ユーザー視点で考えるLINEで届くとうれしいメッセージコンテンツ【「EC事業者のLINE活用、エンドユーザー(生活者)はどう捉えるのか」vol.4】

岡田 風早

我々はLINE公式アカウントのパートナーをやっているので事業会社からLINEと別のプラットフォームの比較について聞かれる機会がよくあります。いつもは立場があるんですが、前回同様に今日も仕事のことを忘れて、よく買い物をする1ユーザー視点だと実際にどう思っているのかを書こうと思います。

今回はユーザー視点で実際に受け取ってみて、実際にサイトへ遷移する確率が高いメッセージの種類についてまとめてみました。

●過去のコラムはこちら!第1回/第2回/第3回

セールの告知は「特別感」を演出

事業者としてはできる限りセールの回数は減らしたいと思うのは当然だと思いますが、ユーザーからするとセールの案内はサイトを見に行こうという気持ちにさせられます。

最近ではセールの告知にも複数パターンがあり、下記のような告知を目にします。

季節ごとのセール
タイムセール
あなただけのタイムセール
シークレットセール

事業の打ち手としてセールを全面的に肯定したいわけではないですが、ユーザーがサイトを再訪するきっかけとしては一番わかりやすいものだと思います。

中でも「あなただけの」というような特別感やある程度自分の嗜好が反映されているであろうメッセージだと、欲しかった・気になってた商品が安くなってるかも、とメッセージを開封してサイトへ遷移しようという気持ちになりやすいです。

最近では事前に一部のセール対象商品を公開したり、お気に入りへ追加を促して、セール開始時に自分が気になっていた商品をすぐに確認できるようにするなど、セール案内の前にひと工夫するパターンも増えてきたように感じます。

シークレットセールは、ECサイト上のLINE ID連携ユーザーのみアクセスを許可するパターンや、他にも、Instagramのストーリーで特定のキーワードを告知してアクセスを許可するパターンなど、他のチャネルとECサイトを連動させてユーザーに少し手間をかけてもらうことで特別感を演出する手法などがありました。

クーポンはサイト訪問やお気に入り連動で

クーポンの案内が届いて「このサイトで何か欲しいものあったっけ?」となった時、自分の感覚では大きく分けて、すぐに頭に浮かぶケースと浮かばないケースの2つがあります。

特に昨今は色々なサイトからクーポンの案内が届くので、すぐに欲しい商品が頭に浮かぶか浮かばないかは、そのままサイトへ遷移してくれるか、そうではないかの大きな違いを生みます。

例えばサイトにお気に入り登録の機能があれば「お気に入り商品に利用できるクーポン」と表現を少し変えるだけで、ユーザーはサイトへ見に行こうという気持ちが高まります。考えるまでもなく自分が欲しかったものが安くなってると判断できるからですね。

タイトルからはずれますが、ユーザーがサイトへ訪問してる時は気になる商品がある、もしくはブランド自体気になっている状態なので、サイトのポップアップはメッセージでクーポンを案内するよりも効果は高いでしょう。

ただセールと同様にクーポンも安売りの一種なので、ブランドの規模感やイメージも考慮してやるやらない・頻度など慎重に設計することをお勧めします。

個人の趣味・嗜好に合ったメッセージ

新商品や既存商品のレコメンドなどはユーザーがブランドをどれくらい好きなのかによって開封率にも影響してきます。当たり前ですが、好きなブランドの新商品に関するメッセージであればとりあえず見ようという気持ちになりますよね。

まだ好きまではいかないまでも少し興味があるくらいのブランドからのメッセージを見るきっかけは、メッセージのファーストビューで見える商品が自分の好みかどうかによると思います。ガジェットであれば見た目よりはスペックやユニークな特徴なんかも気になる要素です。

LINEだとカルーセルで複数の商品を見せるパターンと、リッチメッセージで一つの画像に複数の商品を掲載するパターンがあります。

好みかどうか、趣味・嗜好を判断する材料としてはアンケートが主流だと思いますが、購入履歴は決定的な要素であり、閲覧履歴は数をとれるのでユーザーの負荷なく趣味・嗜好を絞り込める貴重な判断材料になるでしょう。

こういった自社のデータと組み合わせたメッセージを送ることで、ユーザー自身がより興味が湧きやすい状況を作ることができます。ただしどういうデータを使って、どう出し分けするのかという部分に運用負荷があるのも事実なので、次の話につなげます。

ユーザーの属性だけではなく商品にも属性を

自分が某ファッションモールを使う一番の理由は絞り込める要素が多い点です。つまり、商品側がもつ属性情報が多ければ多いほど、属性でフィルタリングできるので、ユーザーは自分が欲しい商品に辿りつきやすくなります。

企業はユーザーの検索履歴からユーザーの趣味・嗜好を把握できますし、購入した商品や閲覧した商品に類似した商品も判別しやすくなります。検索は商品閲覧の一歩手前になるので、より多くの情報を期待できます。商品にもカラーやサイズ以外の属性情報を持たせることにより、ユーザーにも企業にもメリットを生み出せます。

ただし商品数が多ければ多いほど効果的な反面、商品数が少ないと効果は見込めません。また情報量が増えれば増えるほど運用負荷は高くなる傾向にありますが、特定の有効的な属性の組み合わせを見つけることができれば、運用負荷も一定に抑えられるでしょう。

発送通知や定期購入の事前お知らせ

これは地味にうれしい部類になりますが、購入した後の商品発送通知や定期購入の決済事前案内は、ユーザー体験向上としては効果的です。メールでも有難いですが、LINEで届くとタイムリーに気づきやすいので、特に期限まで日数が限られている定期購入の決済事前案内は便利です。定期購入している商品をスキップされる確率は高まりますが、自宅に充足している商品が送られてしまい、満足度が下がるよりは中長期的に商品・ブランドを気に入ってもらえるでしょう。

まとめ

コアなファンは割と自分から情報を拾いに来てくれる傾向があるので、いかにファン一歩手前のユーザーや、ブランドを知ったばかりのユーザーへ効果的なメッセージを送れるかが、企業としては悩みどころだと思いました。

接点が薄いユーザーほどユーザーの情報も薄くなることから、「アンケートなどを利用してユーザー情報を補完したい」となるのですが、この方法だとどうしてもユーザーに回答してもらう必要があります。

やはり、ユーザーに負荷なくサイト内の行動データを取得し活用できる・できないで大きな差が生まれるといえます。サイト内の行動データを正しく把握するための会員登録をいかに簡単にできるかも肝になってくるでしょう。

今回は企業目線の話が増えてしまいました。ここまで書いたことを自社だけで完結するにはそれなりの馬力が必要なので、まずは完璧な設計を目指さず小さくやってみて、自社の商材や商品数でかけた工数に割が合うのか現実的な判断をすることが初めの第一歩だと思います。


著者

岡田 風早 (Kazahaya Okada)

ソーシャルPLUSのカスタマーサクセスとして2015年にフィードフォースに入社し、プロダクトマネージャーを経て執行役員に。2021年9月にソーシャルPLUSが分社化して現在の役職に至る。
LINEヤフー社のTechnology PartnerとしてLINEログインやミニアプリなどのAPI活用、Sales PartnerとしてLINEのCRM活用、またShopify Partnerとしてエンタープライズ向けのShopify × LINEやShopify Flow・メタフィールドの活用、データ設計を得意とする。

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