知らないとヤバい薬機法を徹底解説④ 薬機法を守りながら売上・利益を上げるネットマーケティング手法

加藤公一レオ

こんにちは。『売れるネット広告社』代表取締役社長 CEO 加藤公一レオです。

化粧品や健康食品のマーケティングに携わっていると避けて通れないのが薬機法だが2021年8月、改正薬機法が施行され、新たに課徴金制度が加わることになっている。

そこで、改正薬機法施行前のこのタイミングで、「知らなかった」では済まされない薬機法について、改めて基礎から徹底的に解説してきた。

薬機法による広告表現への規制は非常に厳しく、多くの単品通販・D2C会社が薬機法の順守と売上・利益の確保の両立に苦心しているのが現実だ。

そこで最終回となる今回は、薬機法を守りつつ、売上と利益も上げられるネットマーケティング手法についてお話する。

「記事型広告」は薬機法違反の温床

ネット広告の中でも特に薬機法違反の温床になっているのが、ズバリ「記事型広告」である!

「記事型広告」というのは、一見個人ブログやトレンドメディア風に作られた広告サイトのことで、あたかも第三者による“体験談風”に特定の商品がおすすめされているのが特徴だ。

インフィード広告等をクリックすると「記事型広告」に遷移し、そこにある「購入する」「試してみる」などのボタンをクリックすると広告主(単品通販・D2C会社)のサイト(ランディングページ)に飛ぶという構造になっている。

「記事型広告」の問題点は、アフィリエイト報酬目的の第三者による出稿が多く、広告主(単品通販・D2C会社など)や媒体社すらもどこにどんな広告が掲載されているか、把握しきれていないことにある。

また、“個人の体験談風”にしているのをいいことに、「1週間で5キロやせる!」「2週間でシミが消えた!」など、明らかに薬機法に違反するような広告表現のオンパレードになっている!!

「記事型広告」モデルは崩壊寸前

「記事型広告」モデルは崩壊寸前

ただし、ここ数年大流行した「記事型広告」によるビジネスモデルはもはや崩壊寸前まできている。2020年7月の「ステラ漢方事件」で逮捕者が出たように、当局が不正なネット広告に対する取り締まりや処罰を強化していることに加え、プラットフォームによる自主規制の動きも目立っているからだ。

Yahoo!は、広告主(単品通販・D2C会社など)の掲載URLと同一ドメイン配下にない「記事型広告」の出稿を“禁止”しており、すでにアフィリエイト報酬目的の第三者が出稿することはできなくなっている。また、Googleも2022年までに段階的にサードパーティcookieを“廃止”することを公表しており、それ以降は第三者によるリターゲティング広告ができなくなる。

さらに、ネイティブアドネットワークの「popIn Discovery」も、2021年5月25日に広告配信基準を引上げ、本格的に不適切な広告の排除に乗り出した。

当局による監視・摘発の強化とプラットフォームによる自主規制により、もはや「記事型広告」は“オワコン”と化しているのである!!

昨今の情勢を踏まえると、第三者の出稿を前提とした「記事型広告」モデルは法的・社会的リスクがあまりにも高いし、プラットフォームの動向次第で、ある日突然売上がゼロになってしまうリスクもある。単品通販・D2C会社は、今すぐ「記事型広告」モデルからの脱却を図る必要があるのだ!!

広告から直接ランディングページに誘導せよ

ではどうすればいいかと言うと、化粧品や健康食品を扱う単品通販・D2C会社は、 “原点回帰”して、第三者による「記事型広告」を挟まない自社ランディングページでの販売に集中すべきである!!

具体的には、第三者ドメインのコンテンツを排除し、広告原稿から直接自社のランティングページに遷移させるのである。

広告から直接自社ランディングページに遷移させるシンプルなフローなら、広告主によるコントロールがきくため、広告主が知らないうちに第三者が違法な広告を掲載するリスクはない。

『売れるネット広告社』では、第三者による「記事型広告」は一切扱っていないが、それでもクライアントの広告の費用対効果改善に成功している。「記事型広告」なんか使わなくても、自社ランディングページだけで十分売上と利益を上げることは可能なのである!

ワンステップマーケティングは薬機法で刺されやすい

「記事型広告」と並んで薬機法上問題になりやすいのが、ワンステップマーケティングである。

「ワンステップマーケティング」とは、新規のお客様に対していきなり本商品の定期コース(サブスク)を売るビジネスモデルのことだ。近年「記事型広告」とともに大流行したが、ワンステップマーケティングもやはりさまざまな規制や外部要因により“オワコン”と化しつつある。

なぜかと言うと、ワンステップマーケティングでいきなり値段の高い本商品の定期コース(サブスク)を売るためには、商品の良さを過剰に“盛って”伝える必要があるからだ。商品の効能効果を具体的かつ強い言葉でアピールしようとした結果、薬機法に違反する例が散見されるのである!

