SHOPLISTが語る、売れるスマホECのノウハウ~ECのミカタセミナーフェア【後編】

ECのミカタ編集部

8月30日に開催された、ECのミカタセミナーフェア「Amazon&SHOPLISTが語る!売れるスマホECのノウハウセミナー」。スマホEC市場が急速に拡大する中、その市場で勝つためのサービスを提供している6社が登壇、スマホEC市場の現状と、その中でECサイトはどんな対策をする必要があるのかを語ってもらった。後編では、クルーズ株式会社、TEMONA株式会社、株式会社ロックウェーブの講演概要を紹介する。

日本最大級のファストファッション通販サイト「SHOPLIST」のスマホ世代に選ばれるスマホ戦略(クルーズ株式会社)

講師:クルーズ株式会社 取締役 張本貴雄

 「SHOPLIST」は、クルーズ株式会社が運営する、多様なファストファッションブランドがまとめて買える通販サイト。ブランドから商品を預かり、ユーザーに販売、責任を持って配送する、プラットフォームとしてサービスを提供している。ここ数年のファストファッションの定着と共に、SHOPLISTは開始4年目の2015年の売上高が約150億円、150%という成長率を見せている。

 SHOPLISTの大きな特徴が、スマホ特化のサイトという点で、約95%の利用がスマホ経由となっている。また、昨年5月にリリースしたアプリの利用も伸びている。アプリ利用者は、「このサイトでモノを買う」というユーザー動機が高いため、レスポンスが早く、客単価も高い傾向にあるという。

 SHOPLISTのスマホ戦略には、3つのポイントがある。1つ目は、選択肢を多く提供すること。ユーザー一人一人のニーズを捉え、特に、ロイヤルカスタマーの満足度をいかに高められるかが重要だ。2つ目は、シンプルなUIで利便性を高めること。3つ目は、表示を早く、落ちないサービスを提供することだ。

 そんなSHOPLISTが選ばれる理由として、ユーザーにとってのメリットが主に3つある。1つ目は、多様なブランドをまとめて買えて、まとめて受け取ることができるという点。ポイントやクーポンもまとめて使える。2つ目は、7つのログイン手段と10の決済方法を選ぶことができ、あらゆるサービスの利用者にとってスムーズな利用が可能であるという点。3つ目は、商品がほしいタイミングで届くという点。2016年4月には当日配送サービスも開始した。

 SHOPLISTの利用者は20代が中心で、若い世代は、ECにおいてもスマホ経由の利用が多い。上記のメリットも、若年層、スマホ利用に親和性がある。また、スマホ利用の拡大もあり、SHOPLISTも、今後、利用者の年齢層を拡大していく構えだ。

 また、SHOPLISTへの出店者にとっても、主なメリットを3つあげることができる。1つ目は、低コスト・低リスクで導入ができるという点。費用としては、初期費用・固定費用・広告宣伝費はかからず、売れた分だけ手数料を払えば良い。また、連動も簡単で、必要なデータをCSVでダウンロードしてアップするだけなので、最短3〜4営業日で出店が可能だ。2つ目は、店舗運営が低工数である点。商品登録と商品納入を行うだけで良く、SHOPLISTがサイト構築、プロモーション、発送やカスタマーサポートまで幅広くサポートする。3つ目は、圧倒的な集客プロモーソンを、SHOPLISTが行っている点。SHOPLISTでは、TVCMを継続して流すなど、1企業では難しいであろう規模で集客プロモーションに力を入れている。

 これらのメリットを生んでいるのが、SHOPLISTが力を入れているキードライバー「ブランド」「プロモーション」「ロジスティクス」の3点だ。今後の展開としても、国内外問わずユーザーの求めるブランドを増やしていくこと、接客や返品、問い合わせなどリアルでできることをウェブでも実現し、ユーザビリティを向上させること、物流拠点を拡充し、ユーザーが求めるタイミングに商品が届くことを、強化していく。 

スマホのコンバージョンアップについて(TEMONA株式会社)

講師:TEMONA株式会社 取締役COO 宮崎善輝

 インターネット通販で売上を伸ばすには、重要な3つの要素があるという。それは、電話受注などオフラインの通販では以前から活用されているが、オンラインの通販ではまだ実践できていないことが多い。共通するのは、ユーザー一人一人に合わせた、人間的な対応だ。つまり、ユーザーの心理を考えること。それがネット通販でも実践できれば、売上が上がるはずだ。

 1つ目の要素は、CVR(コンバージョン率)アップの手法。ネットユーザーは、ネットで買い物をする際に、複数のサイトを比較検討する傾向がある。そのため、初回の訪問で購入に至らずとも、2回目、3回目の訪問で購入に至る可能性は十分にある。実際に、LPへの初回の訪問で購入に至るユーザーは半数に満たないが、2回目、3回目の訪問と回数が上がるごとに、訪問数自体は減少するが、CVRは2倍、3倍となっていくそうだ。そして、スマホ経由では、この訪問を重ねる行動がPC経由より短時間で、回数が多い傾向がある。

 このことから、訪問回数が多いことはネガティブなことではなく、サイト離脱も必ずしも怖くないということが分かる。ただ、2回目、3回目の訪問を確実にCVにつなげるためには、離脱を前提とした上で、訪問回数ごとにLPを変える必要がある。特に、ファーストビューが重要だ。何回訪問しても同じLPが表示されるのは、リアル店舗で言えば、何回言っても同じ声かけしかされないということになる。これではCVRアップは望めない。

