなりイライラ来てました。

6年後にそいつと結婚するとは本気の本気で夢にも思いませんでしたね(笑)


チームビルディングプログラムについて(楽天大学のページより転記)

【目的】
グループをチームに変える
マイナスをゼロにするのではなく、ゼロからプラスを生む。
1+1+1=3ではなく、5~10以上にする秘訣を理解する。
チームワークの大切さやチームの発達段階を理解し、チームビルディングの実際を体感する。

【講座概要】
・5つの力(予測力、1.1力、アシスト力、リーダーシップ力、気付き力)
・チームの発達段階
・目標設定(KPI)と共有、プロセスの見え方
・モチベーションマネジメント、コーチング
・役割分担とチームワーク
・コミットメント
・ストレングスファインダー(強みの判定)
・アンテナ感度の高め方


一応、説明は書いてみましたけど、たぶんほとんど伝わらないと思いますw

これは「体験型」なので、やってみないと解りませんねー。


当時の私がそうだったのですが「自分と他人は違う人」。そんな当たり前の事なんて知ってるし解ってる、と思っていたのですが。

・・・とんでもありませんでしたね(笑)

そして見つけた「青い鳥」。

TBP受講から8カ月ほど経った2009年の夏ごろの写真。

それまでと比べて自分の表情が本当に穏やかになっているのが、自分でもわかります。

よく「TBPに参加して一番変わったことは何ですか?」と質問されることが多いのですが、私の場合は迷わずに「自分自身」と答えます。

会社の雰囲気が良くなかったのも、周囲の人たちの協力も、上司の許可も得られなかったのは、簡単に言ってしまえば、被害者だと思っていたはずの自分が「下手くそで悪かった」から。

今なら解るのですが「理解されない」のは「理解してほしい」と思いながら「理解されるように振る舞えなかった」未熟な己のせいだったんですね。

当時のボクはサッカーで言えば完全に「ワンマンなフォワード」。自分が点を取らなければチームが勝てない・負けると思っていました。

今思えば「本当は全部のポジションを自分がやった方が良い」とすら考えていたかもしれません。

でも、当然サッカーは11人でやるスポーツですから1人ではできない。

なので「仕方なく」他の人に仕事を振っていたのに、何で他の連中は「勝つ気が無いんだ」「役割を果たそうとしないんだ」と不満で仕方がありませんでした。

でも違っていました。

自分が「ここならゴールを狙える」と思ったところに全力で走り込んでいるのにパスが出てこない。

守備陣も攻め上がって欲しい場面で、自陣のゴール前から上がってこない。

それも当然。

皆は得点を挙げるために走っているボクを助けるために「どうすればいいか」が解らなかっただけなんです。


一方のボクは、チームのために献身的にプレイしてるつもりなのに、周囲の助力が得られず絶望していたわけです。

こんなに忙しいのに、なんでお前らは平気で帰れるんだ?と。


「じゃあ、お疲れ様でした…」

おずおずとそう声をかけて退社するスタッフに、今にも人を殺しそうな不機嫌な表情と声で、言下に「勝手に帰れボケ!」ぐらいのニュアンスで「おう…お疲れ…」とか言ってました。

本当は助けてほしかったわけですが、とてもそうは見えませんよね(笑)。

周囲が「腫れ物に触るように」距離を取るのは当たり前の話です。


本当はみんな助けたかったのに、どう助けていいかわからなかっただけ。


全てを拒んでいたのは自分自身だと知りました。


そして。


だいたいみんな自分の事を「被害者」だと思うんですよね。繁忙期や仕事にキツイ、雰囲気の悪いときは特に皆がそう思ってるんです。

じゃあ「加害者は誰なんだ?」と(笑)。


当時の私は余裕もなく、そりゃもう鬼のような表情で、業務指示などをまくし立てるように「ガーッ!」と一方的に伝えて「わかった!?」と一方的に言って終わり。

そりゃおっかないですもの。相手はわかってなくても「…はい。」と返事するしかない。

で、後になると「確かに伝えて」「相手も了解した」はずのことが全然出来てない。

「何でだよぉぉぉぉぉぉっ!!!!やる気あんのか!?辞めちまえ!」

などと烈火の様に「怒る」「やる気をなくす」悪循環。

相手の表情やトーンでわかりますよね(笑)。本当に理解したのか何か引っかかることがあるのかぐらい。


特に変化したことがいくつか。

「聞くことと話すこと」を「理解する、伝達する」ために丁寧にするようになったこと。

感情に任せて「烈火の様に怒る」ことを止めて、自分の意志と意見を伝えるために「静かに叱る」ようになったこと。

やっと「自分と人が違う」ときちんと理解でき、得意なことや評価されてうれしいことが違う、そんなことが実感としてわかるようになったこと。

しんどい時には、素直に「助けてー!」と頼めるようになったこと(笑)。



当時のボクが欲しくて欲しくて堪らなかった「仲間」は最初からいたんです。

メーテルリンクの「青い鳥」のチルチルミチルじゃあるまいに、苦難の旅を経てようやく探し求めた幸福の青い鳥が、最初から我が家にいたことに気が付けたんです。

Tさんとの衝撃の出会い。

出会った時に私を絶望させ、その後に成長の機会を与えてくれた、いわば「一番弟子」のお話。

TBPを受講した2008年はチーム内の雰囲気も良くて、売り上げもちゃんと伸びたので、また楽天市場さんのショップ・オブ・ザ・イヤーが頂けるんじゃないかと思っていましたが…見事に落選。

