成功するECサイト5つの特徴、失敗するECサイト5つの特徴

清水 将平

今回は「成功するECサイト5つの特徴、失敗するECサイト5つの特徴」について、読者の皆様がご存知の「百貨店」を例に紹介させていただきます。自社ECサイトや出店形式の楽天市場やYahoo!ショッピングでも応用できる内容となりますので、ぜひサイト改善の参考にしてみてください。

成功する特徴1:フロアガイドがある/失敗する特徴1:フロアガイドがない

成功する特徴1:フロアガイドがある/失敗する特徴1:フロアガイドがない

自社ECサイトの場合は入口がトップページになる場合が多いと思いますが、楽天市場などのモール形式の場合は商品ページが入り口となる場合も多いのではないでしょうか。その入口となるページのファーストビューに百貨店の「フロアガイド」が存在するかしないかが非常に重要なポイントとなります。

「フロアガイド」とは、エスカレーターやエレベーター付近に掲示されている、以下のような階別の売り場の案内となり、お客様が目的の商品がある売り場に、迷いなく辿りついてもらうことために掲示されているものです。

取り扱い商品カテゴリが多岐にわたるECサイトの場合も、百貨店同様にファーストビューの「グローバルナビゲーション」に「フロアガイド」が存在しない場合、閲覧しているサイトのイメージや商品画像のカテゴリのみの取り扱いショップだと判断されてしまい離脱につながる原因となりかねません。

例えば千趣会が運営する「ベルメゾンネット」では、「ファッション」「インテリア・雑貨」、「妊娠・ベビー・キッズ」「ビューティ」「グルメ・ギフト」などのカテゴリにワンクリックで、移動できるような「グローバルナビゲーション」が設置されています。

https://www.bellemaison.jp/

「ユニクロ」だと、PCサイトは左上、スマートフォンサイトでは目玉となるバナーの下に「WOMEN」「MEN」「KIDS」「BABY」と、ターゲット別に「グローバルナビゲーション」が用意されています。

https://www.uniqlo.com/jp/

このような大手有名ECサイトでは、品揃えを細かく把握されているケースがあります。しかし、大手ほど把握できていない中小規模のECサイトでは、取り扱い商品のメインとなる「カテゴリ」だけでもファーストビューに「グローバルナビゲーション」として表示してみる工夫がより重要となります。

成功する特徴2:インフォメーションがある/失敗する特徴2:インフォメーションがない

百貨店の「インフォメーション」と言えば、1階の入口付近でよく見かける受付スタッフ。「ワイシャツの売り場がどこですか?」と尋ねると「3階に紳士服売り場がございますので、こちらのエレベーターでお上がりください。」と説明してくれますね。では、ECサイトでの「インフォメーション」と言えば、具体的に何を指しているのでしょうか? それは「検索窓」だと言えるのではないでしょうか。

Googleやモールの「検索窓」に調べたいキーワードを入力したどり着いたECサイトで「検索窓」が見当たらない場合、続けてショップに質問することができず、購入を諦めてしまう原因にもなりかねません。

また、楽天市場やYahoo!ショッピングのような出店側のモールの場合、商品ページの上部には、必ずモールの「検索窓」が配置されています。ショップ専用の「検索窓」が存在しない場合、そこから検索してモール全体の商品の検索結果に遷移してしまう可能性も高くなります。

これらの問題を解決するためには、トップページだけではなく、商品ページ、それもPCサイトだけではなく、スマートフォンサイトに置いても、ファーストビューからワンクリックで検索できるナビゲーションを用意しておくことが重要です。

例えば「ヨドバシ.com」では、PCサイトの場合、あらゆるページの上部に「検索窓」が表示され、スマートフォンの場合は、商品ページ以外のトップページ、カテゴリページの上部に「検索窓」が表示されています。

https://www.yodobashi.com/

スマートフォンが普及し、毎日のようにお客様は検索している時代です。「検索窓」が見つからない、すなわちお店の中を見渡すことができないことは、複数商品のあわせ買いの機会損失にもなるので「検索窓」の配置を見直してみましょう。

成功する特徴3:お客様を理解している/失敗する特徴3:お客様を理解していない

「百貨店」を訪れるお客様は多様です。友人との時間待ち合わせをする方、ふらっと立ち寄される方、お祝いやお礼返し、頑張った自分へのご褒美など、明確な目的があって訪れる方のほか、できるだけ安くお得に購入したい方など、まちまちかと思います。

そのようなお客様を理解できているかが売上を大きく左右することになります。例えば、単純に商品をページに掲載し、注文ボタンだけついているECサイトで商品を購入するには、「ギフトラッピングに対応しているのか?」「納期が間に合うのか?」「ギフトボックスや熨斗には、料金が必要なのか?」といった疑問をショップに尋ねる必要があります。つまり、お客様がわざわざアクションを起こさない限り、ギフト目的で注文してもらえる可能性が極めて低くなってしまいます。

