「論理」で説得していませんか? 消費者がモノを買う“本当の理由”【書籍プレゼント付き】

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船木春仁

ECサイトの閲覧者が少ない、売上も伸びない、セールスレターを送っても反応は乏しい……。EC運営やマーケティングの現場では、こうした不可解な壁にぶつかることがある。「何がいけないのか……」と試行錯誤を繰り返して疲弊する前に、手に取ってほしい1冊がある。

『人は感情でモノを買う』は、タイトルの通り、論理やスペックではなく「感情」にフォーカスすることで売上を劇的に変える手法を説いた書籍だ。
なぜ、あなたの言葉はお客さまに届かないのか。その答えは「相手への理解度」にあるのかもしれない。

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人は感情がなければ動かない

『人は感情でモノを買う』の著者は、購買行動を見誤る原因は「相手(お客さま)のことがよくわからない」ということなのだと喝破する。

YouTubeに二千数百万回の再生数を誇る『The Power of Words(言葉の力)』というショートムービーがある。人が行き交うニューヨークかどこかの外国の街角で、一人の中年男が段ボールに「I'm Blind Please Help(私は目が見えません。どうぞお恵みを)」と書いて物乞いをしている。しかしお金を恵んでくれる人はわずかだ。

そこに一人のキャリアウーマン風の女性が現れ、段ボールのメッセージを書き換える。

「It's a Beautiful Day And I Can't See It(素晴らしい1日です。でも私はそれを見ることができません)」

するとどうしたことだろう。通行人たちは次々と男にお金を渡すようになった。

このショートムービーを著者は、「人は感情がなければ動かない」ことの象徴的な事例として紹介している。正しい事実や合理的な理由があってモノを購入するのではない。たとえば「子どもが大きくなってきたので車もワゴンタイプに換えた」と説明していても、本音は、そのワゴンが「なんとなく気に入ったから」選んでいることが多いのだ。

ITの普及と高度化はまさに革命だった。メールやソーシャルネットは、人の交流やコミュニケーションから壁という壁を取り払った。それだけ人は人を知ることができる豊かな環境を手にしたのに、一方で「炎上」に象徴されるコミュニケーションの崩壊は、他人事ではない課題として一人ひとりに突きつけられている。

ECもIT関連ビジネスも、こうした環境下で展開されている。この絶対的な事実を理解し、ITの力が真に有効的なものになるためにも「人と感情についての理解」が起点になる。それが著者の問題意識だ。

「究極の(相手)理解」とは?

人は感情がなければ動かないのであれば、人の感情を知り、理解しなければならない。それこそがECサイトの運営やお客さまとの関係を構築するための基礎となる。

著者は、人の感情を知る理解度を4段階に分けている。そもそも相手を理解しようとしていないし、理解する気がない「レベル0」は論外として、「レベル1」から始まる。

 レベル1=相手を理解しようとしているが、それが伝わっていない
 レベル2=相手を理解しようとして、それが伝わっている
 レベル3=理解しようとしていて、それが相手に伝わっており、実際に理解している
 レベル4=相手本人でさえ気づいていないことまで理解している奇跡のレベル

著者はレベル4を「究極の理解」と呼び、究極の理解に到達するために「完全に自分の考えを外し、相手を受け入れることが必要」と強調する。

ここに到達して初めてお客さまが抱えている本音を聞き出せるだけでなく、聞き出すための言葉づかい(言葉の力)も備わり、さらに聞いているこちら側への信頼も醸成されるようになるという。

レベル1だろうがレベル4だろうが変わらない真理は、「商品やサービスを選び、買うのはお客さまである」ということだ。つまり「売るという意識」がこれっぽちも透けて見えてはいけないのである。レベル4の段階に達してこそ売っているのに売ることを忘れるほどになる。

まるで修行僧のような修錬だが、著者が強調したいのは、IT社会では人として人(相手、お客さま)を知るための基礎的な構えがきちんと、かつがっちりとできていなくてはコミュニケーションは成立せず、モノは買ってもらえず、ビジネスは成功しないということなのだ。