あの直後は夜中の変な時間にふっと目が覚めて「ああ、今年はダメだったんだ…」と本気で落ち込むほどに悔しかったです。

ただ、程なく「そもそも賞を取るために商売やってこなかったな」と思い出して、すぐに「売上は、チーム作りはじめ自分の良い仕事が出来ていたら「後から付いてくる結果」と思うようになっていきました。


そんな感じで、2009~2010年頃は再び内製的に商いを突き詰めるようになっていきました。

そして2010年の春。

ボクの仕事観をある意味で大きく変えることになった、19歳年下の部下の女の子と出会いました。

Tさんは高校の卒業時にどこにも就職が決まらずに、高校の先生から泣きつかれて、社長がコネ入社させた3人の中の1人でした。入社してすぐに、人手が足りなくなってきていた源三屋チームに配属されたのですが・・・


これがまた!


驚くほど常識に疎く、お世辞にも勉強が出来るとも言い難い。

ちなみに自分の年齢すら覚えていない始末。。


最初の頃はパソコン触れない、一般常識はない、知識もない、で全然使えず。


あまつさえ、ミッション系の高校を卒業したくせに、

(-_-)「てんちょーてんちょー、クリスマスって天皇陛下の誕生日ですか?」

と聞かれたあの12月の残業の夜の「俺はこの部下をどうすれば良いんだ…」という絶望感は忘れられません(笑)。本気で絶句&戦慄しました。


ちなみに。

「お、お前ちゃんと学校に行ってたのか?」とおっかなびっくり聞くと

「3年間、無遅刻無欠席でした!」

と胸を張られて本当に困り果てました(笑)。



しかし、端で見ている分にはヒジョーに面白いのですが、これが部下となると大変です。



最初は本っ当ーに!何もできないやつだったんですが、ある時ブログを書かせてみたんですよね。

大した内容でも文章でも無かったのですが、お客さんのコメントへのお返事を見ていて「ん?」と思いました。距離感というか接客のセンスを感じたんですね。

そこからケータイ版のメルマガを書かせてみましたが、まず最初に教えたのは「日本語」です(笑)。

センスはあるけど表現方法や文法がしっちゃかめっちゃかなもんで、基本的な文章は書かせていましたが、最初の頃は言い回しや文法を教えながら添削してましたね。


またある日は彼女が受注問い合わせを担当したお客さんからクレーム…というほどでもないお問い合わせがあり、たまたま休みだった彼女に確認のために電話しました。

ちょっとした行き違いだったのでようで確認も取れたので、私からお客さんに伝えることにして「休みの日に悪かったな」と電話を切ったのですが…その30分後。

「さっきのお客さんの件ってどうなりましたか?」

と、わざわざ出社してきたのには驚きましたし、彼女の持っているマインドに気が付きました。

これも途中で気が付いたのですが、彼女は「出来ないのに一生懸命に真面目に頑張っているからこそ、お客さんに可愛がられる」という特性を持っていました。


スタート地点や自分の能力がどうであれ「本人の学ぶ姿勢」があって「学ばせてあげられる環境」を用意すれば、本当に驚くほど短期間に信じられないほど劇的に人は成長する。

今にして思えば、自分自身もそうであったのですが、ボクは彼女と接することで、それを実感しました。


それから5年後。

二代目の源三屋店長となった彼女は、恐らく史上最年少となるわずか24歳で楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーの表彰式の壇上に立っていましたよ。

まあ、まだまだこれから苦労するんでしょうけどね(笑)。

第一回に書かせて頂いた、その年齢の頃のボクはまだ4-5回目の大学3年生でしたね。

次回、第七回の予告。

そして、あの日がやってきます。

売上だけを追いかけて賞レースに参加するのではなく無くて、お客さんが生涯付き合いたくなるような、他の人に伝えたくなるような、日本酒が好きになるようなお店を目指す。

それも独りではなくチームで。

多くの店舗さんがリーマンショックで売り上げを落とす中も堅実に売り上げが伸びていき、2010年には思いもかけず、再び楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞。

色んなことが少しずつ実現してきて、これでやっと本腰を入れて成長のための仕事に取り組むことが出来る、そう思っていた矢先でした。

忘れえぬあの日「2011年3月11日」がやってきました。


次回はお盆休みを挟んで8月19日の更新予定です、が。もしかしたら一週スキップするかもしれません。

へば、また次回!


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著者

佐々木 伸一 (sasaki shinichi)

1972年11月1日岩手県大船渡市生まれ。2004年に前職の岩手の日本酒蔵「あさ開」で、PCの知識ゼロのバイト上りの平社員からEC事業を立ち上げ、楽天ショップオブザイヤーを通算6度受賞する人気ショップに。2014年結婚を機に退職し、大阪で自転車グッズの卸売業を営む妻の実家に婿入り。現職のEC部取締役マネージャー。運営する自転車グッズのキアーロは前年比200%超で売上げ推移。

自転車グッズのキアーロ
http://www.rakuten.ne.jp/gold/dandelion/

あさびらき十一代目源三屋
http://www.rakuten.ne.jp/gold/asabiraki/