【初心者向け】ECサイトの運営計画をつくる5ステップ【第4回】

金子 史人

この連載では、中小企業の皆様が、ECサイトを活用し、売上を伸ばしていくためのヒントをご紹介します。

【第1回】中小企業がECサイトを活用できていない3つの理由 : https://www.ecnomikata.com/column/10932/
【第2回】ECサイトの成功の鍵とは?成否を分ける「リピート顧客」攻略法: https://www.ecnomikata.com/column/11848/
【第3回】ECサイトを成功に導くターゲットの設定のポイントとは?: https://www.ecnomikata.com/column/12166/

そもそも、なぜECサイトでは運営計画を作成することが重要なのか?

皆様は、どのくらい計画を立ててECサイト運営をされていますか?

ECサイトをはじめられたばかりだと、なかなか計画がうまくたてられないと感じる方も多いかもしれません。しかし、成功しているECサイトは必ず計画を立てています。

私がこれまでにご支援したお客さまに月商が5倍になった会社があります。その会社の支援として最初にしたのが、ECサイトの運営計画の策定でした。目安として3年分の計画の作成をおすすめしています。

なぜ、3年分の計画を出すのか?
そもそも通販では1人のお客さまにかける広告費を回収するのに、多くの場合は3か月~1年ほどかかります。さらに2~3年と続けていくうちにリピーターからの売り上げが伸びる一方で、商品や印刷などのロット数が変更になります。そのため一時的に払うべきキャッシュが増加し、P/LだけではなくB/S、キャッシュフローの管理も必要になります。

長期的な計画がなければ、そもそも年間でどれくらいお客さまが商品を買ってくれるのか?売り上げや利益がどれくらいなるのか?がわかりません。そうすると、今月いくら集客に予算をかけられるのか?がわからず、今の集客費用が適切なのかどうか?も判断できません。

ECサイトの計画を作成する5つのステップ

それでは、実際にECサイトの計画を立てるための手順をご紹介します。

┃ステップ1:今の収支構造を知る
最初にするべきなのは、現状の把握です。下記の内容をすらすらと答えられますか?
① 1発送あたりのコストの合計がいくらか?(製造、パッケージ印刷代、同梱物やプレゼント、コールセンター、決済手数料、送料、輸入費など)
② 1か月にいくつの商品が売れたか?
③ 客単価はいくらか?
④ 月の売り上げがいくらか?(売れた商品数×客単価)
⑤ 結局、最終的にはどれくらいの利益が1か月に出ているのか?(売り上げー(1発送当たりのコスト+その他のコスト))
⑥ 1回目購入したお客さまの何%が2回目の購入をされるか?(転換率)
⑦ 2回目購入したお客さまの何%が3回目以降の購入をされるか?(継続率)

いかがでしたか。まず情報の整理が、計画を立てる第一歩です。

【備考】転換率(1~2回目の継続購入)の目安とは?
ECサイトの収益の中で、1番インパクトがあるのは、“継続率を上げる“ことです。とはいえ、初めてECサイトをする場合などは、どれくらいの転換率・継続率だといいのか?はわかりにくいと思います。

もちろん商品・商材によりますが、私の経験では大きな目安は下記のとおりです。
・1回目から2回目への転換率は、
・安価なトライアル商品購入の場合は20%
・いつでも解約ができる定期購入の場合は75%
・3回分は解約ができない定期購入の場合は 85%(解約ができないという前提ですが、化粧品などの場合は、どうしても合わないなどの理由で解約される方がいらっしゃいます。)

┃ステップ2:1人の顧客を何ヶ月目までに黒字化するか?を決める
次に決めるべきは、1人の新規のお客さまの獲得にかかる費用をいつまでに回収するか?の決定です。これは、会社の金銭的な状況によって大きく異なります。言い換えれば、「いつまで会社が1人の顧客の黒字化を待てるか?待ってくれるか?」とも言えます。これはECサイト単体ではなく、会社の経営判断にも関わります。

一般的に中小企業の場合は、3ヶ月~6ヶ月が多いです。対して大企業では、1年などの場合もあります。メリット・デメリットを理解した上でどのくらいの期間をとるかを決めましょう。

【回収までの期間を長く設定した場合】
メリット:
・新規購入者/人の獲得にかけられる広告費が高くなる

デメリット:
・黒字化に時間がかかる

【回収までの期間を短く設定した場合】
メリット:
・黒字化までの期間が短くなる(早く収益化できる)

デメリット:
・新規購入者/人の獲得にかけられる広告費が低くなる。その結果、競合にシェアを取られることも。
・新規購入者数が獲得できないことで、リピート購入者が増えず、結果的にいつまでも固定費が回収できない(赤字のままの)可能性

┃ステップ3:1人の新規購入者にかけられる広告費を決定する
次に、ここまでの計算を目安に、1人の新規購入者の集客にかけられる広告費を決めます。

① ぎりぎりまでかけられる広告費(限界CPA)
② 残したい金額などを差し引いた広告費(目標CPA)
の2種類を決めるのをおすすめします。

例えば、3か月目までに1人の新規顧客から出る利益の合計が5000円。可能ならば2割を利益として残しておきたいとすると、
限界CPA:5000円
目標CPA:4000円(5000円マイナス5000円×2割)

どうしても目標CPAの決め方に迷った場合は、限界CPAの70~80%程度の金額をおすすめしています。


┃ステップ4:広告会社を選ぶ
限界CPA、目標CPAが決まったら、具体的にどういった広告を使うか?を考えます。
自社で運用をする場合と、広告会社に任せる場合がありますが、これから長期的に広告を運用していくならば、広告会社に頼むのをおすすめします。まずは自社の計画を基にした限界CPA、目標CPAを伝え、相見積もりするのがお勧めです。

あとは、
・長期的な視点で広告を見てくれるか?
・ここまで考えてきたようなCPAの構造までちゃんと考えた上で運用をしてくれるか?
・人間的に相性が合うか?
などを確認して、広告会社を選びましょう。

広告会社は、ECサイトの業界ごとの転換率や継続率の平均値情報も持っています。その情報と合わせて、出稿媒体や目標獲得件数を決めます。


┃ステップ5:実施計画をまとめる
最後に、広告会社と決めた情報と自社で用意した情報をまとめて一覧で見られるようにします。

・既存顧客、新規顧客数の推移予想
・何件商品を購入される見込みなのか?
・売り上げがどのくらい出るのか?
・広告費と経費(1発送あたりの経費の内訳)がどれくらいかかるのか?
・利益率がどれくらいなのか?
・どの時期にキャッシュが必要なのか?
などを3年分まとめれば、実施計画の完成です。

まとめ:計画全体の見直しは半年ごとに

ここまでECサイトの計画の立て方をお伝えしましたが、実際にECサイトを運営すると1か月目でこの計算通りにいかなくなる場合がほとんどです。

しかし、大切なのはPDCAを回すこと。しっかりと数字を追い続けて、どこがずれているのか?をしっかりと確認し続けることです。

半年ほどすると、いろいろな数字がある程度おちつきます。その頃を目安にまた計画を立て直しながら、調整をしてみてください。


著者

金子 史人 (KANEKO FUMITO)

WEBマーケティング戦略推進本部 販売代行2部 部長
アフィリエイト・サービス・プロバイダを経て、2012年にソウルドアウト株式会社に入社。九州地方にて、単品通販企業のEC立ち上げに従事。2年間で、複数の企業が年商数億円規模に成長。

http://www.sold-out.co.jp/