【韓国越境EC事情】普段着で楽しめる独自伝統服で越境EC展開、「ダハム」
韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム「cafe24」を通じて、海外展開に取り組む様々なヒットショップとその理由について、ご紹介します。
今回は、チマ•チョゴリなど伝統衣装にファッションやトレンドを取り入れ、成長を遂げているEC発ブランド「ダハム」を紹介します。着物や浴衣を普段着で楽しむ日本人を見て、新たなビジネスチャンスを見つけたところに注目です。
ファッション韓服ブランド「ダハム」は、普段着用として気軽に着用できる韓国伝統服「韓服(ハンボク)」の販売を手がけています。同ブランドは、姉のペク•ダハミCEOがデザインと生産を、妹のペク•ヨジンCEOが、運営や販促を率いています。
本格的に韓服販売に取り組んだきっかけについて、二人は、こう話しています。
「ダハムをローンチする8年間は、ECで女性服を販売していました。その間に、商品撮影のため、日本を訪れた時、着物を普段着として着用する大勢の日本人を見ました。特別な日だけ韓服を着る韓国とは違うなと思い、普段着用として楽しめる韓服を作ろうと決めました」
ダハムは、スカートをはじめ、ジャケット、アクセサリー、靴に至る様々なカテゴリーを扱っています。特に、チマ(下衣)とチョゴリ(上衣)を一体型したワンピースは、心地よさと可愛さで反響が続いています。
カスタム商品やサブブランドのローンチで成長
ダハムは、20代後半から30代半ばの女性客が50%を占めていますが、年中行事などで韓服を着る40代以上の顧客層も確保しています。これに加え、注文顧客の体型に応じたカスタムサービスを提供したことで、顧客拡大にも成功しました。また、ウェディングドレスの代わりに韓服を着るトレンドを掴み、昨年サブブランド「ダハムウェディング」も立ち上げました。
特に、昨年参加した「インディブランドフェア」は、国内外のアパレル企業とバイヤーから「ブランド」として認められたきっかけになったと言います。
「イベント参加を皮切りに、韓国百貨店やポップアップストア出店をはじめ、中国ショッピングセンター出店も計画しています。すでに、SNSなどネット上で商品に関する問合せが多かったので、様々な販路確保に集中しています」(ペクCEO)
実際、ダハム全体売上のうち、約30%が海外顧客から実績を上げています。16年からは、グローバルECプラットフォーム「cafe24」を使用し、越境ECにも本格参入しています。また、ソウルの人気観光地「ヘバンチョン」に実店舗も開業するなど活発な取り組みをしています。
[ダハム共同CEOとの一問一答]
--越境EC事業のきっかけと日本市場に参入した理由は。
ソウルの人気観光地に開業した実店舗に、日本人観光客も多く訪れています。
韓国に比べ日本は、普段着で着物や浴衣を楽しむ文化もあり、アイドルの人気に伴い、若年層を中心に韓服への関心も高まっているようです。最近、このような傾向が続いているので、今後日本向けEC展開に力を入れて行きます。
--海外顧客の特徴に違いはありますか。
SNSなどネットをうまく活用すると、海外市場に向けたブランド広報もできる環境が整っているので、国内と類似した運営を行っています。ただ、海外ユーザーは、韓国独特の伝統的なデザインを好むニーズが多いと見ています。これに対応するため、韓国の伝統素材で「韓国の伝統美」を強調した商品開発に取り組んでいます。
--海外展開における顧客対応戦略について
海外番組に弊社商品が紹介され、放送前に比べ売上が150%程度伸びたことがあります。また、アイドルなどを活用した広告も海外から反響があり、認知度向上に効果的だと思います。今後も、商品やブランドを効果的に伝える販促チャネルを発掘していきます。
--今後の計画について
より多くの海外市場に向け、韓服を紹介したいです。また、男性服について顧客からの問合せも多かったので、今年上半期を目途に発売を計画しています。日本現地でポップアップストア開催や、韓服の魅力をアピールできるファッションショーへの参加も計画しています。
ECのミカタ編集部の見解
伝統と現代のニーズを掛け合わせることで、新たな商品を生み出す、という動きはファッションに限らず、様々な場所で行われています。日本でも「和モダン(和風モダン)」という言葉が存在している程です。
ここで難しいのは、伝統を押し付けるのではなく、現代のニーズと上手く調和させることではないでしょうか。いくら伝統が素敵なものであったとしても、それが現代人の日常に合わなければ結局、”特別な日”にしか使われないものとなってしまいます。
DAHAMではチマ•チョゴリのようなワンピースや、チョゴリ(上衣)に似たデザインのコートなど、デザインや素材などを変えることで、伝統のデザインを生かしながらも”モダン”と上手く調和させています。
日本でも伝統行事はもちろんのこと、日常生活での和装や海外の方が和装をして観光を楽しむ姿を目にします。DAHAMには海外への日本文化を発信するヒントだけでなく、日本国内でも和装をより身近にできるヒントがあるのではないでしょうか。