【第1回】アメリカと日本の宅配事情の違いとサービスの行方
今、宅配の問題がマスメディアで取り上げられていますが、これって日本だけの問題なのでしょうか?弊社アラウンド・ザ・ワールド株式会社は、日本・アメリカ・イギリスの3か所を基点に商品の転送サービスを15年間行って参りました。面白いもので各国それぞれビジネスの成り立ちが異なり、サービスの在り方ももちろんのこと多様です。
今回のコラムは現地で実際に活動をしている私の目から見た、アメリカと日本の宅配事情の違いとサービスの行方についてご説明していきます。
アメリカの宅配サービスの実情
今年3月に流れていた日本においてヤマト運輸のサービス見直しのニュースによれば、Amazon等によるネットショップの配送量が莫大に増え、配達ドライバーの勤務状態も悪化とのことでこの配送サービスを再検討するとのことです。
アメリカ側から日本のこの宅配事情を考えますと、日本の宅配サービスは極上のすばらしいサービスといえるかと思います。時間指定、日時指定、再配達、受取人に手渡しするのもサービス料金内で行われています。アメリカの場合、発送人または荷受人に配達サービス内容の選択を求められます。例えばアメリカのポストオフィスの場合、下記のようにオプション料金が発生します。
【追加料金の例】
〇受け取り時にサインが必要な場合 → $2.45
〇指定時間、指定場所、手渡し人の確認が必要な場合 → $7.40
〇大人のサインが必要な場合 → $5.90
とオプションはすべて有料になります。
またFedex、UPS等は発送日数の選択はできますが時間指定はできないのが通常です。
ネットショップの場合は、ショップ側がこの配送の責任を取る場合が多く、安い発送方法を選択したために、荷物の紛失(サインを付けない場合は荷物は玄関口に置いて帰るのが通常です。)があれば、ショップが責任を持って再発送、または商品の返金をすることになります。
配送サービス内容はあくまでも発送人あるいは荷受け人の選択となります。大切な荷物であればそれなりのサービスを選択し、それなりの料金を払ってくださいということです。アメリカは労働者を法律、憲法で守っていますので、人件費に担ったサービス内容、サービス料金になっているということですね。
今後の配送サービスの行方は?
さて、日本もAmazonの急成長のため宅配業界に旋風を巻き起こしたのですが、同じくアメリカもアマゾンの当日配送はもちろんのこと数時間で届けるサービスが話題になっています。
このようなサービスを充実させるために、アマゾン自社配送会社、その名も「Amazon carrier」が発足いたしました。様子を見てますと、Amazon自社のバンで配達しているケースと、自家用社に乗っている配達人も見かけます。これはサービスの供給と人件費、人材確保をうまく手配するために、アメリカで流行りのUberのようなドライバーを利用しているようです。
サービスの向上にはコストがかかります。このコストを一方的な負担にするのではなく、利用者、関係者がより良く納得し、分担できて初めてビジネスの構造が成り立つのではないかと感じています。
今回はアメリカの宅配サービスについて考察しました。日本の宅配サービスと大きく考え方が異なることをご理解いただけたのではないでしょうか。