【第10回】「たまたま」をチャンスに変える力~EC素人集団 「米・雑穀のみちのく農業研究所」~
第9回に登場していただいた博多久松の松田氏と同じく、楽天市場にてSOY(SHOP OF THE YEAR)を何度も受賞している、九州は宮崎の店舗「自然の都タマチャンショップ」取締役田中耕太郎氏・取締役吹上郁恵氏との対談が実現した。今回はそんなSHOP OF THE YEAR授賞式翌日、興奮覚めやらぬままの対談となった。
※バックナンバー
【第9回】「負けたことがある」という強み
https://www.ecnomikata.com/column/12867/
【第8回】楽天市場ベスト店長の人気の秘密とは?
https://www.ecnomikata.com/column/12126/
【第7回】大繁盛飲食店から学ぶ商いのキホン
https://www.ecnomikata.com/column/11720/
登場人物
田中)自然の都タマチャンショップ:田中耕太郎
吹上)自然の都タマチャンショップ:吹上郁恵
ロングビーチ)米雑穀のみちのく農業研究所:長濱洋平
山賊)楽天市場:荒木真司
※敬称略
楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー2016授賞式
新年明けましておめでとうございます。読者の皆様、いつも本コラムをお読み頂き誠にありがとうございます。本日はこの場を借りてご報告があります。当店「米・雑穀のみちのく農業研究所・楽天市場店」は、楽天市場出店店舗の約44,000店舗の中より米ジャンルにて2年連続のショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞させていただくことができました。
日頃当店で買い物をしてくださるお客様をはじめ、読者の皆様・生産者の皆様・応援していただいております全ての皆様に心より御礼申し上げます。そこで「米・雑穀のみちのく農業研究所」にて、感謝の気持ちを込めて「SOY受賞記念ありがとうセール」を開催いたしておりますので是非ともお立ち寄りください。
さて今回の授賞式を機に、なんと更なる素敵な出逢いがございました。それは米・雑穀の同ジャンルにて「米・雑穀ジャンル大賞」「ラ・クーポン賞」「総合7位」のなんと三冠王を達成されました、今や食品EC界では、不動の冠を持つあの店舗様との対談です。
「自然の都タマチャンショップ」
取締役 田中耕太郎氏・取締役 吹上郁恵氏
田中耕太郎氏(34)と吹上郁恵氏(37)は御姉弟であり、楽天市場へ出店したのは今からさかのぼること13年前の2004年5月3日のことあった。当時、同社は宮崎県都城市にて、実店舗で原木しいたけの販売を行っていた会社で、しいたけの市場を経営し、卸問屋への商売が主軸であった。しかし、食の輸入化が急激に加速し中国産の食材が増え、国産しいたけ市場もその影響をうけてきたのが丁度この時期だったのだ。
当時、しいたけの国内シェア比率は中国産8割、国産2割と圧倒的に国産の減少化にさらされ、国内市場はもはや困窮している状況にあった。そういった状況の中、「このままでは家業が途絶えてしまう」といった想いで、田中氏(当時24歳)は東京から帰省し、2004年ある時に近所の知人がたまたま楽天市場に出店したのを目の当たりにし、「ネットは売れるからやってみな?」と言われたので、それを信じて「しいたけ屋タマチャンショップ」という屋号で出店をしたとのことだ。
しかし、しいたけの販売はそもそもの市場が厳しく、1年ほど苦戦を強いられていた時、たまたま来たある人に温泉水の「まんてんすい」という商品をすすめられ、店舗で販売してみた。すると、その商品が年間1,000ケースを超える大ヒット!又、東日本大震災の時には1日2万件の受注になったこともあったのだとか。
ロングビーチ)なぜこの商品がここまで売れたのですか?
田中)品質の良さです。
ロングビーチ)具体的にどんな品質ですか?通販で水を売ることほど難しい分野はないですよね・・・。
吹上)この水、実は鹿児島県垂水市の温泉水なんですよ、ですが世界でもアルカリ性質などの品質に関して高い評価をされているもので、数々の受賞もしてる商品なんですよね。
ロングビーチ)そんな商品価値の高いものを、仕入れるルートや販売によくつなげられましたね、そういうのは大手飲料メーカーがもっと先に扱いそうですよね。にも関わらず、すごいですよね・・・。
田中・吹上)たまたま知人が、この話を持ってきてくれたんですよね・・・。
この年「しいたけ屋 タマチャンショップ」から「自然の都 タマチャンショップ」に店舗名を改名する。理由は、「しいたけだけでなくこの水の販売の成功体験に学び、身体にいいと評価される商品をECで販売していこうと思った。まさに“医食同源”と思い、“自然の都”という大きな視野に改名を行った。」と両氏は言う。
その後、身体に良い食材の販売に注目し商品開発を始めた矢先、たまたま会社から歩いて5分のところにある雑穀工場を発見した。そして、その会社に伺い、雑穀を試しにECで販売することとなる。それがあの有名な「タマチャン21世紀雑穀米」なのだ。この商品でタマチャンショップのブランドは、ネットショッピングユーザーには幅広く認知されることとなる。
さてここで読者の方へクイズです!なぜ「タマチャン」という店名なのでしょうか?
