日本郵便”はこぽす”/ヤマト運輸”ロッカー受取り”の違い
この1、2年、配送業界が大きく変化している。従来、宅配サービスと言えば、自宅で受け取るスタイルが主流であったが、ライフスタイルの変化に伴い、コンビニでの受取りや、配送会社の拠点や駅などでの受取りができるようになっているのだ。特に2016年は、日本郵便とヤマト運輸において、荷物の受取りができるロッカーの設置が進んだ。そこで、2016年の12月時点で、このロッカーがどれだけ設置されているのか、両社のサービスの違いと共にまとめた。
はこぽすは注文時、ロッカー受取りは出荷時
荷物の受取りをロッカーでできるサービスについて、日本郵便は「はこぽす」、ヤマト運輸はクロネコメンバーズ向けの「ロッカー受取り」を展開している。
まず「はこぽす」は、荷物の受取りに関しては、現在(2016年12月19日)、楽天・Qoo10・山田養蜂場・SHIROHATO・SHOPLISTの5つのECサイトで利用することが可能だ。注文時に受取りたいロッカーの場所を指定し、その後、荷物の受取りに必要なパスワードがeメールで知らされる。そのパスワードを、指定したロッカーに入力すると荷物が受け取れるという流れだ。また「はこぽす」は、買取サイト「ハグオール」においては、買取品の差し出しにも利用することができる。
クロネコメンバーズ「ロッカー受取り」は、利用の前にクロネコメンバーズに登録(無料)しておく必要がある。クロネコメンバーズに登録すると、ヤマト運輸が提供する様々なサービスを利用できるようになる。「ロッカー受取り」に関しては、商品出荷時に届く「お届け予定eメール」または不在時の「ご不在連絡eメール」から受け取り場所を「ロッカー」に指定し、荷物がロッカーに納品されると、ロッカー開錠用パスワードがメールで知らされる。このパスワードで指定したロッカーにて荷物を受取ることができる。
日本郵便とヤマト運輸、ロッカー設置場所の特徴
現在(2016年12月19日)、はこぽすは全国に56箇所、ヤマト運輸のロッカー受取りは全国に98箇所設置されている(各社ウェブサイトより調べ)。設置場所の分布は上表の通りだ。
日本郵便の「はこぽす」とヤマト運輸の「ロッカー受取り」のロッカー設置場所を以下の一覧にまとめているので、こちらも参考に、顧客にとってより便利な提案に役立ててほしい。
両社とも関東を中心に設置を進めているが、違いとして、ヤマト運輸のロッカー受取りは西日本に進出しているのに対し、はこぽすは愛知や北海道へと進出している。ヤマト運輸はヤマトの営業所を中心にJRの駅や東京メトロ、京急の駅、そして西日本の私鉄の駅にもロッカーの設置を進めている。日本郵便は、郵便局を中心に同じくJRの駅、そして京王井の頭線の駅、また愛知や北海道ではスーパーやショッピングビル内にロッカーの設置を進めている。また一部では、両社が協力してロッカーの設置にあたる動きも見られる。
こういった違いには、両社のサービスに対するニーズの違いもあるだろう。また、不在配達や再配達は、配送業界全体として改善してきたい点だ。この点に関して、両社が競い合うというよりは、必要な点は協力して、利用者の利便性を一番に考えた取り組みを進めている印象を受ける。
ただ、こういった新しいサービスは、どんなに良いサービスでも、まずはユーザーに認知してもらい利用してもらう必要があり、それと合わせて、EC店舗などでの対応が進む必要がある。配送に関する利便性の向上は、EC店舗にとっては直接的な効果につながらないように思われがちだが、中長期的な目で見ると、顧客との関係づくりに役立つはずだ。