売れる商品を作る、魔法のフレームワーク

幸田 八州雄

私は売れる商品の作り方を知っています。

という、気恥ずかしくも自信満々な書き出しをさせていただきましたが、これは紛れもない事実です。みんな血眼になって売れる商品を作ろうとしています。それでも全ての商品が売れる商品になるとは限りません。
 
そのような中、ナゼ「売れる商品の作り方を知っています」などと口にできるかと言いますと…。タネ明かし(?)をすれば、今からここで述べさせていただくことは、ごくごく当たり前の常識的な内容だからです。

学業でいえば「勉強すればテストの成績は上がります(勉強しなければ上がりません)」というくらいの常識的な話です。ですので、裏ワザ的なスーパーフレームワークを期待なさった方には、ご期待に沿えぬ旨を事前にお詫び申し上げます(^^)。

以下、とても当たり前のベーシックな内容ですが、宜しければご一読ください。売れる商品を作るために、まず売れる商品がどんなプロセスを経て出来上がるのかということから考えて参りましょう。

筆者の考える、売れる商品が出来るプロセスは以下の通りです。

① いつも感じるちょっとした不満・不便・不安がある
② ①の「不」を解消する商品があったらいいのになぁと思う
③ ②の商品があったら絶対売れるのになぁと思う。
④ 売れる商品を作ろうと決める
⑤ 売れる商品の企画が完成
⑥ 売れる商品完成
  
いささか乱暴に述べますと、上記のようなプロセスを経るのではないでしょうか。消費者は常に自分の欲求を明確に認識しているわけではありませんし、「欲しいものが分からない」時代だという考え方も大いに理解できます。

ですが、ベーシックな考え方に立つと、やはり上のような、不便や不満や不安からスタートして、それを解消する商品を開発していくのが王道ではないかと思います。

大変有名なパナソニックの創業者、松下幸之助さんの「二股ソケット」などまさにこの典型です。電気をつけて本を読みたい、電気を消してアイロンをかけたい、と幼い兄妹がケンカをしている。これは電気製品を使っている時には、電灯をつけることができないという生活の中の不便です(前述のプロセスの①)。まてよ・・・電灯をつけたままアイロンも使えるソケットがあったらいいのに、
と考える(前述のプロセス②)

とこのように着眼して、実現化に向けて思考を深めることで『売れる商品』に到達するのだと思います。そして、今からこのコラムの核心部分を述べさせていただきますが、前述の①~⑥の売れる商品を作るプロセスを実践する上で、とても重要なフレームワークがあるのです。

そのフレームワークとは。『○○なのに●●』この一言だけです。美人なのに性格がいい。お金持ちなのに質素。優秀なのに謙虚。ボリューム満点なのに安い。仕事が楽なのに給料が高い。優しいのに頼りがいがある。ケーキなのに太らない。聞くだけなのに英語がしゃべれるようになる・・・。

世の中には様々な 『○○なのに●●』 が溢れています。この言葉は、売れる商品づくりの中で大変重要です。なぜか? 『○○なのに●●』の中には、消費者の「不」とそれに対する「潜在的な願望」が詰まっているからです。
 
昔、ある化粧品会社が大ヒットした液体ファンデーションを広告した際のキャッチコピーが『ファンデーションなのに美容液』
という旨のコピーでした。これはファンデは肌に悪いという消費者の中にある『不』を、『美容液』という肌が喜ぶものに転化させて大ヒットしました。肌に悪いもの(ファンデ)が、肌に良いもの(美容液)に変わったらいいのに…。という潜在的な願望に見事に突き刺さったコピーでした。

『○○なのに●●』にハマるものを思いついたときは、それはヒット商品のタネをい拾ったと思って大事に育てましょう。大きなヒット商品に育つ可能性がありますので♪


著者

幸田 八州雄 (Yasuo Kouda)

OEM化粧品のメーカーとして『物』を売るのではなく
『お客様の売れるをつくる』を方針に掲げ、商品プロデュース、
販売戦略、インフラの提案に至るまでお手伝いしております。

企業URL:http://www.tenshindo.ne.jp/