データドリブンがEC業界にもたらした事 数値化される時代の働き方
こんにちは、『売れるネット広告社』メディア部の佐野と申します。『売れるネット広告社』が監修したLP(ランディングページ)を出稿するための、広告媒体社さんとの窓口が主なお仕事です。
突然ですが、あなたは『数学』は好きですか?
私は『大嫌い』でした。まるで自慢になりませんが、テストでは『赤点』の常連でした。
でも、『数字』を読むこと自体はとても好きです。
例えば、嗜みの1つである競馬。馬券を買うために見るのが、出走馬の勝率が高いほど低くなる『オッズ』。この倍率も、過去のデータや血統、直前の調教状況などから導き出された、まぎれもない『数字』です。
競馬という結果が不確かなスポーツを予想するのですが、そういう時の『数字』は不思議と大好きなのです。
私たちの周りはあらゆる『数字』であふれています。これからお話する『データドリブン』とは『数字』を組み立てて『データ化』し、次の行動の指標とすること。
コラムを読み進めていただければ、『数字』と向き合うことの楽しさを発見するかもしれません。
インターネット普及がデータドリブンを一般化させた
例えば、あなたは店舗経営者だったとします。経営を安定させるため、どんなことを考えるでしょう。
お店として十分な利益額
売上がいくら必要なのか
何人の人に来店してもらうか
このように、集客する上でお店の利益構造を細分化する必要があります。
そして、それぞれ追わなくてはならない数値を『指標』としてベンチマークしなければなりません。これらをまとめたものが『財務諸表』です。
ところが、インターネット普及に伴いデータドリブンが一般的になったことで、この作業は企業経営者だけの仕事ではなくなりました。人は実際に多額のお金を出資して店舗を持たなくても、ごく気軽に個人でお店を持つことができるようになったからです。そのお店こそ、Electric Commerce(電子商取引)、すなわちECなのです。
まずECにおいては、サイトへの訪問数も売上もすべてデータ化されます。経営者でなくても売上管理や集客の数値管理が可能なのです。
インターネット上で集積されたデータを基に、サイト解析や改善の提案を行うのがWebマーケティングであり、その根本になるのがデータドリブンです。
一般的なWebマーケティングの観点では、
何名来客したか=Page View(PV)
よく来るお客様=Unique User(UU)
お買い上げ数=Conversion(CV)
来客数からのお買い上げ率=Conversion Rate(CVR)
上客のお買い上げ額=Lifetime Value(LTV)
売上=PV×CVR×平均単価
上記のように割り出すことが可能です。
ごまかしがきかないのがデータドリブンの良さであり厄介なところ
一方、データドリブンは便利な反面、現場管理者の数値意識を非常にシビアなものにしています。
ECを作ったとしても、それだけでは売上は立ちません。サイト自体をユーザーに見られやすくしなければならないのです。
そのための手段として挙がるのが、SEO対策(検索エンジン最適化)かネット広告か。
ここではネット広告について触れていきます。
広告主はあらかじめ広告予算を組んで、ネット広告代理店に広告を依頼します。
ネット広告もリスティング広告(検索連動型)、純広告/運用広告/インフィード広告(特定の媒体内の広告枠)、アフィリエイト広告(成果報酬型広告)など多岐に渡ります。
広告代理店は広告メニューの中から最適な方法を取捨択一し、様々な施策を打ちます。
本当にシビアなのはここからです。
先に述べたように、ネット上での数値が明確化されるということは、代理店が打った施策が成功したか失敗したか、それがはっきり分かってしまうのです。
仮にどれだけPV数を稼いでも、CVが立たなかったら意味がありません。これはUU数も同様で、同業他社にサイトを見られている可能性もあります。その場合、クリック費用が損になるという構造です。
(すべてとは言い切れませんが)広告主・経営者が最も欲しいのは売上。その売上が立ったか立っていないか、広告費用対効果=ROASが良かったかどうかが広告主には全て丸見えなのです。
提案する側のハードルが非常に高くなったと言えますね。
数字に対するシビアさを逆手に取れ!
けれど、私は逆に大きなチャンスを感じています。すべてが可視化されるということは、過去の傾向を見てあらかじめ対策を練ることができます。大学受験に必携の『赤本』を手に入れるようなものです。
データドリブンによって『シビア化』された現状を、逆手に取る感覚に近いのではないでしょうか。
まず広告主側にとって、広告を打つのは一つの『投資』です。だから、なるべくなら失敗しない方法を選択したいのが本音。
なるべく冒険したくない
広告費用対効果を良くしたい
できるなら、上手くいくと分かっている施策を打ちたい
そこで我々、『売れるネット広告社』が行っているのが、ネット広告における『赤本』を作ること。
広告の世界においても、『傾向と対策』は非常に重要です。その『傾向と対策』を丸わかりな『赤本』となる、データの創出のために行っているのが【A/Bテスト】です。
『売れるネット広告社』は実に“2,600回以上”もの【A/Bテスト】を実施しています。
【A/Bテスト】の定義は企業によって分かれますが、我々はシンプルに“同じ条件で複数のクリエイティブを露出し、それに対する反応から最も効果の高いクリエイティブを測定するテスト”と定義し、広告バナー、LP(ランディングページ)のファーストビュー、さらにはオファー・訴求方法に至るまで、幅広く【A/Bテスト】しています。
ネット広告のクリック率を上げたい!
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① 広告原稿のキャッチコピーは?
A:オシャレなキャッチコピー
B:特定のターゲットを狙ったキャッチコピー
結果:Bの勝利!!
② 広告原稿の写真は?
A:シンプルに商品の写真
B:綺麗なモデルやタレントの写真
結果:Aの勝利!!
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例2)
シンプルの商品の成約率(CVR)を上げたい!
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① 広告の遷移先は?
A:本サイト(ECサイト)
B:広告専用ランディングページ(LP)
結果:Bの勝利!!
② ランディングページ(LP)のオファー名称は?
A:サンプル
B:トライアル
C:お試し
D:モニター
結果:Dの勝利!!
D>C>B>Aの順
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など、実際に【A/Bテスト】することで、答えを導き出してきました。母数も10社以上、その中から8割以上で成果の上がった方法を『勝ちパターン』として蓄積しています。
ネット広告の、『過去の傾向と対策』が分かればどうなるか。
実際に上手くいくかどうか分からない施策と、実際にテストをして上手くいった方法。
広告主であれば当然、広告主は後者を選びたくなります。広告施策を『ギャンブル』にしない、そのためすでに上手くいった施策を取ることによって失敗を未然に防ぐことができるからです。
【A/Bテスト】は、そのプロセスの中で『事実』というマーケティングにおける重要なファクター作りの意味を成します。
数値に対するシビアさは言い換えれば、事実ベースのデータ集積をしやすくなったと言えます。
まとめ
述べてきたように、サイトやアプリは、ユーザー動向が全て数値化されデータとして集約されます。
大事なのは、広告主が数値に対してシビアな目線を持つようになったからこそ、改めて数値に基づいた『事実ベース』での提案をできるようにすること。
マーケティングに必要なのは仮説ではありません、実例であり事実です。それを可能にするために、常に実地的なテストを定量で行い、データを蓄積すること。
数字にシビアな現代は、言い換えれば成果を『見える化』できる時代。数字・事実ベースでの仕事こそ、これからの広告マン、マーケターのみならず営業やコンサルタント、経営者にも求められる必須の働き方であると私は考えています。