楽天、2016年度通期及び第4四半期 決算、発表〜三木谷氏が世界を語る〜
三木谷氏が世界戦略を強調
楽天株式会社(以下、楽天)は、先ほど、「2016年度通期及び第4四半期 決算説明会」を開催した。席上、会長の三木谷浩史氏が立ち、「トップラインは力強くということで、グローバル流通総額が、昨年同期比、17.8%、そして、連結売り上げ収益が+11.9%伸びました。」と説明、国内ECの流通総額も再加速しており、今後の成長に大きな影響がありそうだ。その他、楽天カードの取扱高が伸びており、これにより、2017年は国内カード会社のなかで一番になることを示唆した。また、FCバルセロナの話題にも言及し、これを契機にグローバルにブランド統合を行い、グローバルにエコシステムを構築するとした。
国内EC流通総額は、前年同期比14.7%と勢いを取り戻す
まず国内EC流通総額は、第3四半期においては、リオ五輪で消費者の関心が消費よりもオリンピックに向かったので、一旦は成長速度が落ち着いたものの、第4四半期では、前年同期比14.7%と勢いを取り戻した。その背景には、ポイントを中心とした施策と、対お客様向けに行った「品質向上施策」といった活動が結果的に、効果が現れたと評した。新規顧客獲得、及び、既存ユーザーの継続的な利用につながったとした。
品質向上は多岐に及び、細かなところで言えば、UXを心がけ、商品が探しやすくするために検索ロジックの強化、また、商品自体もジャンルごとの戦略を徹底した。配送においても、受け取り場所の多様化も意識して進めたほか、店舗に対しても、AIを使った診断サービスなど、積極的に行ってきており、今後も行なっていきたいとした。そうした甲斐あって、結果的に、楽天市場のブランド価値もWebブランド調査2016秋冬で、総合ランキング1位となったのは記憶に新しい。
スマホ対応など、地道な取り組みが、楽天のECの成長を後押ししている印象
楽天市場のユーザー数は、9月以降伸びており、前年同期比10.1%、注文件数は、前年同期比+14.7%と安定的に増加している。また、楽天市場の流通総額での楽天カードの決済比率、つまり、楽天でも特にロイヤリティの高いお客様の購入が、昨年12月においては、51.2%となっている。また、スマートフォンも増加の傾向にあり、楽天市場のモバイル流通総額比率は、60.8%となった。
また、ECの多様化という事で、BtoBtoCに加えて、モバイルCtoCの流通総額は、ラクマに加えて、新たにフリルが加入した2016年の9月以降、大幅に伸びており、メルカリに追いつけるようにしたいと漏らした。楽天市場の広告収入が、スーパーポイントアッププログラムにおける投資で、ずっと前年同期比でマイナスだったものが、9月以降、プラスに転じてきていて、12月には大きくプラスになっている。この結果、楽天市場単体で、今年の2月から対前年比の営業利益のプラス化に転じ、この点は明るい材料だとした。
世界に向けた楽天の戦略が、動き出す
また、FCバルセロナとグローバルイノベーション、エンターテイメントパートナーとなったが、この件については、過去の東北楽天ゴールデンイーグルス設立時の例を挙げた。球団を持つ前は、日経BPコンサルティングの「ブランド・ジャパン」によれば、ブランド価値が167位だったものが、参入して以後は、一年で32位となった。これでも分かる通り、FCバルセロナとの連携で、相互にブランド力を向上させていくという。これを契機に、EBATES,Viver,kobo,overdribve,vikiなど、それぞれがバラバラとなっていたのを、なるべく統合したイメージづくりをして、グローバルブランドとして推進して行き、成長の足がかりにして行くという。
世界の状況にも言及し、2016年においては、既にこれらのブランドでグローバルに11億人の会員がおり、グローバル流通総額も10.7兆円となっている。ちなみに、2016年における米国の流通総額は、140億ドル以上となっているという。また、米国事業においては、Non--GAAP EBITDAは、急速に伸長しており、72億円で前年同期比+139%となっているそうだ。また、ドイツとフランスでも、マーケットプレイス事業が成長しているとして、Rakuten.deは前年同期比+103%といった実績を上げた。
スーパーポイントアッププログラムをきっかけに購入する人が増加したり、実は、スマホの利便性が向上していたりと、派手さはないが、少しずつ着実に変化をしていることが奏功しているようだ。世界に向けた展望を最近は語る機会が少なかったが、米国事業の好調ぶりを契機に、一気に、世界に向けた戦略を語り始めた。FCバルセロナもその流れの一環だったのだ。国内ECが地道に復調する中で、世界も徐々にその勢力を拡大して行くのだろうか。