【第2回】 日本と台湾のECの違い ~最新台湾EC事情~
前回のコラムでご紹介した通り、台湾のECは年10%以上の成長率を誇る魅力的な市場ですが、一昔前の日本のようなモール中心のEC市場で、成功している企業はごく一部であるのも事実です。
成長し続けている魅力的な市場であるにも関わらず、なぜ成功している企業はごく一部だけなのか、日本と台湾のECの違いからご説明いたします。
【第1回】なぜ今、台湾なのか ~最新台湾EC事情~
https://www.ecnomikata.com/column/12476/
店舗が送る、消費者へのメッセージ
台湾のスーパーやコンビニに行くと「買一送一」や「任選第2件6折」といった表示をよく見かけます。
「買一送一」は「1個買ったら1個無料」、「任選第2件7折」は「どれでも2つめは3割引」という意味ですが、どちらも消費者に対してまとめ買いを促すメッセージです。
台湾には定期購入が浸透していない?
台湾の実店舗の特徴は、ECサイトでも使われています。
台湾のECサイトの商品詳細ページには、「○個買えば△%OFF」の表記や複数商品の購入が選択できるダイアログボックスが存在します。しかし、日本であれば、単品通販のECサイトの商品詳細ページには「定期購入」を促す表記やボタンが存在します。これは台湾ではまとめ買い、日本では定期購入が浸透していることを表します。
そう、台湾では「定期購入」が全く浸透していないわけではないですが、「リピート通販」という日本での定石が通用しづらいのです。そのため、日本でのやり方をそのまま台湾に輸出するだけでは、自社サイトのECビジネスを成立させ、且つスケールさせることが難しいのが現状と言えます。
それでは、なぜ台湾では「定期購入」が浸透していないのでしょうか?
台湾の消費者の商品受け取り方法
日本では、ECで購入した商品は、宅配業者が指定の時間に指定の場所まで届けてくれます。一方、台湾では、自宅配送以外にコンビニで商品を受け取ることが主流です。
台湾は世界一コンビニ密度が高い国であることに加え、夫婦共働きが多く、宅配ボックスが存在しない家がほとんどです。そのため、コンビニで商品を受け取ることが多いと思われます。
コンビニで商品を受け取るとなると、必然的に定期購入の数が減ることは容易に想像ができますよね。
なぜ台湾では定期購入が浸透しにくいの?
またクレジットカードの普及率こそ高いものの、比較的安価な商品(生活用品など)に対してクレジットカードを利用するケースが少ないのが現状です。そのため台湾人にとっては、クレジットカードが「後払い」や「つけ払い」の感覚が強いことも「定期購入」が定着しづらい要因の1つでしょう。
そもそも定期で購入する商品は、文字通り、
・継続的に摂取したり、使ったりする必要があるもの
・一定のサイクルで送られてくると便利なもの
が多いと思いますが、
日用品以外の商品における台湾の消費者ニーズも「定期購入」が浸透しない理由の1つだと、個人的に感じています。
次回は、定期購入される商品の代表例である「化粧品」や「健康食品」の台湾の消費者ニーズについて考えながら、モールに負けないECサイトづくりについてご紹介してまいります。