今明かされるAmazon「Prime Now」物流倉庫の秘密《後編》

ECのミカタ編集部

 昨日、アマゾン ジャパン合同会社(以下、Amazon)が、国内でのサービスを開始してから1年が経った「Prime Now」の新倉庫を披露、そして対象エリアを東京23区全区へと拡大したニュースをお伝えしたが、当記事ではその新倉庫の詳細について紹介していきたい。

【速報】Amazon「Prime Now」東京23区に対応&新拠点披露《前編》
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Amazon倉庫に潜入!徹底された仕組みとは

Amazon倉庫に潜入!徹底された仕組みとはピッキングの様子

 国内でも5番目となる「Prime Now」の新拠点が豊島区に誕生した。これにより「Prime Now」の配送対象エリアは新宿や池袋を含む城北エリアにまで拡大し、中野区、豊島区、北区、板橋区、練馬区を追加した東京23区全区(一部地域を除く)で「Prime Now」のサービスを受けることができるようになった。

 しかし、「Prime Now」の進化はそれだけではない。商品数はこの1年で3.5倍以上に拡大、拠点によっては最大6万5千点以上を揃え、商品ラインナップについても、それまで扱っていなかった家電や冷蔵冷凍商品の取り扱いを開始した。なぜAmazonは、一歩進んだ配送サービスを提供し続けられるのだろうか。「Prime Now」の新倉庫でその秘密を探ってみた。

ピッキングの様子

 まず新倉庫は、「Prime Now」が取り扱う商品数からは想像出来ないほどコンパクトな造りとなっており、一般的な物流センターとは異なって、市街地に拠点を設けている。どれくらいコンパクトかというと、街にあるドラッグストアやちょっとしたスーパーをイメージしていただけるとわかりやすいかもしれない。「Prime Now」が顧客のもとへと素早く配送を行えるのは、こうした拠点の場所も関係している。

 そしていざ倉庫内へと足を踏み入れると、顧客へと配送する商品が陳列された棚が綺麗に並んでいる。注文が入れば、倉庫スタッフが端末でQRコードを読み取り、この棚から商品をピッキングして配送の準備を行うのだが、なぜか棚に並ぶ商品は種類ごとではなく不規則に寄せ集められていた。例えば、漫画とビタミン剤が同じスペースに置いてあるなど。

 実はここにも「Prime Now」の秘密がある。商品の場所はQRコードを利用して特定するとして、なぜ並べられている商品ジャンルが不規則なのかというと、倉庫スタッフ同士が同じ場所に集中してピッキングすることを避けるためなのだとか。スタッフの安全確保という意味でももちろん、1秒でも早く顧客へと商品を届けるための仕組みはこうしたところにも施されているのだ。

配達商品の梱包

 そして商品ジャンルを拡大したからこそ、冷蔵庫・冷凍庫の整備も完璧だ。商品配送用の梱包も、冷蔵・冷凍品を安全に運ぶために工夫されたものとなっている。一昔前までは、冷蔵・冷凍品が即日で配達されることは一般的ではなかった。「Prime Now」の倉庫は、物流業界の進化を表しているかのようだった。

商品積み込みの様子

 最後に、ピッキング・梱包された商品は外で待機している配達車に積まれ、対象エリアへと配達されていく。比較的注文が多いのは朝と夕方以降とのことだが、「Prime Now」では深夜配送にも対応しているため、「Prime Now」 がこれまで以上に深夜の時間帯でコンビニのように利用される日も近いかもしれない。

 EC店舗と顧客をつなぐ物流がどのようになっているかを知ることは、EC店舗にとって非常に重要である。なぜなら、顧客に届ける商品を最後まで扱うのは配送現場のスタッフだからだ。自社の商品がどのようにして倉庫で扱われているのか、もし配送現場で商品に傷が付けば、EC店舗のブランドに関係してくる。

 今回は、Amazon「Prime Now」の倉庫に足を運び、最先端の物流を目の当たりにすることができた。Amazonの利便性の高いサービスは、様々な工夫と徹底した仕組みのもとで成り立っているのだと改めて感じた。


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