【第3回】物流会社の役割と活用メリット
「物流」は多くの人が想像する「運送」の他に、商品の「保管」、注文に応じて倉庫内の棚から商品をピッキング(取り出す)することや、商品を配送するために梱包する「荷役」など、複数の業務で構成されています。また、システムによる「情報管理」への対応も求められています。注文情報や在庫状況を荷主と共有して業務を効率化することや、荷物の種類や配送先に応じた運送方法の提案なども求められています。それらの業務を包括して行っているのが物流会社です。
全5回でお伝えするコラムの第3回は、メーカーや小売業者の商品の流れ(物流)を総合的にサポートしている『物流会社』についてお話します。
物流会社の役割
物流会社と運送会社は、物流における「役割」が異なります。
運送会社は「運送」を主業とした会社です。これに対して物流会社は、在庫商品の保管やピッキング、ラベル貼りや商品のセット組みから配送手配など、物流全般に広く対応し、モノの流れを全般的にサポートしています。
物流会社を活用するメリット
ECの拡大に伴い、物流会社の需要は年々高まっています。小売業や卸売業を営む経営者にとって物流会社を活用するメリットは、注文があった商品のピッキングや梱包・加工に必要な人件費を抑制することなどが可能になることです。物流会社を活用することで、施設や人などの自社のリソースを本業に集中することができるようになります(商物分離)。
①スピーディな出荷への対応
ECにおける顧客満足を高めるためには、商品を注文してから手元に届くまでのスピードは欠かせません。優れたノウハウを持つ物流会社であれば、スピーディな出荷はもちろん、大量の注文にも対応できるキャパシティの高さもメリットになります。
②繁閑に合わせた「人・設備・スペース」の変動費化
自社で商品管理を行うと、どうしても多くのコストがかかります。例えば、商品のピッキングや梱包に必要なスタッフを雇用すると多くの人件費が発生します。また、事業規模の拡大により自前で倉庫を用意するとなれば、多額の設備投資やスペースが必要になります。そこで、物流そのものをアウトソーシングすることで、人件費や設備投資、スペースなどを繁閑に合わせて変動費化し、コストの最適化やフレキシブルな在庫管理を実現することが可能です。
物流会社を見分けるポイント
物流会社を効率的に活用するには、自社の事業形態に適した「会社選び」が大切です。サプライチェーンが発達した日本には、様々なスタイルの物流会社が存在します。会社ごとに提供しているサービスが違うので、比較検討することも重要です。
① 物流センターの立地
物流センターの立地は、物流会社を選ぶうえで大切なポイントです。商品の入荷や配送先までの円滑な輸送のためには、空港や港、高速道路などへのアクセスの良い場所に立地していることは重要な要素になります。また、物流センターを全国展開している会社は、様々なニーズに対して、より柔軟に対応することが可能です。
② 商品に適した設備
物流会社の保有する設備が、自社の商品に適しているかも検討すべきです。例えば、医療関係の商材を扱う場合は、温度・湿度の管理が欠かせません。物流会社の中には、商品ごとに適した温度管理(定温・冷蔵・冷凍など)を提供している会社もあります。また、ピッキングや梱包などの品質も大切です。実際に目にしないと分からない部分も多いので、倉庫に実際に足を運び、作業クオリティや保管方法をチェックすることをおすすめします。
③ サービスの内容や充実度
物流会社のサービスは会社ごとに大きく異なります。例えば、EC事業者向けの従量課金制サービスや、リピート通販に特化したサービス、越境ECなどを展開している会社もあります。自社の事業形態や商品に合った物流サービスを提供している物流会社を選択しましょう。
これらの物流ソリューションの選択により、自社の扱う商品やサービスの価値をより高めることも可能です。これからの時代、物流はプロに任せるという判断がより重要になってくるのではないでしょうか。