 例えば、2回目の訪問客は、商品に興味があり競合商品と比較検討中のユーザーだ。ここでは、商品の説明よりも愛用者の声で信頼、安心安全を示す。3〜4回目の訪問者は、商品の購入を本気で検討しているユーザーが多い。そのため、雑誌掲載や受賞履歴など公式な情報を掲載し、ブランド訴求で安心させることが有効だ。さらに5回目以上の訪問者となると、買いたいの踏み出せない「理由」があることが多く、価格やキャンペーンなど「今だけ、ここだけ、あなただけ」といった訴求を行う。もちろん、これらの傾向は業種業態によって違ってくるが、事例として共通することの多いパターンだという。

 2つ目の要素は、引き上げ率アップの手法だ。例えば、お試し商品を購入したユーザーに対してアプローチする方法は、ステップメールやリマーケティング、ディスプレイネットワークなど、様々にある。ユーザーの方からアプローチしてくれることもあるだろう。その場合は、大きなチャンスだ。実際、お試し商品を購入したユーザーの6〜7割が、その後、その商品のウェブサイトやコーポレイトサイトを再訪問する。商品を購入したことが果たして本当に良かったのか、それを確かめるために情報を得たい、ここにはそんなユーザー心理が働く。そしてそんな時、初回訪問時と同じページを表示しては、ユーザーの心をつかむことはできない。1つ目の要素と同様に、2回目、3回目の訪問とユーザー心理に即したページを表示することが必要だ。

 3つ目の要素は、クロスセルだ。ここでも、ユーザー心理を考えて、どのようなシナリオを組み立て、それに基づきどのようなコミュニケーションを行うかが重要だ。例えば、リピーターが再訪問しやすいのは、本店サイトやマイアカウントであり、クロスセルの誘導はそういったところで行うと効果的だ。

 1〜3の要素については、便利なツールが様々に登場している。だが、ただツールを使えば良いというわけではない。重要なのは、ユーザー一人一人が何を考えているか、それに沿った対応をすること。オフラインでの通販では自然に行われている接客を、オフラインでも実現することだ。そのためのツールを選ばなければならない。

 TEMONAが提供しているツール「ヒキアゲール」は、このような方針に沿った「ウェブ接客」を実現するツールだ。無駄な情報を送らない、一人一人に合わせた接客をするということは、スマホECにおいてはますます重要になっていくだろう。

効率的にCVRの高い自社ECサイトを構築する!レスポンシブECサイトとは(株式会社ロックウェーブ)

講師:株式会社ロックウェーブ 代表取締役 岩波裕之

 「レスポンシブECサイト」は、 レスポンシブデザインなどとも言われ、PCやモバイルなどデバイス毎にレイアウトやデザインが最適化されるサイトのこと。モバイルを中心にECサイトで売上を上げるために、非常に重要なサイト形態だ。Googleでも、レスポンシブデザインを推奨している。注目度の上がっているワードでもあるが、言葉が先に走って、背景や必要性がキャッチアップされていない現状もあるという。

 ロックウェーブは、モバイル中心のECサービスを10年間提供してきた。レスポインシブデザインの研究を開発を始めたのは2012年頃で、2013年春に、国内で初めてレスポンシブデザインのプラットフォームを提供、現在では530サイトの利用があり、国内のレスポンシブ専用プラットフォームでは最も利用されている。

 EC市場において、今、2つのトレンドがあるという。1つは、PCファーストからモバイルファーストへと移り変わっているということ。スマホ対応を進めるECサイトは多いが、その過程で、意識の変化も必要だ。例えば、スマホ対応サイトを作成するのに、まずPCで確認しているようではダメで、検証などはまずモバイルで行うようにしなければならない。当たり前のことだが、意外とできていないところは多い。

 もう1つは、マルチスクリーン化だ。レスポンシブウェブデザインにおいては、モバイル対応だけでは不十分で、PCやタブレットなど、多様なデバイスでの利用を考えなければならない。そのために、まず、UI/UXを対応させること、そして、デバイス間のコンテンツ格差をなくすことも重要だ。なぜならば、デバイスの多様化により、PCだけ、モバイルだけ、タブレットだけという使い方では無く、外出先でモバイルで見ていたサイトを家に帰ってPCで見るというような「引継利用」も増えているからだ。その際に、コンテンツが異なっていることは望ましくない。

 マルチスクリーン化は、また、ユーザーにとっての利便性が向上することはもちろん、サイトを管理する側にとっても、HTMLやURLなどを一元管理することができるため、手間がかからず、運用が楽になる。これからのECサイトにとって必須の形態と言えるだろうか。

【後編まとめ】スマホEC時代に変わることと変わらないこと

 前編では、ECのスマホ最適化というのはすでに当たり前のことになりつつあり、次の段階への対応が必要だということを述べた。そういう意味でも成功しているECサイトが、クルーズが運営するSHOPLISTということになるが、実は、スマホECにおいても、ユーザーの基本的なニーズは変わっていないのではないだろうか。それは、便利、安心に買い物をしたい、ほしい商品を見つけて、ほしいタイミングで受け取りたい、そういったものだ。ただ、それがスマホ利用によって、より進んでいるのではないだろうか。TEMONAの講演における話も、売上を上げるために必要なことは、実はオフラインですでに行われていたことで、それをスマホECのユーザーにどう合わせていくかということだった。

 また、ロックウェーブのマルチスクリーン化の話からは、モバイル、スマホだけを見ていては、変化に対応できないということが分かる。そうではなくて、ユーザがどういうニーズを持っていて、どういう行動を取っているのか、そこに落とし込まなければならない。

 ユーザー一人一人を見ることができれば、変化に対しても、小手先の対応ではなく、中長期的に成果を出す対応ができるのではないだろうか。これは、前編・後編を通じて言えることであり、スマホEC時代に対応するために、あるいは次の時代が来ても、成長を止めないために必要なことだと思う。


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