女心を掴め!ノベルティから見る男女の購買意識の違い
記者の話。最近、某アパレルECサイトを訪問した。ここは記者のお気に入りのECサイトであり、定期的に訪れている。ウィンドウショッピングでも十分楽しめる簡単な性格のため、この日も、ただ商品画像をスクロールして楽しんでいた。
ふと、あるキャンペーンバナーが目に入ってきた。そこには“5,000円以上購入で、オリジナルポーチプレゼント”という文字とともに、可愛らしいポーチの写真。
30分後、気がついたら5,000円以上の買い物を済ませていた。
発注数量・予算が前年比200%?その理由はノベルティ
冒頭の筆者の体験もあり、ここ最近は、ECサイトの販促物としてノベルティが持つ可能性について思考を巡らせていた。
そんな中、あるデータを耳にした。ある化粧品メーカーがノベルティを付けることによって、従来発注が来ている数量・予算が前年比200%になったというデータだ。これは株式会社ピーアンドエフ(以下、ピーアンドエフ)が運営する法人向け販売促進ノベルティ BtoB ECサイトの「販促グッズ.com」にてノベルティを購入したお客様の事例である。
このように、売上を伸ばすために有効な販促物であるノベルティ。ECサイトでどう活用したら効果的なのか、話を伺うべく、ピーアンドエフ プレミアム事業部 次長 田中 久美子氏のもとを訪れた。
ピーアンドエフが運営する「販促グッズ.com」とは、主に法人向けにノベルティグッズ販売しているBtoBのECサイトである。実店舗からECサイトまで、商品を販売する店舗に向けて、販売促進に使えるノベルティグッズを販売している。ここからノベルティを発注し、販促物として利用しているECサイトも多い。
そして、既に出来上がっているノベルティに企業名やロゴを入れることができたり、1からオリジナルのグッズを制作することができるOEM対応もしている。ノベルティを利用し、商品を販売したい企業の様々なニーズを叶えて14年めだ。
一体どのようにノベルティを活用すれば、発注数量・予算が前年比200%という事例をたたき出せるのだろうか。そんな疑問に「ノベルティを販促物として活用するのに、一番のポイントは女性のココロを掴むことなんです。」と田中氏。ノベルティでおさえるべきポイントは“女心”にあったのだ。
購買決定権の約8割を握る、女心を理解せよ!
なぜノベルティを販促物として利用するのに“女心”が重要なのだろうか。その疑問を解決するためにとあるデータを見ていこう。それは株式会社ハー・ストーリィが調査し、日本政策投資銀行が取り上げている「項目別、女性が購買決定権を握る割合」のデータだ。
これによると女性が購買決定権を握る割合は、大きな買い物でない限り、殆どのジャンルで半数以上の割合を占めている。そして、購買の決定権は女性が約8割を握るとさえ言われているため、いかに女性に「商品を購入したい」と思わせるかが売上を伸ばす鍵となる。
男女の購買意識の違いとノベルティとの関係
ここまでで、女性が殆どの商品の購買決定権を握るため、いかに女性へアプローチをし、購入まで繋げることができるかが重要だということをご理解いただけただろうか。ではなぜ、女心を掴むために“ノベルティ”が効果的なのだろうか。
株式会社女ゴコロマーケティング研究所(以下、女ゴコロマーケティング研究所)が発表している「男女の買物価値観の違い」を見てみると、男性が商品を購入する際は、どれだけスペックがいいのかを比較し、客観的に選択をする傾向があることが分かった。そのため、結果が良ければ買い物は満足するという人も多い。
一方の女性は、その商品と一緒にいる自分が幸せか、というイメージができるかを重要視している。男性と違って、商品を買って得られた成果よりも、買い方・プロセスにこだわる人が多い。漠然とした店舗イメージのまま、その店舗の雰囲気やスタッフとの交流を楽しみ、購入まで至ったプロセスを、商品の一部として溶け込ませ購入する。そう、購入までのイメージが重要なのだ。
そして女性の購入までのイメージの中で、ノベルティという存在は重要な要素。つまりノベルティ欲しさに商品を購入する女性が多いのだ。そのため、いかに女心を掴めるノベルティを商品の付加価値として提供できるかが、商品を販売する店舗にとって勝負のポイントである。
そう、これが田中氏の言う女心を掴むということなのだ。 思い返せば記者もつい、ノベルティ欲しさに商品を購入した経験がある。しかも、何度も。 無料で良質なアイテムがもらえるとなると、商品を買うために財布の紐が緩んでしまう。
では、ECサイトが、ノベルティを販促物として取り入れるメリットとは一体何なのだろうか。
「そのメリットは2つあります。」
メリット①売上を伸ばす
「まず1つめのメリットは、売上を伸ばすことができます。 ノベルティがもらえる一定金額を設定することで、ノベルティが欲しいという気持ちが勝り、平均単価が上がる。その結果として、売上が伸びていくのです。」
もともと購入するつもりがなくても、ノベルティ欲しさに一定金額を購入なんてことも。
ECサイトがノベルティを販促グッズとして取り入れる際は、いかに女性が欲しいと思うグッズを提供できるかを意識していくべきだろう。“ノベルティが欲しい”という心理が多くの女性に働き、買い物をする過程をノベルティによって彩ることができれば、売上UPという絶大な力を発揮するのだ。
2つめのメリットは、ECサイトに必須のアレ…?次のページ
メリット②ブランディングに効果的
「2つめのメリットとしては、企業ブランディングできることがあります。ノベルティは、ECサイトの世界観を表現することができる。そしてその世界観を維持したノベルティを制作することで、いつでも消費者にその世界を感じてもらい、それがブランディングへと繋がるのです。」と田中氏。
OEMなどにより、自社オリジナルを制作することもできるノベルティ。ECサイトの世界観は100社あれば100通りだが、その1つ1つに根強いファンがついている場合も多いだろう。その世界観をノベルティにて表現するということは、ファンを育成し、ブランディングへと繋がるはずだ。
また、ノベルティにはECサイトのロゴや名前を入れることも可能。そのため、消費者がノベルティを使うときに意識を向けてもらうことができる。そしてリピートへ結びついていくのだ。ノベルティは、ECサイトにとって多くのメリットをもたらす一手である。
勝利の成功法則は“女心を掴む”
ピーアンドエフでは、女心を掴むノベルティにこだわるため、5年半前から販促グッズ.comのスタッフを女性のみで構成している。日々多くのECサイトや実店舗などのノベルティグッズの提案を女性目線で行っているのだ。
田中氏は「“女性が喜ぶものを提案したい”という想いがあります。女性のみでチームを構成し、女性目線でノベルティを提案することで、消費者に喜んでもらいたいのです。そしてその喜びは、最終的に売上へと繋がります。」と熱くコメント。
女性だからこそ、消費者女性の欲しいノベルティのツボがわかる。見事にツボをついたノベルティ欲しさに、ECサイトの商品を購入する消費者も大勢いるはずだ。
そして1つあたり数百円の販促費をかけるだけで、それ以上の売上が期待できる。これも全て、商品購入のプロセスの中にある「ノベルティが欲しい」という女性の心理によるもの。そんな乙女心を掴んで商品購入へ繋げるためには、彼女たちを理解することが必要なのだ。
そして、購買決定権の約8割を握る女性が、購入までのプロセスを重視すること、そのプロセスにおいてノベルティが重要な位置にあるということ、これらを把握することで必然的に打つ施策が変わってくるだろう。
乙女の心を掴み、売上を伸ばす一手は、ノベルティに隠されているのだ。