【第12回】対談最終回「日本のECのミカタ」~EC素人集団 「米・雑穀のみちのく農業研究所」〜
対談最終回となる今回は北海道のお土産をECで最も売るショップ様と対談を行った。
過去の苦難、成功の秘訣、更にはゲストご本人の人間的魅力について正面からお話を伺ってみた。
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https://ecnomikata.com/column/14066/
登場人物
小笠原氏:北海道お土産探検隊 小笠原航
ロングビーチ:米雑穀のみちのく農業研究所 長濱洋平
※敬称略
【1】北海道のお土産をECで最も売る男
北海道千歳市にECだけで驚きの流通を生み出すお土産販売店がある。そのお店は新千歳空港内の1等地に実店舗も持つ地上・空中両方を抑えた経営で盤石な体制を整えている。
その名も「北海道お土産探検隊」→
http:www.hokkaido-omiyage.com/
「スカイショップ小笠原 (新千歳空港国内線)」北海道千歳市美々新千歳空港 国内線ターミナルビル2F
0123-46-2255
「山ト小笠原商店 (新千歳空港国際線)」北海道千歳市美々新千歳空港 国際線ターミナルビル3F
0123-46-2021
を運営する株式会社山ト小笠原商店 代表取締役社長 小笠原航氏(50歳)である。
・ショップオブザイヤー2014 海外販売大賞受賞
・ショップオブザイヤー2015 スイーツジャンル賞受賞
・ショップオブザイヤー2015 海外販売大賞受賞
・ショップオブザイヤー2016 海外販売賞受賞
・ショップオブザイヤー2016 スイーツジャンル賞受賞
素晴らしい受賞歴である。そんな小笠原氏と本編1年間の最後に相応しいゲスト対談を行った。
小笠原氏に空港で逢うやいなや「俺、口下手だからこれまでの他のゲストの皆さんのように上手くしゃべれないけど大丈夫?」と言われ「形式張っちゃうと話せないから、俺のお気に入りのBarだとリラックスして話をできるんだけどいいかな?」と。まずは実店舗「スカイショップ小笠原国内線店」→「スカイショップ小笠原国際線店」→「(株)小笠原商店本社」と駆け足でお邪魔する。その後、札幌の市内にある「Bar Vespa SAPPORO」(北海道札幌市中央区南5条西4丁目アルトビル5F 011-530-9990)にてじっくりとお話を伺うことになった。まさに探検隊だ。
株式会社 小笠原商店は今年で創業67年。EC通販への出店は、2000年11月に楽天に出店し数々の栄光を収めてきた。小笠原航社長は4代目であり家業を代々受け継いできた。そんな中、大きな転機が訪れる。昭和39年北海道の玄関千歳空港の開港だ。この時、先代は空港内にお土産店をオープンさせる権利を取得しこれまでに至ったという。
そんなリアル店舗もさることながら17年前に小笠原氏はECの可能性に着目、ひとり実行する。
その結果今の「北海道お土産探検隊」が誕生したと小笠原氏は言う。現在のスタッフは総人数48名うちEC通販事業部スタッフは13名。この人数で楽天・AMAZON・Yahoo・ポンパレモール・さらに海外向け販売を行っている。驚くことに海外向けの販売は通販事業の30%を占めているという驚異的な数字である。
その販売のコツを一言で聞いてみた。
ロングビーチ)「毎年の数字の前進の秘訣は何ですか?」
小笠原氏)「うちの売りは、スピードと丁寧さのバランスが強いのだと思うよ。それは空港のリアル店で磨かれた搭乗時間が差し迫っているお客様にいかにストレスなく商品を会計しお渡しできるか、常にコンビニよりハイクオリティを目指してやってきた。」
ロングビーチ)「数字の目標設定や実績は毎月社長がビシバシ管理するのですか?」
小笠原氏)「いや、僕はやらない。なぜかというとスタッフに感覚を大事にしてもらいたいんだよね。自分は感覚を大事にこれまでやってきたから口うるさいことをどんなにスタッフに言っても歪むだけで寧ろブレーキになるような気がする。だから当社では販売目標はあってもノルマは課さない。」
ロングビーチ)「これまでのご商売されてる中で最もピンチだったことは何でしたか?」
小笠原氏)「3・11の震災だったな。。。あの時はちょうど3月のホワイトデーの受注も重なってもうだめかと思ったよ、だって北海道は観光でいらっしゃられるお客様が多いからお土産はもろにその煽りを受けるわけだよね、旅行者が激減するわけだから。
地震後の状況は被災者の方々の思いを考えれば、我々の比ではない事はもちろん解る訳です。しかしながら自身の店舗・ECサイトの販売が3分の1まで低下して従業員の生活も危ぶまれた状況だった。あの時は何をしても全く面白くなくて完全に自閉状態になっていたね。今でこそ話せるけど。」
ロングビーチ)「当店、米・雑穀のみちのく農業研究所×北海道お土産探検隊で何か商売をするとしたらどんなことを思い浮かびますか?」
小笠原氏)「僕は、北海道以外の物を売るつもりはないからお米屋さんとやるとしたら北海道米と北海道のおかずのセットにしたお土産や商品を販売したいかな?2店でタイアップ企画でダブルネーム商品を作って、お互いの店で販売してみたいね。」
【2】日本一の「口下手EC先生」
楽天市場では昨年より「R-Nations」という現役の実力のある出店店舗が未だ売り上げに伸び悩む店舗にECのノウハウを教えて売り上げを倍増させるという取り組みが開催された。
全国よりわずか5名の講師だけが楽天市場より任命され、その第1回に講師に選任されたのが北海道お土産探検隊の小笠原氏である。その功績はなんと5店舗を受け持ちそのうちの4店舗をすべて売り上げを倍増にしたという驚きの実績であった。
口下手と自身が話すのとは裏腹にこんな多店舗を急成長させる力は何か?と質問したところ「ほとんどの店はやるべきことをやっていないだけだよね、基本的な事をやっていないだけだからその基本を教えたんだよね。そうしたら自然と数字がついてきた」まさにこの回答こそ、口下手先生である。(もう少し、噛み砕いていただきたかったな~。)
わたしが感じたのは小笠原氏は確かに口下手で寡黙な方である。しかし若者をファンにさせる力やオーラを持つある意味日本男児的な「親分肌」である。そこがきっと強力な安心感となり生徒さんは身を委ねる覚悟をするのだと思う。新しいことを始めるのに見ず知らずの人に自分のすべてを預けるのには勇気がいるし中々その中に信用を産み出すことは難しいと思う。しかし小笠原氏はきっと実務を教えることよりもさらにコミュニケーションに時間を費やしたのではないかと私なりに推測した。その訳は…?
