楽天、楽天物流の吸収合併を発表
楽天は4月19日、物流子会社の楽天物流(東京都品川区)を7月1日付で吸収合併すると発表した。同社は楽天物流に対して保有する債権を放棄し、債務超過の状態を解消。楽天物流は解散する。なお、楽天物流の人員、体制はそのまま楽天の物流事業として引き継ぎ、取引先、ユーザーの多様な物流サービスのニーズに応える体制構築を目指す。
楽天子会社の楽天物流、惜しくも大幅赤字
これまでアウトソーシングやアライアンスで対応してきた楽天の物流機能であったが、配送コストの削減や配送スピードを高めるため、2010年3月19日に楽天の100%子会社として楽天物流を設立した。
楽天物流は、「楽天ブックス」や「ケンコーコム」、「楽天24」といった楽天グループのEC物流を担っていた。また、楽天市場に出店する店舗に対し、商品の入出荷、保管、在庫管理、梱包、配送、カスタマーサービス、ギフト対応や返品対応を含む「VAS(バリューアデッドサービス)による総合フルフィルメント&ロジスティクス・サービス」として「楽天スーパーロジ」を提供している。
しかし、楽天物流は売上高64億1900万円(2013年12月期)に対して、営業損失は38億6800万円、最終損失65億9800万円と大幅な赤字を計上している。累計でも53億7500万円の債務超過に陥っていることから、物流会社としての営業が立ち行かない状態を考慮したとみられる。
組織再編で活路は見えるか
物流としての理想は、Amazonのように自社で物流システムを構築できることである。しかし、Amazonとは競合のヤフーや楽天ですら、いまだにその着地点にはたどり着けていない。今後は更なるノウハウの蓄積と、ユーザーのニーズに応えていく姿勢が求められるだろう。
今回の組織再編により、楽天スーパーロジを含む楽天物流の物流サービス関連資産を吸収することで、楽天市場などの各サービスと一体化した効率的な物流サービスの運営、提供が可能になるのではないかと考えられる。今後の動向に期待だ。