楽天、送料込みライン導入で退店する店舗には別途支援を実施【決算発表】

利根川 舞

楽天株式会社(以下、楽天)は2月13日、2019年度通期・第4四半期決算を発表した。

最終利益は319億円の赤字に着地

2019年12月期の連結決算では売上収益1兆2,639億円と過去最高を更新したものの、営業利益は727億円、最終利益は319億円の赤字に着地した。

なお、連結売上高は約1.3兆円、楽天市場や楽天トラベルなどを含む国内EC流通総額は前年同期比13.4%増の3.9兆円となった。

※2019年度通期及び第4四半期 スライド資料より

319億円の赤字の要因となっているのは、モバイルと物流事業に対する投資。三木谷氏は次にように語った。

「お金もかかるので、あまりやりたくなかった。しかし、2年前の物流クライシスがあったじゃないですか。ヤマト運輸や佐川急便、日本郵便が料金を値上げしたり、荷物を持って行ってくれなくなってしまうような事件があったわけです。これでは店舗が耐えられない。だったら僕たちが立ち上がらなければならないということで、2,000億円の投資をしたんです。大赤字でもやらないと、結局ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便の配送料が上がり続ける。今はAmazonよりも安い価格で提供できるように必死でやっています」。

※2019年度通期及び第4四半期 スライド資料より

退店希望者には外部チャネルの案内支援も

また引き続き、波乱のタネとなっている送料込みライン(「送料無料ラインの統一」から名称変更)の導入については、楽天市場ユーザーからの配送料のわかりづらさに対する不満を送料込みライン導入の根拠にしつつも、楽天市場を成長させるためのステップであることを主張。

三木谷氏は新春カンファレンスの際に「Amazonに負けている理由は送料」とコメントをしており、そのコメントに対しても批判が寄せられていた。

なお、この施策に対して、影響を受けるのは8%程度だというものの、送料無料ラインの統一をきっかけに退店を希望する店舗に対しては次のような支援を実施していくという。

1.移転する場合、楽天市場での既存顧客に対する外部販売チャネルの案内支援

2.楽天市場出店料の払い戻し(詳細は2月中に店舗へ案内予定)

「荒波を乗り切るためにはこれしかない」

「荒波を乗り切るためにはこれしかない」

また、10日に公正取引委員会が独占禁止法違反の容疑で立ち入り検査を行った件について、三木谷氏は次のようにコメント。

「基本的には船がちゃんと浮かんで、その上に乗っている店舗さんが強烈に激化する荒波を乗り切るためにはこれしかないと思ってやっているので、公取委にもご理解いただきたい。公取委も含めて、これまでと同じ価格で送料を負担しろと言っているわけではないことが、伝わっていないのではないか。短期的には少し損失が出るかもしれないけど、中長期的には大きな損失が出ないように小売価格を調整してくださいと伝えていく」。

送料無料ライン統一も落ち着かない中、4月上旬にはモバイル事業もサービスインするということで、この上半期は楽天にとっても重要な時期となることは間違いない。


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

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