【第2回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜差別化の鍵はユーザーニーズにあり
【第1回】なぜ、フリマアプリだったのか?
https://ecnomikata.com/column/10339/
【第3回】日本初のフリマアプリ「フリル」とCtoCの変化〜前日比5倍!?急成長の2つの要因
https://www.ecnomikata.com/column/10866/
株式会社Fablicの土屋と申します。
今回は、フリルの開発にあたり男性だけのメンバーでどのようにして女性に受け入れられるサービスを形にできたのか。そのことについてお話しできればと思います。
好きなピンクじゃない?
第一回目でお話した通り、現場ヒアリングやインタビューを何度も繰り返し、色々な人々の、実在する課題を探して、仮設の構築と検証を繰り返した結果女性限定のフリマアプリを作ることに決めました。
ターゲットが決まり自分たちなりにプロトタイプを作って開発を進めていくわけですが、ただ1つ問題がありました。前述の通り開発者全員が男性でサービスのターゲットユーザーではなかったため、実際のニーズを汲み取れているのかプロダクトが受け入れられるのか、本当に使ってもらえるものを作れているのかがわからなかったのです。
そこで、知り合いを通じて想定ターゲットユーザーの複数の女子大学生を紹介してもらい、プロトタイプを実際触ってもらいながらユーザーインタビューを実施しました。
事前調査でターゲットとする女性層はピンクを好む傾向があることはわかっていたので、プロトタイプではピンクを基調としたデザインにしていました。しかし、実際にインタビューをしてみると『このピンクは好きなピンクじゃない』といった感覚的な、男だけでは気づかない点を指摘されました。これには驚かされました。その後、複数のユーザーインタビューを実施しましたが違和感を指摘されるほとんどの部分は毎回同じで、その違和感が生じる部分を見つけては改善してヒアリングするという開発サイクルをひたすら繰り返すようになりました。
ユーザーファーストな文化
インタビューをさせていただいた方にはFacebookのコミュニティで継続的にインタビューを取れるようにしたり、インタビューした人に友達を紹介してもらうというテレフォンショッキング方式でサンプル数を増やしました。結果、100名以上のインタビューを実施し、このことで改めて実際に利用してくれそうな女性のニーズを確信できたり、若い女性に受け入れられる・使ってもらえるアプリを形にすることができました。
このようにして、いくらユーザーのことを考えて開発しても机上の空論でしかないんだということに気づいてからは、実際のユーザーの声を重要視するようになりました。
今でもその開発手法を実践していくために、基本的にカスタマーサポートのスタッフはユーザーから採用するといった方針を掲げています。新規機能を作る際は社内にいるユーザー(=サポートスタッフ)にヒアリングを実施したり、新しく開発した機能を使ってもらったり、QA(品質保証)テストに一緒に参加してもらうことでユーザーの目線から見て不明な点や使いにくい点がないかなど指摘してもらうフローを取り入れています。
競合より素晴らしいサービスを作り続ける
男性だけで女性限定サービスの開発を始め、手探りで不安だったためユーザーインタビューを実施した
結果、当たり前のように『ユーザーファースト』な文化や考えが根付きました。
そしてユーザーをスタッフとして採用することで、インタビューを受けてくれる女性を都度集める苦労はなくなり、継続的にユーザーと一緒にサービスを作り続けられる体制が整ったのです。
今ではCtoCのサービスやフリマアプリは数えるほどあります。その中でも、常に他社との差別化を考えなくてはなりません。
当社にとって「ユーザーと一緒にサービスを作る文化を持っている」ということは、他社にはない独自の価値の1つであると考えています。常にユーザーのことを考え、声に耳を傾ける。それが自信を持ったサービス開発に繋がっています。
次回は、どのようにしてフリルが認知され広まっていったかについてお話できればと思っています。
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■ フリル(FRIL)
https://fril.jp/
■ FRIL lab(フリルラボ)
若者のファッションから消費トレンドを考える調査機関
https://fablic.co.jp/frillab
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