海外で愛される商品作りの秘訣とは?「Samurai Ramen」白澤氏が語る

利根川 舞

株式会社Funfair取締役 白澤繁樹氏 株式会社Funfair取締役 白澤繁樹氏

「海外の人々が持っている日本人のイメージの中に”NINJYA”や”SAMURAI”がありますよね?それって日本人から見たら笑ってしまうものだと思うのですが、それでも私たちは彼らのイメージを否定したくないんです。」

 そう語るのは、株式会社Funfair(以下「Funfair社」) 取締役、白澤繁樹氏だ。Funfair社では動物由来成分・アルコール・化学調味料・保存料・香料不使用の「Samurai Ramen」を販売しているのだが、今このラーメンがムスリムの人々から支持を受けている。

外国の人々が持つ、日本のイメージと商品作りの関係性とはなんだろうか。日本人による外国人にも愛される商品作りの秘訣について、白澤氏に話を伺った。

誕生のきっかけは「ラーメンが気になる○○の友人」

 「”ラーメン”にしようと思ったきっかけはビーガン(完全菜食主義)の友人がラーメンに興味を持っているのに、食べられないという話を聞いたんです。その時、悲しいなと思ったんですよね。」

 ご自身もラーメン好きだという白澤氏はそれをきっかけに日本で販売されているビーガン向けのラーメンを食べてみたが、当時、いずれの商品も美味しいとは思えないものだったという。

 そこで、ちょうど食品関係で事業を考えていた白澤氏はビーガン向けのラーメンを作ることに決めたという。ところが、販売をスタートした地である鹿児島ではなかなか商品は売れなかった。

 そこで、ビーガンよりも母数の多いムスリムに目をつけた。「もちろん最初はなかなか売れませんでした。アジア圏での情報発信をスタートすると徐々に『これは何?』『どこで買えるのか』という問い合わせが来るようになって『現地にもECでも販売していないから日本に来てくれ』と言っていたんですが、実はこの時、日本のどこにも売ってなかったんですよね。」と笑いながら白澤氏は語る。

 今となっては販売数は年々増加しており、累計販売数は3万8,000食にものぼる。なぜこれほどまでに商品が売れたのか。そこには日本ではなく、世界に目を向けた入念な商品開発が肝となっていた。

大人気のラーメンは、日本人からすると少し味が濃いかも?

「『Samurai Ramen』を開発している時には”世界中の方が安心して食べられるラーメン”というものを意識しました。ラーメンに対して興味はあったけれど、食べることができなかった、そういう人と人に感謝の言葉をもらった時には、やっててよかったなと思いましたよ。」

 そして「Samurai Ramen」は安心して食べられるだけではない。試食をお願いする人の中には日本人はいません。日本人の舌では調整せずに、外国の方々の舌でローカライズしていくんです。」

 外国の人々に試食してもらい、その人々が納得する味で販売しているのだというから驚きだ。そこまで「外国の人々が食べるラーメン」として振り切って作られている「Samurai Ramen」は中身だけでなくパッケージもキャッチーなものになっており、外国の人々が持つ日本のイメージを損なわず、そして押し付けない。これこそが冒頭に白澤氏が語ったイメージと商品作りの関係性の正体だ。

 「パッケージもこだわっていて、秀吉の黄金の茶室をイメージしています。あとは、パッケージの中身も箸や麺、調理例が綺麗に収まっていて、開けた瞬間から”おもてなし”を意識しているんです。ちなみにパッケージのデザインも社内でやっているんですよ。生産者だからこそ商品に込めた愛が伝わりますし、ストーリーを伝えやすい。」

マレーシアに旗艦店をオープン。その理由とは?

 鹿児島で生まれたこのラーメンは世界の方々に知られ、愛される商品となった。しかし、実はECでの販売は多くなく実店舗での展開主軸としている。

 「例え商品を持っていても、リアルでブランディングができていなければ、インターネットでいくら言っても売れないと我々は考えています。だからこそ今後はフランチャイズ化を進めていきます。」

 実際、東京有数の観光地、浅草・押上にある「SEKAI CAFE」ではパッケージ化した商品が販売され、浅草のキッチンカーでは実際に調理した商品をその場で食べられるようになっている。

 それだけでなく、今年6月にはマレーシアのジョホールバルに「Samurai Ramen UMAMI Restaurant」という旗艦店をオープン。ジョホールバルにオープンしたのにも、もちろん理由がある。

 「マレーシアでの反響が大きかったというのもありますが、日本にオーガニックなラーメン屋ができるよりも、ショホールバルにできた方が話題性がありますよね。あとは、ジョホールバルにオープンすることで、ECでの注文が入った時、そこを拠点に発送することもできます。今後はヨーロッパや北米への進出も考えています。」実店舗での展開を主軸にしているとはいえ、もちろんオムニチャネル展開も忘れてはいない。

「相手のことを考えて武器を選ぶ、RPGもそうですよね。」

左:白澤氏
右:海外展開のパートナーとなるアラウンド・ザ・ワールド株式会社代表取締役社長の永井あき氏

 「自分の武器の中から選んで商品を販売しようとしても、難しいと思います。しっかりとターゲットのことを考え抜いて、商品を作るだけでなく、プロモーションなどの買ってもらう仕組みを作りあげることで”本当に食べるべきモノだ”ということを伝えることができるんです。そして自分たちが何者であるのかを伝える。そうすることで、2食800円という、現地の人々にとっても高価な値段であっても受け入れられることができました。」

 相手に合わせてオリジナルの武器を作ること。商品を開発する上ではマーケティングは必須のことである。しかし、いざ海外に向けて商品を販売しようと思った際にはどうだろうか。

 もちろん、”すでにある日本の商品を販売したい”という思いや、商品が売れるだろう国を探し出し、販売するという手段もあるだろう。しかしそれは、本当に相手が求めるものだと言えるのか。

 求めている人の元へ、商品を届ける。ごくごく当たり前の話ではあるのだが、それこそが「Samurai Ramen」が愛される秘訣の根底にあるのだ。


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
EC業界を発展させることをミッションに、様々な情報を発信していきます。

利根川 舞 の執筆記事

コメント

コメントを書くには、会員登録が必要です。
既に会員の方はログインしてください。
まだ登録をされていない方は、「新規会員登録」より登録を行ってください。
新規会員登録