それは彼が「日本一、人の育て方が上手いダンディーな口下手EC先生」だからだ。
口下手EC先生の授業に興味ある方はこ・ち・ら
→http:www.hokkaido-omiyage.com/
【3】小笠原社長の未来に質問する~北海道お土産探検隊メッセージ
ロングビーチ)「こちらのお店はとても落ち着いているBarですが小笠原さんはよくいらっしゃるんですか?」
小笠原氏)「うん。昨日も居たよ。僕らしさが出てるでしょ?このお店」
ロングビーチ)「いわゆるここは瞑想場所ですか?」
小笠原氏)「そう、たまに一人でここで商売のいろんなこと考えるんだよね。ここは僕にとってヒラメキ製造工場的な場所かな。」
ロングビーチ)「なるほど勉強になります。ところで探検隊ってフレーズ忘れないですよね。この先の探検隊は何を探検する予定でありますか?」
小笠原氏)「北海道お土産探検隊でこれまで培ってきたお客様の信頼を今度は、自社と製造メーカーで共有しオリジナルの北海道のお土産を開発する試みを今やっているんだ。まさにロングビーチと同じ“研究所”だね。つまり“北海道お土産研究所”を立ち上げるんだよ。お客様の好みにさらに深く刺さっていく商品はまだまだ無限にあると思っているからね。」
ロングビーチ)「なるほど。では今日から一年後の目標は何ですか?」
小笠原氏)「僕の夢は北海道の物を世界一売るという夢を持っているので一年後はその夢に着実に近づくことしかないよね。」
ロングビーチ)「そろそろ夜も更けてきたのでわたくしも夜の探検隊にも入隊したいのですが・・・。」(笑)
小笠原氏)「そこは俺もよく知らないので永遠に探検中だな~」(笑)
ロングビーチ)「失礼いたしました。」(汗)
~最後に~
「お土産」という言葉はその昔、旅行が手軽にできない時代に「お伊勢講」という地域の仕組みより伊勢神宮のお参りから来ているらしく、伊勢神宮に行った人はその帰りに自分の村人たちに「宮笥」(みやげ)というお札を貼る「板」を買って帰るという古くからの習わしが日本の各地にありその時に伊勢神宮の周りにできたその「土地」の「産物」を販売するお店が数々できたことから「土産」という言葉ができたらしいです。
日本人は世界の中でもその「土産の心」を重んじる風習が強く、どちらかというと外国人は国に帰ってから自分で使う買い物を海外でしていく傾向が強いが、日本人は会社の上司や同僚近所の方々にまで気配りをしてお土産を買っていく。そんな日本人はやはり「おもてなし」の国なのでしょう。今回の小笠原氏の発言や行動は、「おみやげを販売する→思い出を分け合う・誰かに感謝の気持ちを伝える・美味しさで驚かす・今まで見たことのないものを伝える・感動を与え共有する→また会いたくなる。この町・国に来たくなる」をこの対談のわずか2日間でとても強く感じさせていただいた。更に小笠原氏の口癖は私共のような若手にも分け隔てなく「札幌に遊びに来いよ!案内するからさ」と告げる自然のセリフ。 この方にたくさんの人々が魅了され、九州など遠方から会いに行く人が多い意味が今回の対談でとてもよくわかった。女性にも同性にも愛され、万人に慕われる小笠原航氏は北海道の宝、そしてオリンピックを控え日本の宝となり世界中の人々に日本のおもてなしを「お土産」という形でわかりやすく伝導してくれる、まさに日本を代表する「お土産界」そして「EC界」の味方である。
最後にこれまで1年間本コラムを読んでいただいた、たくさんの皆様、ご出演いただいたゲストの皆様に心より御礼申し上げます。今後の益々の読者皆様の御隆盛とEC界発展をご祈念申し上げます。ありがとうございました。
米・雑穀のみちのく農業研究所 代表取締役 長濱洋平