広告は1日何回まで許されるのか?消費者側から見た広告との接触回数別の好感度【ECのミカタリサーチ】
Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)には、ユーザー一人当たりの広告表示上限回数を設定できる「フリークエンシーコントロール」という機能があります。これは、広告の表示回数に制限をかけることで、より効果的な広告運用を行おうというものです。しかし、実際にはどの程度の回数まで制限を行えばいいのでしょうか?
そこで、ECのミカタは、ユーザーに対して聞いてみました。一体、何回表示されたら不快に感じるのか?一般的に言われている接触頻度の通説や、接触回数別の好感度に関わるアンケートなどの結果をご紹介しながら、適切な広告の表示回数について考えていきます。
ユーザーとの接触頻度は高いほうが良い?
ザイオンス効果(ザイオンスの熟知性の法則)をご存じでしょうか? これは、接触の機会が増えれば増えるほど、人はその対象に好感を抱きやすくなるという法則です。身近なところで言うと、たとえばテレビCM。初見では何も思わなかったのに、何度も見ていくうちにその映像や音楽、出演するタレントが好きになっていた……こんな経験はありませんか? まさにこれが、ザイオンス効果です。
ちなみに、ザイオンス効果は接触した合計時間ではなく、その回数こそが重要であると言われています。つまり、まとめて1時間同じ内容のCMを流したとしても効果は薄く、適度に間隔を開けながら10分間ずつを6回視聴してもらうほうが、視聴者からの好感度は高くなります。
このように、消費者との接触頻度を高めることは、好感度の獲得やエンゲージメント率向上にも関わる重要なポイントです。例に挙げたテレビなどのマスメディアはもちろん、広告媒体であればすべてに当てはまる法則であると言えるでしょう。
Webマーケティングにおける接触頻度の考え方
消費者との接触頻度を高めようという考え方は、Webマーケティングにおいても活用されています。その最たる例がリターゲティング広告でしょう。これは、一度でもサイトを訪問してくれたユーザーに対して表示される広告のことで、Yahoo!やGoogleなどで実現できます。
アクセスがあったということは、すでにそのユーザーは商品やサービス、サイトに興味関心があるのが立証済み。あとは、いかに広告の露出を効果的に行うかが鍵です。接触頻度も高くなるため、効果的にマーケティングが行える手法だと言えるでしょう。
【アンケート】85%のユーザーがプラスの印象を受ける接触回数とは?
前述の通り、接触頻度の高さはWebマーケティングにおいて重要なポイントとなり得ます。一方で、表示頻度が多かったり、ユーザーの体験の邪魔になったりすると、広告に対してネガティブな感情を抱かれる可能性もあるでしょう。そこで今回は、男女100名の方に対して独自のアンケートを実施。ユーザーが受ける印象に接触回数がどのように影響するのかを調べました。
●最初は、興味を持って、広告の情報を読みます。その後、同じ内容の広告が表示されると改めて確認することもありますが、これが3回以上続くと、うざったいと感じ、その後、その広告を目に入れないようします。(男性・山梨県・44歳)
●印象に残りやすい広告だったり、派手だったりする広告であればあるほど嫌気がさしてしまいます。何回も流したり見せたりするなら、おとなしめの広告の方が、好印象です。(女性・宮城県・27歳)
●あまり何度も見かけるとしつこいと感じ、不快に思うことがある。ただし単純に見かける回数というよりは見せ方の問題。バナーがコンテンツ閲覧の邪魔になる位置であれば1回でも不快に思う。(男性・三重県・53歳)
もっとも多く票を集めたのは「3~5回」という意見。全体で見ると、実に84%もの人が、1日に3回以上の頻度で同じ広告を目にすると、マイナスの印象を受けることが分かりました。
次に行ったのは“プラスの印象”に関わるアンケートです。結果は一目瞭然。1~3回が圧倒的多数となりました。3~5回が多少あるものの、それ以外の選択肢にはほとんど票が集まっていません。Q1の結果と合わせて考えると、多くのユーザーにとって適切な接触頻度というのは1~3回。そして、それ以上になった場合にはマイナスの印象を持たれる可能性が高くなるようです。
●1~2回程度の表示なら、「こういうサービス(商品)があるのか」と興味が湧いて、クリックしたくなると思う。出しゃばり過ぎない、節度を持った広告には好感が持てる。(女性・山形県・27歳)
●知らなかった情報が手に入るような広告であれば、印象に残って覚えやすいのでこの回数ならプラスの印象を受けると思います(男性・青森県・24) ※1~3回と回答
●インターネットを使用していて、同じ広告を1日に2回見るとプラスの印象を受けます。それは、興味や関心のあるジャンルの場合です。(男性・熊本県・39歳)
広告出稿のポイントは目的を明確にすること
アンケートの結果のみを見ると、広告の表示は1日に3回以内が適切であることが分かります。しかし、これはあくまでマイナスイメージを回避するための指標でしかありません。
広告の出稿の目的は、単に好感度を取得するだけでなく、コンバージョンや認知度アップなども含みます。これを考えると、表示回数3回というのは物足りないかもしれません。十分な効果も得られない可能性もあります。
そのため重要なのは、はじめに広告を出す目的についてしっかりと決めておくことです。たとえばコンバージョンであれば、どの回数から成果が上がりはじめ、どのポイントでピークになるのかを計りましょう。その上で、マイナスなイメージを避けつつ、好感度を得るための広告表示回数について研究を進めてください。
このように、目的さえ明確になっていれば、自ずと必要な施策が見えてきます。その他の項目については、より効果的なアプローチのためのヒントとして捉えるのが良いでしょう。
まとめ
広告を出稿する企業にとって好感度は非常に気になるポイント。できるだけこれを獲得するためには、第一に露出を増やさなくてはなりません。しかし、これが多すぎるとかえってユーザーにマイナスイメージを持たれる可能性もあります。かと言って、広告の回数が少なすぎれば狙った効果を得られないかもしれません。
大切なのは、目的と照らし合わせた広告戦略です。どの条件を軸にするかをしっかりと決めた上で、適切な表示回数などを設定するようにしましょう。