佐川急便が主婦1万人採用へ 自宅周辺エリアで配送

佐川急便は19日、宅配サービスの配送要員として今後2年間で1万人の主婦パートを採用する方針を明らかにした。雑貨などの軽量の荷物を1日あたり30個程度、自宅周辺で配達する仕事で、荷物数に応じた時間勤務となる。

インターネット通販の拡大で伸びる取扱個数に対し、正社員の「セールスドライバー」を中心にしている輸送力を補完する。

自転車や徒歩で自宅周辺へ配達

主婦パートは、住宅地で自宅から半径1〜3キロの配送エリアを指定する。指定する際には、高層マンション群や集合団地などを考慮し、自宅の近所は外すといった対応もある。営業所から配送されるエリア内の荷物を自宅などで受け取り、通勤する手間をなくす。配達は自転車や徒歩で個別におこなわれる。

勤務日や働く時間帯は自由に選べるようにし、同じエリア内に複数のパートを配して分担する。給与は原則として配達個数に応じて支給。1日3時間、平日5日間の勤務で月5〜8万円の収入となる見通しのようだ。

佐川急便では、主に年収103万円以下で世帯の所得税の負担が軽くなる、配偶者控除の枠内で勤務する主婦のパート採用を想定しているが、独身女性や男性も採用する予定だ。

新たに加わる主婦パートは配送要員全体の2割超に

パート採用後に研修を実施し、制服や台車などの資材設備を提供。雑貨などの、かさばらず軽量な荷物を対象にすることで負担を減らす。

2014年度にまず5千人を採用し、2年で1万人にする。佐川急便は、セールスドライバーを中心に約3万8千人の配送要員を抱えており、新たに加わる主婦パートは全体の2割超の規模になる。中元・歳暮シーズンなどの繁忙期での応援要員としても期待する。

輸送能力の増強が今後の物流業界を支える

物流業界はインターネット通販の拡大で雑貨の取扱量が増えるなど、人手不足が深刻で、主婦に家事や子育ての合間の時間を有効活用してもらうことでサービスの向上を進める。

佐川急便の宅配便の取扱個数は、この10年で3割増えて、14年度は12億3千万個になる見込みだ。今後もインターネット通販での利用の増加が見込まれている。物流業界ではドライバー不足が顕著で人材難に陥っており、輸送能力の増強に向けた要員確保が課題になっている。