コンバージョン向上 ー 検索アクションの最小化
山崎徳之のコラムはこちら
コラム#6:人工知能と要素分類
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6649/
コラム#7:オムニチャネルの目指すもの
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6784/
コラム#8:集客とコンバージョン
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6894/
コンバージョン向上に必要な要素
前回、ECの機能は「商品検索・決済・配送」の3つだと書きました。
言い換えれば「商品を選ぶ」「お金を払う」「商品を手に入れる」の3つです。
このうち決済と配送は、確実に実行されるのが当然ともいえます。
マーチャントが頑張るべきところは、ずばり「商品検索」です。
さてこの商品検索ですが、検索という文字がついていますがイコール検索機能ということではありません。レコメンドなども含めた、とにかく「消費者が商品を見つけるためのアクション全て」です。もちろんいわゆる検索機能がその中で重要な役割を果たしているのは間違いありませんが、検索が全てではないということです。
広告が飽和した以降はコンバージョンの向上に注力するとして、どう注力すればコンバージョンが向上するのかがポイントですが、結局のところこれはいかに少ないアクションで消費者が「これなら買おう」と思える商品を見つけられるかにかかっています。
この「アクションが少ない」というのが重要なのですが、意外とこれはなおざりにされています。「ECサイトの全商品を端から見ていけばお目当ての商品はいずれ見つかります」などという姿勢ではコンバージョンは向上しません。
ファセットカウントの効果
今回はこの「お目当ての商品を見つけるためのアクションを少なくする方法」について考えてみます。まずわかりやすいのがファセットカウントです。
ファセットカウントというのは、ドリルダウンいわゆる絞り込み操作をするときに、「ドリルダウンする前にドリルダウンしたら何件残るか件数を表示する」機能です。例えばレストラン検索で、イタリアンで検索しているときに
赤坂(10)
青山(15)
六本木(12)
などと表示される数字がそれです。
ちなみにファセットとはドリルダウンする項目で、このケースではエリアがファセットです。ファセットカウントがないと、ユーザーはドリルダウンするまで何件残るかわかりません。ファセットカウントが表示されていれば、ドリルダウン後残る件数が少ない選択は避ける可能性が高くなります。
ドリルダウンして1件だけ表示されて前に戻ってやり直すよりは、1件と表示されていればそのドリルダウンはしないほうが、お目当ての商品(この場合はお店)にたどり着くまでのアクションが減らせます。
ちなみに私はこうした、やり直すようなアクションのことを「がっかりアクション」と呼んでいます。アクション数を減らすためには、がっかりアクションを減らすのは大変重要です。
検索アクションを最小化する他の機能
もしかして機能も、がっかりアクションを減らすには有効です。商品名などを間違って覚えていた場合、素直に検索すれば「0件です」となるかもしれませんが、これは正直不親切です。
正しいキーワードからかけ離れた、かつ非常に稀な間違いであればやむをえませんが、正しいキーワードに似ている文字列とか、もしくは同じ間違いが多々あるようなケースでは、「もしかして◎△□ではありませんか」として、そちらの検索結果を表示してあげるのはコンバージョンを上げるには有効な手法です。
また近い機能としてサジェストもあります。
数文字入力すれば後の文字列を補完してくれる機能です。キーワードを正しく記憶していても入力の手間が省けますし、またキーワードがうろ覚えでも大丈夫というメリットもあります。
またさらに、サジェストの横にヒットする件数を表示してしまうことも出来ます。
例えばボクサーパンツかボクサーショーツかボクサーブリーフのどれで検索するのが良いかと考えているケースにおいて、ボクサーと入力したところで
ボクサーパンツ 100件以上
ボクサーショーツ 38件
ボクサーブリーフ 15件
と表示されたら、おそらくボクサーパンツで検索を確定させるでしょう。
これも、ファセットカウント同様がっかりアクションを減らす有効な手法です。ドリルダウンではなくキーワード補完というだけの違いです。
このように、コンバージョンを向上するために有効な、アクションを減らすアプローチというものはたくさんあります。
次回以降も実例をあげて考えてみたいと思います。