H.I.S.がAIのチャットボットでのお問い合わせ対応を開始。人とAIをシームレスに

ECのミカタ編集部

 カラフル・ボード株式会社(本社:東京都渋谷区、以下 カラフルボード)は、自社開発するパーソナル人工知能「SENSY」を活用したチャットボットサービス、「SENSY BOT for Biz」を新たにリリースした。第1弾の導入先として、株式会社エイチ・アイ・エス(本社:東京都新宿区、以下 H.I.S.)と提携し、サービスを開始すると発表した。

 カラフルボードが開発するパーソナル人工知能「SENSY」は、自然言語処理、画像解析技術などを組合せ、一人ひとりの感性を個別に解析するディープラーニング技術。この独自技術を活用し、これまでマーケティングや需要予測、レコメンドエンジン、接客エンジンなどを提供してきた。

「SENSY BOT for Biz」では、これまでSENSYが開発してきた人工知能技術を活用し、LINEやFacebook等のメッセージングアプリの他、WEBウィジェットとして、自社ECサイトなどへチャットボットを導入することが可能。さらに、単純な対話だけでなく、SENSYのもつ他の機能と組合せて、より高度なWEB接客を実現することができるという。

従来のチャットボットの課題と「SENSY BOT for Biz」の解決策

 従来のチャットボットにはいくつかの課題があった。その問題点を「SENSY BOT for Biz」がどう解消しているかを3つあげておきたいと思う。

1)「最先端技術でも全ての質問にボットで応えることが困難」であるということ
 残念ながら、現時点で最先端のAI技術(主に自然言語処理技術)を用いても、会話の意味を完全に理解して応答するエンジンを実現することはできないという。そのような問題に対処すべく、「SENSY BOT for Biz」では独自のチャットシステムを用いて、ボットがお客様の質問に回答できない場合にチャットサポート担当のオペレーターにエスカレーションし、オペレーターが会話を引き継ぎ、ユーザー対応を続けることができる。これによりユーザーにストレスなく、かつオペレーターのコストを最小化したチャットボットを実現できる。

2)「ボットを賢くするための運用にも手間やコストが掛かる」ということ
 従来のボット開発においては、初期の開発に相当なコストが掛かるだけでなく、運用開始以降も継続的な改善のために、技術者がボットの学習に時間を割く必要があった。これらのコストがネックとなり、導入を諦めていた企業も多いだろう。「SENSY BOT for Biz」では、ボットをより賢くするために、オペレーターがWEBブラウザ上で簡単にボットを育成する機能を提供している。技術者に依存していたボット育成業務を誰でもできる状態にし、運用コストダウンとスピーディーな改善サイクルを可能にした。

3)「対話エンジンを導入しただけでは、ビジネス的インパクトが得られにくい」ということ
 従来のチャットボットでは、コスト削減を目的としてコールセンターの問合せ対応などに活用されるケースが多く、その費用対効果が得にくいことも導入が広がらない理由の一つだったという。そこで、「SENSY BOT for Biz」では、従来から開発している接客エンジンなどと組合せて導入することで、WEB上における「接客」を実現するという。また、ユーザーとの会話から感性データを蓄積し、マーケティング・需要予測・商品開発への活用も可能となる。

第1弾導入事例となるH.I.S.の導入背景

 WEBサイトでの旅行予約の需要が高まるにつれ、FAQサイトを充実させてきた中で、H.I.S.は、オンライン予約のカスタマーサポートチームを新設するなど、顧客の疑問・質問・問題解決を支援する対応を進めてきたが、現在のオペレーターによるチャットサポートは受付時間が短いという課題があったという。

 一方でお客様からのチャットサポートへのお問い合わせは、件数が増えており、無人で自動応答できるチャットボットサービスによる更なる効率化を図るべく、チャットボットとオペレーターを融合させたエスカレーションシステムによる24時間365日の顧客サポート対応を実現した。

人的リソースの再分配を見据えた上での先端技術の導入

 こういったAIなどの技術革新が進めば進むほど、人的リソースは今後多くの企業の課題となってくる。人材の再配置や戦略のなり直しは必要になってくるが、そうした一連の流れを見据えた上で適切に先端技術を導入していくことで、業務の効率化は一気に進むだろう。

 今回の「SENSY BOT for Biz」のように従来の問題点を一つづつしっかりと対処した「一歩進んだオートメーション」は今後増えていく。どの部署どの部門に、どのような技術やツールを導入していくか。常に先手を打って業務の改善に取り組んでいただければと思う。

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