1 出店したきっかけが知人に「タマタマ」誘われたから
2 お母様のお名前が田中多摩子(タナカタマコ)さんだから
3 歩いて5分の場所に「タマタマ」雑穀工場があったから
正解は②でした。が、①③もすべて事実で、「たまたま」が連鎖して歴史となって姿を変えたこの話は、もはや謎めいているようにも思える。
そんなヒット商品を送り出し続けるタマチャンの商品開発は、常にこの田中氏・吹上氏がひらめき創意工夫を繰り返してきている。その商品数は、今や楽天市場店で1,200アイテムを超えるバリエーションとなっており、現在も様々な健康食品が販売されている。様々な分野の健康食品をここまで自社アイデアで開発できるのは、まさに「タマ神様の神降臨」と言っても過言ではないだろう。
今日も田中氏の机には、デビューを今か今かと待つ新商品のサンプルが山のようにあるという。「1年後、私たち2人だけでなく、社員皆がアイデアを出し合って商品を作りたいですね。」と両氏は言う。
「今後のタマチャンショップはさらにエンターテイメントをするために、「モノ」から「コト」を伝えていきます。デジタル化することに、敢えて反比例の「健康のアナログを拾い集める」事に特化していきたいです。またページの制作については、専門WEBデザイナーと連携し100歳の方でも買い物しやすい、わかりやすいページ作りをいつも心がけています。」
タマチャンショップ両氏は、自身の成功理由に今回の対談中で「たまたまですよ」を幾度となく口にした。本当にたまたまなのだろうか?私がただの記者であれば、このコラムには「偶然のラッキーショップタマチャンショップ」とコラムを書き上げていただろう。私は何とも言えないもやもやが残っていた。「本当に、たまたまだけで、ここまで大ヒット商品や数多くのお客様がファンになる?」そんなはずはない。
私が思うに両氏は、とても緻密に「準備」をしているのだと思う。運を引き寄せる力とその運を形に変える「準備」を常に整えているのであると思う。どんな人にも人生の中には幸運が舞い降りてくる時が幾度かある。その時にその幸運を的確に処理するだけの準備が整えてあるか、否か?で、その幸運を大成功に変えることになるかならないかの違いが生まれる。
「運も実力のうち」とはよく言ったもので、「実力」とは「準備力」である。タマチャンにはその「準備力」が人脈という形であり、様々な分野の方に恵まれているのであると思う。これは、この姉弟力であり、持ち前の人間力であると思う。「準備を整えている人にしかチャンスは訪れない」ように見えるが、実は「準備を整えている人にしかチャンスは生かせない」。「自然の都 タマチャンショップ」とは、その準備を誰よりも怠らずに毎日常に考えている、まさに努力の人たちであると思う。
『お米はミカタ』プロジェクト
田中)主食であるお米を食べない人が増えてきていますが、お米は日本人の味方のはずなんですよね。
山賊)あ!『お米はミカタ』プロジェクトやりましょうよ。ECのミカタだけに!タマちゃんショップとみちのく農業研究所で、何か一緒に商品作れたりしたらいいですね。
田中)雑穀米とお米が一緒に送られてくるだけでもいいですよね〜。もともとは日本人はお米や雑穀米を食べていたわけですからね。きっとお米を食べることは非常に大切なことだと思うんです。
ロングビーチ)宮城県産ひとめぼれ、雑穀米ブレンドとか新しいよねぇ。
山賊)いいですねぇ、新しいですねぇ。ロングビーチ社長のところは、分付きや銘柄の個別対応受けてるので、雑穀米ブレンドてきそうですね。
ロングビーチ)4合小袋分包とかにしたらどうでしょうね?⤴永谷園味噌汁方式のパッキングで?!
山賊)地域活性的な観点からみても、両者が生産者にフォーカスを当てて、ユーザー向けに『お米はミカタ』『お米を食べよう!』って企画一緒にやれたら、とても面白いと思いますし。ECを通して食卓に更に価値を伝えていけますね!楽しみです!
田中)是非、やりましょう!そういうプロジェクト!