楽天トレンド鍋に見る、2016年“鍋”商戦必勝法!

ECのミカタ編集部

 11月2日、都内某所。楽天株式会社(以下、楽天)による「楽天市場 2016トレンド鍋発表会」が開催された。

 果たして、今年のトレンドとはどのような鍋なのだろうか。

11月、鍋の需要が高まる季節

 10月は平均気温が下がり、20度を下回る。そして、11月に突入すると平均気温が約13度にまで低下する。11月に入って3日目だが、肌寒さを身をもって実感している方も多いのではないだろうか。この寒い季節といったら、思い浮かぶ夕飯に“鍋”が挙がるだろう。実際に気温が15度以下になると、鍋つゆが売れると言われている。鍋はこれから大きく盛り上がっていくのだ。

 そして楽天市場においても年々鍋の需要は高まっており、流通総額は2010年から5年間で約3倍の伸びを見せている。その伸びに勢いをつけるべく、今年も多くのEC事業者が鍋関連の商品を販売している。商品が約2億点以上ある楽天市場に、今年は9月末の時点で約65,000点の鍋関連の商品が並べられている。昨年よりも約10,000点、鍋関連商品が増えている。

楽天が鍋で売り上げを伸ばすワケ

 5年間で3倍もの伸び。楽天市場が、年々鍋商品の売り上げを伸ばしている理由は3つだ。

 1つ目は、豊富な種類だ。定番からユニークな商品、少人数向け、ホームパーティー向けなど、様々なニーズに合わせて商品を展開している。

 2つ目は、日常食として活用できることだ。以前は贈り物やぜいたく品といったイメージが強かった鍋だが、最近は低価格商品も多数揃っている。日常的に鍋を楽しめるようになったのだ。3つ目は、手軽に本格鍋を作れるということだ。下処理がいらない材料や道具・食材などをセットで販売している店舗も増えているため、安易に鍋を作ることができる。

2016年トレンド鍋、4種公開

2016年トレンド鍋、4種公開会場の様子。親子も楽天市場のECサイトの鍋を楽しんでいる。

 では、鍋商材の勢いが高まってきている楽天市場において、2016年度はどのような鍋が売れるのだろうか。楽天が予測したトレンドは4種類ある。

①変化鍋
 この単語を聞いたことがない方も多いのではないだろうか。2016年は、一度で様々な味や見た目が楽しめる変化鍋が流行るのではないかと予測されている。昨年トレンドになった、2つの料理・味が掛け合わさっているハイブリッド鍋が進化したもので、味や見た目が一辺倒になりがちな鍋に楽しみを与えてくれるのだ。

②一菜鍋
 食材を徹底的に味わい尽くす鍋。現在アボカドやパクチーなど1つの食材を徹底的に楽しむというブームが来ており、その鍋版が一菜鍋だ。

③和風定番鍋
 変わり種鍋が流行っているが、楽天市場の最新売れ筋トップ100の8割がもつ鍋や水炊きといった定番和風鍋なのだ。2016年現時点で出汁の売上も非常に伸びてきているため、再びブームは和風鍋に回帰するのではないだろうかという予想がされている。

④ジビエ鍋
 今外食産業でジビエが流行しており、その流れがEC業界にも広がってきている。そしてそのバリエーションも増え始めていて、初心者も挑戦しやすい。

 そして4種類の中でも楽天としては、特に一菜鍋と変化鍋に注目し力を入れている。「2016年トレンド鍋発表会」では、楽天市場とECサイトが共同開発した鍋が紹介された。今年の鍋商材に悩んでいたEC事業者は、参考にしてみてはいかがだろうか。ここでは一菜鍋の「ちこり爆盛一菜鍋」と、変化鍋の「黒毛和牛アモーレ変化鍋」を紹介する。

楽天共同開発①「ちこり爆盛一菜鍋」

楽天共同開発①「ちこり爆盛一菜鍋」「ちこり爆盛一菜鍋」

 “ちこり”という野菜をご存じだろうか。

 ちこりとは、ヨーロッパで健康野菜として親しまれている野菜である。葉を1枚はがすときれいなボート形、みずみずしくシャキシャキとしていて味はレタスに似ている。そんな特徴があるちこりだが、日本では中々認知が上がっていない。そんなちこりの本格国産化に挑戦する岐阜県中津川市のちこり村が「もっとちこりの魅力を知ってほしい」という想いで楽天市場と共同開発したのが「ちこり爆盛一菜鍋」である。

