【徹底解説】中小企業の貿易とテクノロジー活用〜ECが中小企業の貿易を変える〜
近年、越境Eコマースを駆使して積極的にビジネスを海外に拡大する中小企業の例を耳にする機会が増えてきました。では他国と比較した場合、日本の中小企業の貿易活動と、それをサポートするテクノロジー活用の実態はどうなのでしょうか?
フェデックスは、日本を含むアジア太平洋地域の9つの市場において、従業員数249人以下の中小企業計4,543社を対象に、調査会社(Harris Interactive)に委託する形で動向調査を行いました。調査結果から、日本の中小企業の現状と課題について紐解きます。
増加する輸出の重要性と、多様化する輸出入先
日本の中小企業が輸出から得る収入額は、その収入総額の41%を占めます。2016年に行なわれた前回調査結果(35%)から増加しており、輸出の重要性が増していることが推察されます。さらに、北米、ヨーロッパを中心としたアジア太平洋地域外への輸出が増加していることから、輸出先の多様化が進んでいることも分かります。輸入も、アジア太平洋地域以外との取引が64%にのぼり、輸出入ともに取引先が多様化しています。
中小企業の成功に欠かせないデジタル活用。45%が今後も増加していくと予想
取引先の多様化に伴い、日本の多くの中小企業が輸出における懸念事項として、為替レートの影響や顧客開拓での課題を挙げています。これらの対応策の一つとして、Eコマースなどのデジタル活用が今後更に大きく成長し、収益増加に貢献すると見込まれます。
一方で、現在の日本の中小企業の貿易におけるデジタル活用率は低く、Eコマース利用率が40%、SNSなどのソーシャルコマースは28%、モバイルコマースは23%に留まります。これらの利用率はアジア太平洋地域全体の平均の半分以下です。
サプライチェーンや配送チャネルの効率化におけるニューテクノロジーの利用にも期待が寄せられており、すでにソフトウェアオートメーション、モバイル決済、ビッグデータおよびそれによる高度な分析などの活用は広がってきています。しかし、日本の中小企業におけるニューテクノロジー全体の利用率もまた、アジア太平洋地域平均の半分以下です。
企業の収入増加やコスト削減のために輸出入の重要性が増し、輸出入先の多様化が拡大する中、為替変動による影響、新たな顧客の獲得、新たな物流・配送ソリューションやオプションの導入など、中小企業の海外へのビジネス拡大には様々な課題があります。Eコマース活用の拡大や、新たなテクノロジーの導入は、これらの成功への大きなカギを握っていると考えられます。