LINEとメルマガ、ユーザーはどっちを好む?響くコンテンツはストーリー?商品?【「EC事業者のLINE活用、エンドユーザー(生活者)はどう捉えるのか」vol.2】

岡田 風早

我々はLINE公式アカウントのパートナーをやっているので事業会社からLINEとメルマガの比較について聞かれる機会がよくあります。いつもは立場があるんですが、前回同様に今日も仕事のことを忘れて、よく買い物をする1ユーザー視点だと実際にどう思っているのかを書こうと思います。

メールとLINEのいわゆる情報収集的な使い分けに関しては、年代だったりリテラシーに大きく左右されると思うので、これといった特定のパターンはないんじゃないかなという気もしてます。

今回は自分だけの視点だと全く参考にならない可能性もあるので、なるべく年が離れているチームのメンバーへもヒアリングしてみました。ジェネレーションギャップなのか、単純な性格の違いなのか、自分とは全然違う結果になり驚きました。

●過去のコラムはこちら!第1回

一般的なユーザー像

自分の行動だとLINEの中でも通知をONにしてるアカウントとOFFにしてるアカウントがあり、特定のかなり好きなブランドはONにしてなるべくリアルタイムで通知に気付けるようにしてます。5ブランドくらいでしょうか。OFFにしてあるアカウントとメールは休憩時間や仕事後にまとめて見る形です。通知のバッジはその日のうちに消したい派です。

最近ではメールアプリがAIで重要なメールとそうでないメールを判定してくれて、重要なメールだけバナー表示してくれる設定ができます。個人の感覚ですがメルマガは重要と判定されたことがないので、ECも含めたブランドのメルマガは仕事のあとなど空いた時間でまとめてチェックしています。

参考までにと思い、20代のチームメンバーのスマホの通知状況を見せてもらったところ、LINEの未読通知バッジが2,000以上、Gmailに至っては30,000以上となってて苦笑いで会話を終えました。本人曰く必要なものはチェックしてるそうで、嘘ではなさそうです。

もう一人の20代のメンバーの未読通知状況も見せてもらいましたが、LINEが約28,000、Gmailが約79,000と規格外でした。我々は仕事上、沢山のLINE公式アカウントを友だち追加するし...と思いながらチームメンバーやグループ会社を含め10人ほどスマホを見せてもらったところ、LINEとGmailが未読ゼロの人は自分以外一人も居ませんでした。

かろうじてLINEだけゼロが1名、Gmailだけゼロも1名居たものの、LINEは未読数百、Gmailは未読数千が大半という結果で、みな一様に「必要なものだけ見てる」と言ってました。

「必要なもの」とは何なのか聞いてみたところ、飛行機に乗る直前のANAやJALのメールだったり、洋服が売れた時のメルカリのメールだったり、いわゆるメルマガ的なものは入ってませんでした。あとは特に好きなブランドだけはチェックして、それ以外は削除もアーカイブもせずという感じです。

LINEとメールのどちらが見てもらいやすいか

未読をゼロにする自分の行動は全く参考にならないような気がしたものの、みんなの行動の後にLINEなら一括で既読にする、Gmailなら削除かアーカイブをするが加わっただけで、どれをチェックするかの基準にはあまり差がないように感じました。

つまり好きなブランド以外のLINEとメルマガはほぼ読まれないということです。

情報を知る手段としてはInstagramやX、TikTokもあるので、一回だけ買ったことがあるブランドやまだ一度も買ったことがないブランドなど繋がりが緩い場合は、SNSの方が次の一歩へ繋がる可能性が高いように思いました。

考えられる仮説

ここからは本題に戻って、視点を変えてもう少し踏み込んで考えてみたいと思います。

例えばメルマガの開封率が高い企業というのはコアなファンに支えられている反面、実は新しい顧客をそこまで増やせていない可能性が高いと考えられたり、メルマガに比べてLINEの開封率が高いのは、そもそもLINEを友だち追加する熱量があるユーザーなので、会員登録に必須なメールと比べ、属性的にブランドの親和性が高いユーザーが集まってるとも言えます。

もちろんより良い結果を出すためにメルマガの件名を工夫したりLINEのメッセージ上のクリエイティブにこだわったりという努力が効果なしとは思いません。ただそれは元となる企業や商品の馬力に対するプラスアルファの部分なので、やはり重要なのはどれだけファンになってもらえるかだと思います。

ファンとは?

近年ファンを増やすための手法が語られる場や記事が増えたように感じますがどれも手法についてが多いような気がしています。商品を知ってもらうという点では多種多様のアプローチはするべきだと思いますが、ファンになるきっかけが手法というのは違和感を感じてます。

自分の例を挙げると、メディアなどで気になった商品(ブランド)があればその商品を扱うサイトを徹底的に見て、デザイン・品質・価格を天秤にかけて良さそうであればまず買ってみます。私はカメラが好きなのでPeak Designの物を沢山持ってます。少し高いですが、デザインと品質が良いのでとても気に入ってます。最初に見たのはKickstarterでスマホケースだったと思います。

実際に比較的安価なスマホケースを手にして見てデザインと品質が良かったので次にバッグパックを買ってみました。想像以上に作りが良かったので、このあたりから自分で積極的にPeak Designの情報を取りに行くようになりました。メルマガも毎回目を通すようになり、Instagramもフォローしました。

その後も三脚を買ったりバッグを買い増したり、スマホを買い替えるタイミングでケースを買ったりと、デザイン・品質・価格がいずれも自分の中で良いと思えたのでファンになったと思います。

逆の例で、一回買ってみてデザイン・品質・価格のいずれかのバランスが悪いと感じてしまえば二回目の購入はほぼありません。一回では判断に悩んで二回目を買ってみることもありますが、大抵やっぱり違ったとそこで終わります。

他人の口コミは一回目に買う時の後押しになる気はするんですが、二回目の購入の後押しにはならないなと思うのと、エモーショナルなストーリーはSNS受けはいいかもしれないので初回の接点を持つという意味では有りだと思うんですが、ストーリーで商品を買うというのはまずないなという感想です。

自分の場合はとにかく商品が見たい、知りたいので、メルマガやLINEの内容的にも商品が9割くらいでいいのではないかと思ってます。

まとめ

結論は両方やる、即時性はLINEが強いがファンであればメールも見てもらえるということです。ただ若者ほどメールへの意識が下がってるのは事実なので、チャネルは複数あるに越したことはないですね。商品のクオリティこそがファンを増やし、全ての数字を押し上げると言ってしまうとそんなことはわかってると返されてしまうかもしれません。

大きな会社であれば部署が分かれていて、部署それぞれが担っている役割が違いますよね。部署は違えど自分が良いと思ってない商品をどんなに綺麗な文章やクリエイティブにしても、ユーザーにはなかなか響かないでしょう。

メールもLINEもユーザーとの大事な接点です。ネットやセミナーで学んだテクニックや社内のしがらみは一度忘れて、新卒の頃のフレッシュな気持ちで商品への思いを込めて文面やクリエイティブを作ってみてはいかがでしょうか。


著者

岡田 風早 (Kazahaya Okada)

ソーシャルPLUSのカスタマーサクセスとして2015年にフィードフォースに入社し、プロダクトマネージャーを経て執行役員に。2021年9月にソーシャルPLUSが分社化して現在の役職に至る。
LINEヤフー社のTechnology PartnerとしてLINEログインやミニアプリなどのAPI活用、Sales PartnerとしてLINEのCRM活用、またShopify Partnerとしてエンタープライズ向けのShopify × LINEやShopify Flow・メタフィールドの活用、データ設計を得意とする。

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