アパレルECでトップを取るために解決すべき2つのこと

ECのミカタ編集部

先日、「話題のファッションサービスを振り返る2016 冬」というセミナーを基に、アパレルECについての記事(https://goo.gl/jRRTbI)を掲載した。本記事は、その記事の続きであり、セミナーでバーチャサイズ株式会社が発表されたことを参考に、アパレルECの悩み“サイズ問題”と“ブランド力”について考えていく。

EC上に試着室を設けてサイズ問題を解決

EC上に試着室を設けてサイズ問題を解決ユーザーが持っている洋服とECで販売している洋服が重なり合ったイメージ

 今では当たり前のようにインターネットで洋服を購入できるが、実店舗のように洋服の質感を確かめたり試着したりすることはできない。そのため、インターネットで洋服を購入することに抵抗を感じているユーザーも多いのではないだろうか。そこでバーチャサイズ株式会社では、オンライン試着ソリューション「Virtusize」を提供している。

 Virtusizeでは、ユーザーが持っている洋服とECで販売している洋服が重なり合ったイラストを表示する。手順としては、まず、過去に購入した洋服と比較する場合は「比較ボタン」を押し、手持ちの洋服と比較する場合はメジャーで測って追加する。その後、ユーザーの洋服をとECの洋服が重なり合ったイラストが表示され、着丈(※1)やゆき丈(※2)の差を確認しながら、ぴったりのサイズを選んでいく流れとなっている。

 このサービスは、ユーザーにとってのメリットが多いが、EC店舗にもメリットがある。それは、メルマガに活かすことができることだ。アパレルECのメルマガは、ユーザーが好きそうな商品を紹介していることがほとんどである。もちろん、確実に効果が無いとは言い切れないが、それほど興味が無い商品の場合、購入意欲やメルマガの開封率を下げる恐れがある。

 一方、Virtusizeでは、比較する際の洋服や購入履歴が残る。それをヒントに、ユーザーの好みにぴったり合った商品を紹介する。さらに、サイズまで揃えておくと購入率を上げることができるだろう。こういったようにVirtusizeは、サイズ問題だけでなく、メルマガの開封率も上げ、確実に購買行動に繋げるのだ。

※1 襟から裾の長さ
※2 肩から袖口の長さ

ブランド力を上げるために、返品を前提に

 前述のように、サイズ問題を解決し、より商品を選びやすくするサービスは登場しているものの、日本のアパレルECのほとんどが似たようなテイストになりつつある。一方、海外のアパレルECは1つ1つがユニークであり、“ブランド力”が認知されている。そこには、日本とは違う販売方法があった。

 日本のアパレルECでは、1つ1つの商品に対して情報を詳細に掲載し、「まず商品を知ってもらう」ということが主流だ。しかし、海外の場合は「まず購入してもらう」ということが主流であり、商品情報を詳しく掲載しない。実際に購入した上で、もし、商品が合わない場合は返品する。海外では、この“返品”が当たり前であり、返品を前提に購入し、実際に商品を見て、触って判断してもらう。

 返品を前提とした方法をとると逆効果のように感じるが、1度商品を手に取ることで商品を理解できることはもちろん、ブランドについても知ってもらえるため、“ブランド力”に繋がるのだ。もし商品が気に入れば、今後もそのブランドの商品を購入し続けるだろう。逆に返品が発生した場合でも、何らかの機会でそのブランドを思い出し、新たな商品を購入するきっかけとなるかもしれない。そういった意味でも、「返品をしても良いから商品を手渡す」という方法は効果的だと言える。

 アパレルの実店舗では当然の如く「試着室」があり、気になる洋服を試着して自分に合う洋服を決めていける。しかしECではそうもいかず、返品するにも一苦労だ。そのため、ECで洋服を購入する際は慎重になり、購入するまでに時間がかかる。

 その試着問題を解決するサービスが「Virtusize」であり、EC上でも洋服を気軽に試すことができ、自由に楽しく、洋服を選べるようになった。今後、さらなる選びやすさを提供するためには、海外のアパレルECのように「返品前提」に洋服を提供することも1つの方法である。返品されることを恐れずに、自社のブランドを認知してもらうことを目的にすれば、EC運営者も気が楽になるだろう。それが“ブランド力”を上げ、購買行動を後押しすることに繋がっていくのだ。

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