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本書の核心は第2章~第4章に集約されている

本書はいわばレベル4、究極の理解に至るための説法の書である。

まず見込み客を見つけ、お客さまの本当の感情を引き出して見込み客から一挙に優良顧客に押し上げるための説明から始まる。キーワードは「ペルソナ」だ。

ビジネスをしたいあなたにとっての理想的で象徴的なお客さま像を思い浮かべ、その人に向けて商品を企画したり、販売のアプローチ策などを考えてみる。その際、1年後に自分自身が優良顧客(ペルソナ)になったつもりで、あなたへの感謝の手紙を書いてみる。たったこれだけでも、展開したい商品やサービスに、どんな出会いや悩み、そして変化をもたらす要因が必要なのかが浮かび上がってくる。

EC事業者の多くにとって、イメージ広告よりも「ダイレクトレスポンス広告」の方が有益だ。その主役的なツールがセールスレターである。ただセールスレターを届けるにしても前提があり、人はストーリーで語られることにしか感情を揺さぶられないし、そのための「ストーリーフォーミュラ」という定型的な要素を集める手法があると教える。

本書の核心は、「第2章 お客さまの感情にフォーカスするために必要なこと」「第3章 お客さまの『本当の感情』を引き出すトリガー」「第4章 人の感情を見抜くために必要なマーケティング」に集約されている。そこには、お客さまの究極の理解に向かって事前に準備して(鍛えて)おくべきこと、お客さまから引き出すべき感情要因、そしてセールスレターを中心にしたお客さまへの情報発信の具体例が紹介されている。

小見出しと“禅問答”して自分なりの答を見つける

どの話も興味深い事例が示されているが、評者が確信したのが「小見出しとの対論」こそが、この著作の力を読者に転移させる最高の方法だということだ。

1章につき7~10本ほどの小見出しが提示されている。本文を読めば、その意味や著者の意図は分かる。その上で小見出しに戻り、小見出しを疑問文として捉え、自分で答を探してみるのである。

たとえば第3章には「ビジネスだけでなく、あらゆる人間関係を支配する人間の根源的な要求とは何か?」という小見出しがある。また第4章には「お客さまはウソをつく。『論理はあと付け、感情が先』という購買心理」という小見出しがある。これらを著者の意見から離れて、自分はどのように考えるかを練ってみる。

小見出しを疑問文として読者への問いかけにできるのは、それだけ著者が言わんとする内容が豊かに練り上げられ、深い真実性を備えているからである。本づくりの世界では、本文の執筆に入る前に小見出しがしっかりと構成されていればいるほど優れた原稿があがってくると言われている。編集者は、著者の力量をそこで見ている。その意味では本書の編集者は、安心しきっていたのではないか。

そういえば、先ほど修行僧のようだと書いたが、修行僧にとっては師から発せられた質問に弟子が答える禅問答こそが修行の真髄だ。それと同じような雰囲気を醸し出している著作である。

本書の著者について
伊勢隆一郎さんは、1979年埼玉県川越市生まれ。大学時代に友人と起業したものの見事に失敗。ニート生活からHP制作会社のコピーライターとして活動を始め、インターネットを使ったマーケティングで短期間に売上を増やす手法を学び、自らの体験も踏まえ2013年にビジネススクール「K2アカデミー」を設立し、現在代表。オンライン講座を中心に企業支援を行っている。

【書誌情報】
人は感情でモノを買う
伊勢隆一郎 著
フォレスト出版
1870円(税込)

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著者

船木春仁 (Haruhito Funaki)

水産経済新聞社、東京タイムズ社編集局社会部、文化部デスク、社会部長、金融証券部長、編集局総合デスクなどを経て、1990年に編集工房PRESS Fを設立。フリーの経済・産業ジャーナリストとしてダイヤモンド社、新潮社、野村インベスターリレーションズ(『IRmagazine』)、東京海上日動火災保険(代理店向け広報誌『Club Nextage』)、NTT(広報誌『365°』)、川崎重工業(技術広報誌『Kawasaki News』)などの各種媒体で記事執筆や企画構成。著書に『時代がやっと追いついた 新常識をつくったビジネスの「異端者」たち』(新潮社)、『テクノロジー・ストリーミング 技術頭脳集団NTT-ATの挑戦』』(毎日新聞社)など。

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