ツーステップマーケティングは本質的なビジネスモデル

ワンステップマーケティングとは対照的に、「ツーステップマーケティング」は無料モニターや100円モニターを入口として、まずは“見込客”を集めることに集中し、その後本商品の定期コース(サブスク)に引上げるという2段階のビジネスモデルである。

一見まどろっこしく感じるが、ズバリ、ツーステップマーケティングのほうがビジネスモデルとしてはるかに本質的だ!

その理由は恋愛に例えてみるとわかりやすい。ワンステップマーケティングは合コンで知り合った初対面の女性にその日のうちにプロポーズするようなものである。

一方、ツーステップマーケティングは合コンで知り合った女性をまずはデートに誘い、一度付き合ってから結婚を申込むようなものである。

どちらが成功率が高いかは、言うまでもないだろう。

いきなり結婚を申込むよりまずはデートに誘ったほうが「デートぐらいなら行ってみようかな」と思ってもらえる可能性が高いのと同じで、無料モニターや100円モニターを入口とするツーステップマーケティングの場合、お客様に経済的リスクがほとんどないため、ワンステップマーケティングに比べ商品申込みのハードルが圧倒的に低い。

したがって、商品の良さを過剰に“盛って”伝える必要がないため、薬機法に触れるような強い表現を使わなくても訴求が可能なのである!

ツーステップマーケティングは広告の費用対効果も高い

ツーステップマーケティングのメリットは、薬機法の範囲で商品の訴求がしやすいというだけではない。

『売れるネット広告社』が繰り返してきた【A/Bテスト】の結果、実はワンステップマーケティングよりもツーステップマーケティングのほうが、広告の費用対効果が高くなることが明らかになっているのだ!

その理由は、無料モニターや100円モニターは圧倒的に申込みのハードルが低いため、はるかに多くの“見込客”が集まるからである。“見込客”の母数が桁違いに多ければ、本商品の定期コース(サブスク)に引上がるお客様も多くなり、結果としてCPAで見てもCPOで見ても、ツーステップマーケティングのほうがワンステップマーケティングよりも良い数字になる。

『売れるネット広告社』のクライアント実績では、ワンステップマーケティングからツーステップマーケティングにすることにより、CPOが最大【5.6倍】改善している!!

これからの単品通販・D2C業界では、薬機法の範囲内での商品訴求がしやすく、広告の費用対効果も上がるツーステップマーケティングが復権するだろう。

実際に、一時期ワンステップマーケティングに走った単品通販・D2C会社も、最近はどんどんツーステップマーケティングに“原点回帰”している。結局、初対面の女性にその場でプロポーズをするような無謀なビジネスモデルは長続きしないということだ!!

一時は第三者ドメインの「記事型広告」からのワンステップマーケティングで莫大な売上と利益を上げた単品通販・D2C会社も存在したが、そんな時代はもう終わった。

今後単品通販・D2Cで売上と利益を上げて大成功するためには、自社ランディングページでの販売とツーステップマーケティングの攻略が不可欠になってくる。そして、これら2つを攻略すれば、第三者ドメインを使った広告に対する規制が厳しくなっても、薬機法の運用がさらに厳しくなっても、ほとんど影響なしに売上と利益を上げることができる!

あなたの会社でも、広告から直接自社ランディングページに誘導するシンプルなフローと、より本質的なビジネスモデルであるツーステップマーケティングを実践して、薬機法を守りながら売上と利益を最大化してほしい。


著者

加藤公一レオ

1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。
西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事株式会社に入社。その後、Havas Worldwide Tokyo、株式会社ADKホールディングスにて、一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事し、担当した全てのクライアントのネット広告を大成功させる。
その実践経験とノウハウをもとに、ネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、クライアント企業から『レスポンスの魔術師』との異名をとる。
「やずやベストパートナー賞」受賞。「Webクリエーション・アウォード Web人貢献賞」受賞。「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー ジャパン九州地区」受賞。
広告・マーケティング業界のオリンピック「アドテック」で3年連続人気スピーカー1位。
「全日本DM大賞最終審査員」や「米国 International ECHO Awards審査員」、「九州インターネット広告協会の初代会長」も務めた。著書に『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)、『100%確実に売上がアップする最強の仕組み』(ダイヤモンド社)、『伝説のEC猫レオレオ 売れるネットショップ繁盛記』(impress Digital Books)。
単品通販(D2C)のネット広告の費用対効果を最大化するクラウドサービス『売れるネット広告つくーる』を監修。

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