また「お買い物ガイド」のようなページに、ギフト対応について詳しく記載していたといても、お客様がそのページにたどり着き、閲覧をして理解してくれるかはわかりません。

そして、お客様によっては割引商品以外には全く興味のない方もいらっしゃれば、いかなる理由でも送料を負担したくない方、他のお客様が購入している人気商品から選びたいと考える方もいるのではないでしょうか。

「特徴1」でもご紹介したフロアマップにも、6階に「催事」スペースがあり何かしらの催しが開かれていることが記載されているように、グローバルナビゲーションに、

「ギフト」「セール」「ランキング」「送料無料」

などのコンテンツを用意しておき、様々なお客様のニーズに応えられるよう工夫してみてください。

成功する特徴4:手数料の負担が少ない/失敗する特徴4:手数料の負担が多い

百貨店の場合、その場で商品を受け取り持ち帰るお客様がほとんどなため、お中元やお歳暮などのギフト配送や自宅への配送の費用をお客様が負担するのは一般的です。

ネット通販の場合、お客様が送料を負担することは、そのお店でしか購入できない場合を除き、避けられる傾向が強いでしょう。その対策として、多くのECサイトでは、一定の購入額以上のご注文に限り送料をECサイト側が負担する「◯◯◯円以上で送料無料」など、キャンペーンを常設されているケースが多いのではないでしょうか。

また、ECサイトが配送業者に支払う送料がいくらになるのかは、お客様にとって知りたい情報ではないため、「送料無料」ではなく「送料込み」の価格設定を考える必要があります。

特に「お試し」や「初回限定」の商品に送料を負担しなければならないという価格設定は、お客様に敬遠される傾向も強いと言えますので、次の「特徴5」でも述べる商品売価の設定をあわせて、お客様の手数料の負担が少なくなるよう工夫してみてください。

成功する特徴5:お財布事情を把握している/失敗する特徴5:お財布事情を把握していない

成功する特徴5:お財布事情を把握している/失敗する特徴5:お財布事情を把握していない

予算から選ぶ傾向の強いギフト商品は、松竹梅を考えると良いでしょう。例えば、3,000円、4,500円、9,000円など、2:3:6の割合で、1万円以内や5,000円未満で購入でき、送料という手数料の負担を感じさせない見せ方が、売上につながりやすくなります。

また、商品原価から販売価格を決めてしまう場合、価格が2,972円など切りの悪い数字が並んでしまうのも、お客様の購買意欲を削ぐ要因ともなります。ですから2,980円など切りの良い数字に変更して、販売可価格を提示するなどの工夫も重要です。

お客様も「人」だけではないケースが存在します。いわゆる「法人」と呼ばれる「企業」や個人事業主と呼ばれるビジネスオーナーがそれに該当します。そのようなお客様には「経費」「予算」という考えが存在します。そして「請求書」や「領収書」といった書類が商品の購入の条件となる場合があります。

数年前から個人情報の漏洩防止やペーパレス化に伴い、納品書や領収書を同梱されないECサイトも増えていますが、Amazonのように領収書をオンラインで発行できる仕組みを提供したり、お客様自身がサイト上からPDFで領収書を発行できるなどサイトも増えてきています。

また、領収書を発行しないECサイトでは「クレジットカードの利用明細を領収書代わりにご利用ください」と案内しているケースもありますが、法人名義のクレジットカードで購入されていない限り、その法人での経費としてみなしてもらうのは難しいでしょう。

そのような場合の対策としては「納品書 兼 領収書」を発行し、商品と同梱してお届けするECサイトも存在します。大量注文により注文単価も高くなる場合もありますので、ぜひこのような工夫も検討してみてください。

Amazonでは、2018年から「アスクル」に対抗した「Amazonビジネス」にて、事業者向けの割引販売価格、請求書払などの支払方法、注文数量に応じた価格や値引き交渉が可能な販売方法を出品者に提供しています。事業者の「予算」に応じて、経費として精算できる仕組みを強化している現れになります。

https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=5695748051

自社ECサイトのようなモール指定の決済方法を提供できる場合、まとまった注文を受けるニーズがある商品を取り扱っていれば、「見積り」や「FAX注文」など多様な販売方法を用意しておくことも大切です。結果的に売上アップにつながりますので、柔軟に検討してみてください。


著者

清水 将平

JECCICA 一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会 特別講師
楽天株式会社でのECコンサルタントの経験を経て、上場企業からショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗も含む楽天ショップ1,000社以上が所属する日本最大級の会員サポートサービス「ECマスターズクラブ」を運営。47都道府県すべての会員に対して、24時間以内に回答するフォーラム、毎日のサポートレターでは、最新情報からノウハウ、そして、業務効率化や集客対策ツール、ライブ形式でのセミナーなどを様々なサービスを提供中。

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