 鍋はトマトソースやひき肉と無加水で煮込んでいる。見た目はちこりのボート形を活かして、オシャレな鍋フタ代わりに。隠し味にはちこり焼酎蔵の生きている麹を使った塩麹を使っている。メイン食材から隠し味まで、思う存分ちこりを堪能できる鍋に仕上がっている。記者も実際にいただいたが、加熱したちこりのほんのりとした甘さ、シャキシャキとした食べごたえに箸が止まらなかった。あっさりしており、無限に食べられる気がしたくらいだ。

 「ちこり爆盛一菜鍋」は当初の予定通り、消費者へちこりの魅力をまるごと届けられる鍋に仕上がった。これが2016年トレンド予想されている鍋の1つ、一菜鍋である。


「彼女は僕のアモーレです。」がきっかけ?変化鍋の真相は、次のページ

楽天共同開発②「黒毛和牛アモーレ変化鍋」

楽天共同開発②「黒毛和牛アモーレ変化鍋」「黒毛和牛アモーレ変化鍋」

 「彼女は僕のアモーレです。」

 このセリフは、サッカー日本代表 長友 佑都選手が女優 平 愛梨氏との交際を宣言した時に放った言葉だ。アモーレとはイタリア語で“愛・愛する人”という意味もある。楽天市場と共同で鍋を開発した高級和牛専門店のセゾンブシェは、今年話題を呼んだ長友選手の発言と、お鍋を囲む家族の愛を結びつけて「黒毛和牛アモーレ変化鍋」を作った。

 鍋を囲む人々が鍋を楽しみさらに絆を深めてほしいと、お肉をタワー上に積み上げてインパクトを出している。そして一つ楽しめる要素として、一回の鍋で味や食べ方が変わる変化鍋というアイデアも盛り込んでいる。

「黒毛和牛アモーレ変化鍋」第3段階

 その変化形態として3段階に分けられ、1段階はイタリアを意識したトマトスープに野菜と高く積み上げたイベリコ豚、黒毛和牛を煮込んだ鍋を頂く。このお肉タワーは火を通すにつれて倒れるため、“形”の変化を楽しめる。2段階目として、黒毛和牛小腸のホルモンとバジルペーストを入れ“味”を変える。そして3段階目として、ごはんとチーズを入れてさらに“味”を変える。

 見た目と味、2つの変化を楽しむことができるのが、「黒毛和牛アモーレ変化鍋」なのだ。見た目のインパクトも大きいため、SNS受けもいい。消費者のアモーレとの絆も、鍋を通してさらに深まっていくのではないだろうか。

楽天市場での鍋商戦に勝ち抜くためには?

 今年のトレンドとして、変化鍋・一菜鍋・和風定番鍋・ジビエ鍋が挙げられているが、紹介した2つの鍋に共通するのは、消費者へ届けたい想いやコンセプトがしっかりしているということである。

 鍋がどういった種類のものなのかも重要であるが、最終的に消費者へ響くのは、ECサイトの想いなのだ。トレンドを理解しつつ、消費者へのメッセージを鍋で表現するEC事業者こそが、今年の鍋商戦を勝ち抜くのかもしれない。

2016年11月4日、追記

2016年11月4日、追記

 Googleが、2016年10月に最も検索された“鍋”ランキングを発表した。

 本ランキングは、2016年10月に検索数の多かったキーワードをリストアップしている。(調査対象期間:2016年10月1日~31日)また、あわせて昨年同時期(2015年10月1日~31日)と比べ検索が増えた「今年話題の鍋」ランキングも発表している。

 1位は「おでん」という結果になった。各社コンビニエンスストアも力を入れており、最近では「ひとりおでん」というものも流行っているためだろう。そして昨年の同月に比べ「キムチチゲ」、「プデチゲ」といった美容効果も高いといわれる韓国鍋の検索が増えている。女性にとってこういった鍋は、温まることができて美容にも良いため、一石二鳥なのではないだろうか。

 検索は、消費者の生の声といっても過言ではない。ぜひ、今年のトレンド鍋調査の参考にしてみてはいかがだろうか。


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